クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Schumann Sym1 の記事一覧

シューマン 交響曲第1番 ガーディナー(97)

2017.01.26 (Thu)
John Eliot Gardiner The Orchestre Revolutionnaire et Romantique 1997 13
ガーディナー/オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク(97、ARCHIV)は
噴出がある。
1850年作の「ライン」では分厚く押し寄せる演奏が好きだが、
青年期(1841年)の気負いの中、4日間でスケッチを仕上げたこの曲では
「勢い」が大切だ、と思う。そしてこのガーディナーにはそれがある。

もちろん、若ければいいというものではない。
ガーディナーの全集ではさらに若い時の「ツヴィカウ交響曲」(1833)が
収録されているがこれは手探り感があり今一つ。
「春」になるとやはり俄然音楽が面白くなっていることに気づく。

第1楽章序章が終わってからの噴き上がりは象徴的。
音が厚ぼったくならずフレッシュ。
テンポは前進性を優先している。
音価を切り詰め、次の音をかぶせるように持ってくる。
シューマンの革新性も感じる。

後続楽章もある意味焦ったような落ち着かなさを感じるかもしれないい。
しかし、痛快なドラムの音とともに息せき切って走る様は眩しい。

この演奏にはシューマンの陰影が見えないかもしれない。
ただ、実際このころは作曲家は健康だった。

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録音はロンドン、ワトフォード、コロシアムでのセッション。
妙にぎすぎすしたり、反対に残響過多でもなくいい塩梅。鮮明である。

10:57  6:23  5:15  7:42   計 30:17
演奏   S   録音  93点

シューマン 交響曲第1番 ハイティンク(83)

2017.01.25 (Wed)
ハイティンク全集
ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(83、philips)は巨大なのに温和な春。
ハイティンク(1929~)の充実期の自信充満。
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姑息な手段は一切用いない。
しかし、巨匠となったののだからもう少し勝負してほしい点はあった。

第1楽章から余裕綽々の「春の始まり」。
心地よいソファに座って安心できる音に浸る。幸福感に満ち溢れる。
トライアングルのチリンチリンが実にチャーミング。
情感の起伏は激しくないが、よく聞くと低減のアクセントなど工夫している。

第2楽章「夕べ」はもの悲しさは強調されずまさに中庸を心得たもの。

第3楽章「楽しい遊び」はもしこの表題が継続されていたとすれば
その言葉のスケール感を大きく超えた巨大さ。

終楽章「春たけなわ」はという割にはウキウキ感はほどほど。
ホルンの割れんばかりの絶叫やぐいぐいアップテンポは薬にもしたくない。
「平穏な春の喜び」といったところ。

録音はコンセルトヘボウ本拠地。マストーンで大きな響き。
案外個別の音も拾っておりよく聞こえる。
個人的にはティンパニにしまりがほしかった。金管・提言は重厚明確。
11:36  6:24  5:44  8:45   計 32:29
演奏   A    録音  92点

シューマン 交響曲第1番 カラヤン(71)

2013.01.14 (Mon)
カラヤンシューマン14
カラヤン/ベルリンフィル(71、DG)はこのコンビの特徴を味わえる。
ただ、この曲本来の春の息吹を味わいたいならほかにお薦めがある。

演奏会に並行して録音したのでなく、全集をこの年に一気に製作したまさに
レコード録音用の演奏。カラヤンは4番以外はこの全集が唯一の録音ではないか。
この曲を当時のもう一人の雄であるバーンスタインと聞き比べると
その特性の違いがよくわかる、最適な一枚。

録音はイエス・キリスト教会のシルキートーンの中壮麗な響きを持つ。
ヒスは若干残るが通常はほとんど分からない聞きやすいリマスタリング。

第1楽章冒頭のトランペットの輝かしさ、弦の厚み、ティンパニの鋭い一撃
…あーカラヤンとベルリンフィルだ。
長い冬を経て目覚めた田舎の春でなく、壮麗な大建築物のオープニングにぴったり。
本来のこの曲の持つ素朴な歯切れのよいウキウキ感というより、
どっしり重くオラオラ、どうだ!的な演奏ではあるが、
このコンビならそうなるだろうことは承知だ。

第2楽章はこれまたカラヤンらしい流線形ので美しいフォルムのラルゲット。
情念へのすり寄りはあまりなくかといって淡々としているわけでなく、
ただ官能的で美しい。この演奏の白眉。

第3楽章はテンポが遅いわけではないがリズムが重く、
響きの多さがさらに重厚感を増長。

終楽章はゆったり始まり徐々に勢いを増す設計。
といっても無茶苦茶に手に汗握らない均衡感は最後まで続く。
あれ、その割りに演奏時間が短いのはどこでリピート省略したかな?

10:42  6:17  5:51  7:20   計 30:10
演奏  A-   録音 90点

シューマン 交響曲第1番 コンヴィチュニー(60)

2012.11.24 (Sat)
コンヴィチュニーシューマン
コンヴィチュニー/ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(60、BRRLINClassics)は
音響は洗練されておらず質実剛健。土から掘り出したばかりの芋をボリボリ食べるような
感触は他に代え難い(そんなことをした経験はないが)。

録音はベタニア教会だが残響成分は少なくくすんだ感じ。
経年によるざらつきヒスはあるが、耳障りなことはない。

第1楽章からゆるがせにしない音楽。重厚な弦を土台に木管が浮かびあがる。
ワクワク丸出しではないが、渋い中にも喜び。

第2楽章も構えを崩さず突き進む。高域の木管が悲壮感を演出。
アクセントもしっかりで決して美音ではないが心地よい安定がある。

第3楽章も重いスケルツォ。ドシンドシン。

終楽章は慌てず騒がず。重量感ある弦がゴツゴツ進む。角を丸めず無骨。
どこにも効果を狙う気持ちがなくひたすら音符をしっかり力強く弾いていく。
こんなごついだけで流麗さのない演奏に惹かれるのはなぜなのだろう。

11:34  6:34  6:10  9:07   計 33:25
演奏  A   録音 83点

シューマン 交響曲第1番 ガーディナー(97)

2012.11.23 (Fri)
ガーディナーシューマン全
ガーディナー/オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティック(97、ARCHIV)は
ピリオド楽器による演奏。演奏は大胆不敵。新たな発見を迫る。
これは穏やかな春ではなく「春の嵐」。
ジンマンは肩の力が抜けた洒脱さもあったが、こちらは真剣勝負だ。

録音はロンドン、ワトフォード、コロシアムでのセッション。
残響少なく生々しい直接音が捉えられている。

第1楽章は迸る生命力を感じる。春が炸裂する。力感は爽やかを通り越して豪快。
ドラムの強打で皮の音がインパクトがある。

第2楽章はいにしえの響きがする。

第3楽章は野性的な響きで突き進む。荒々しい。
ドラムの打ちこみが激しく刺激的。

終楽章もズンズン来る。大オーケストラの圧迫感はないが切迫感はある。
音を割らんばかりの楽器群。
こちらも真剣に聴いていると、いつの間にか肩に力が入り、少し疲れた。

10:49  6:21  5:15  7:39   計 30:04
演奏  刺A   録音 91点
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