クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Schumann Sym3 の記事一覧

シューマン 交響曲第3番 バレンボイム(03)

2014.07.19 (Sat)
バレンボイム新全集
バレンボイム/ベルリン・シュターツカペレ(03、Teldec)は怒りのような強さ。
音色はコンヴィチュニーとゲヴァントハウスのような古色蒼然。
そこに力こぶを足したような演奏。ティンパニの爆音はメルツ盤を抜くかも。
最近の演奏には珍しいオケを引きずりまわすような強引な音楽。
美感を追わずに濃厚気迫で勝負。

録音はベルリンのNLG第一スタジオでのセッション。
デット気味でギュッと凝縮された響き。分離や伸びがよいとは言えない。
拡がりに欠けモノラル期の東独録音を彷彿させる。

第1楽章冒頭から拳骨で殴るようなどかんとした出だし。
その後も音の塊りが土砂崩れのように奔流する。
全体の筆圧はもの凄く強く、ティンパニがくすんだ太い音なのに強連打する。
録音のせいもあるが白黒時代のゴジラ映画を見ているよう。
表現は基本的に率直だが時に溜めや強弱を思い切って作る。
終結は怒涛。

第2楽章は両翼配置が分かる。
チェロの押し出しの強い音が中央から、高弦が左右から癒す。
それにしてもひとたび音楽が高揚すると威圧的な剛直な響きになる。

第3楽章は一息つける。テンポはゆったり目。ただ、弦は濃い表情付けをする。

第4楽章は遅いテンポで首をじわじわ締めるような窮屈感。
金管のコラール吹奏は荘厳というより呻き。最後のティンパニは雷鳴。

終楽章はゆっくり始まるがテンポは定まらない。
伸びのない録音もあり晴れやかさがない。
音圧は依然強くニコリともせずぶっきら棒な表情で突き進む。
21世紀になってこのような音、演奏がされるとは思いもよらなかった。
物分かりのいい演奏が多い中で中でここまで一徹な音楽は珍しい。
音のヌケがもう少し良ければ、さぞかし痛快と思う。

9:00  6:36  5:36  6:35  5:57   計  33:44
演奏  剛A   録音 88 点

シューマン 交響曲第3番 ハイティンク(81)

2014.07.09 (Wed)
シューマンハイティンク全集
ハイティンク/アムステルダムコンセルトへボウ管弦楽団(81、Philips)は巨大な伽藍。
間然するところなし。立派なオケをひたすらしっかり鳴らす。ただそれだけのような凄さ。
小細工やいい訳をしない自信。このころのこのコンビにはそんな風格が出てきている。

録音はコンセルトヘボウでのセッション。ただしフィリップスにしては奥行きにやや乏しい。
よく聴くとこの有名なホールの響きはするのだが
全体に伸びに乏しくキャパシティいっぱいに音を詰め込んだ印象。

第1楽章冒頭から誠に堂々とした音楽。
正攻法で進み大管弦楽が壮麗な響きで鳴り続ける。どっしり力感がある。
6:07からのホルンの大吹奏も胸を張る音色。

第2楽章もほんとに強い。ゆるぎないレントラーである。
ここでは実に落ち着き締まった弦を堪能。

第3楽章・第4楽章は決して粘らず強い筆致で描き切る。
神秘性や厳かさをテンポに依存しないオケの圧でつきつける。

終楽章はバリッとしたホルンなど金管が素晴らしい。
ウキウキ感は少なくどっしりじりじり。最終コーダの壮観な音響を聴け。

9:47  6:32  5:00  5:31  5:33  計 32:23
演奏  A   録音 89点

シューマン 交響曲第3番 シャイー(07)

2013.11.19 (Tue)
シューマンシャイ-全集
シャイー/ゲヴァントハウス管弦楽団(07、DECCA)は筋肉質。
マーラー版による演奏。なのに、シャイーのコンセルトヘボウとのふくよかな
マーラーとは音響も音楽もまるで違う。マーラー自体がそぎ落としたものが大きい。

録音はライプチッヒ・べヴァントハウスで比較的残響は少なく
デッカにしては量感も薄い。音は綺麗に録れているが、Dレンジの広さを
感じさせないのはこのホールのくすんだ音にも要因があるだろう。

第1楽章は引き締まった渋めの音で進行。
マーラー版であるのでオケが細っている面がある。
5:37からのホルンはゲシュトップのシグナルで始まり次のフレーズでは
通常の奏法になりその後は両方が交錯する奇妙な音。
ここは初めて聴いたら面食らう。うーん違和感がある。
全体はいいのに。

第2楽章は速めでピリオド演奏を模写する。

第3楽章も速めだがそれなりの繊細さを備える。

第4楽章もきりりと引き締まった古典的造形。
決然とした、しかしバランスのとれた金管の吹奏。

終楽章は爽やかに始まる。力強さのみでなく多彩な表現を盛り込む。
気持ちよく聴かせる。
しかし、これは慣れなのかもしれないが、図太い音の奔流で
ロマン派交響曲を味わおうとするとマーラー版はやはりスリム。

9:00  5:06  4:26  4:51  5:33  計 28:56
演奏  A   録音 90点

シューマン 交響曲第3番 ノリントン(89)

2013.11.18 (Mon)
シューノリントン34
ノリントン/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ(89、EMI)は古楽器奏法による
ザくっとした演奏。30分を切る演奏時間だがテンポは楽章により緩急が付く。
入念で思い切りのよい終楽章で乗ってきたなと感じた。
LCPとは3番・4番を録音して終わりだったが、
2004年にシュトゥットガルト放送交響楽団とライブで全集を録音している。

録音はアビーロード第一スタジオでデッドで詰まり気味の音で、
小編成のすっきり感が今一つ。汚い音とまでは言わないが
奥行きも乏しいEMIの悪い面が出ている。少し量感を出すべく調整。

第1楽章は軽い音で小気味いい。弦の音はノンヴィブラートで短くのばされ
さっと消える。ティンパニはドラム的。表情は癖がなくそのまま。
古楽器奏法とデッドな録音が相まってぶっきらぼうに聴こえる。
5:50からのホルンはそれほど力感はない。
小細工のない比較的素朴な印象だが終結に向かっては強打強奏が聴かれる。

第2楽章はアクセントが強く高弦のあいの手が少しヒステリック。

第3楽章もロマンに浸ることなくあっけらかんとした表情。
4:11で通り過ぎるから平均より1分は速い。

第4楽章は古楽器の鄙びた音色の重なりあいが面白い。
もっとテンポを落として徹底してこの持続音の多層化を試みてほしかった。
でも新たな表情ではある。

終楽章はテヌートした弦で冒頭の主題が奏され驚く。
かと思うと音を割るホルンが乱入したり。
テンポは各パートがここでは遅めで入念に表情付けされる。
聴きごたえある終結だ。

9:28  5:25  4:11  4:43  6:03   計 29:50
演奏  A-→A   録音 86点

シューマン 交響曲第3番 マリナー(98)

2013.11.04 (Mon)
シューマンマリナasmf
マリナー/アカデミー室内管弦楽団(ASMF)(98、Hanssler)は旧盤より数段良い。
テンポや解釈は大きな変化はないが、旧盤は詰まり気味の録音とともにオケの重さが
マリナーの志向性とマッチしていなかった。ここでは長年の手兵を用い自然体を出し切る。
爽やか系のラインだ。

録音はヘンリーウッドホールで響きは多いが比較的少ないオケのため混濁なく
爽やかに仕上がっている。低域は多くはないが瑞々しい音が良い。

第1楽章はのびのび。ここでのラインはまったく淀むことなく気持ちよい。
音が分厚くならないため、木管などが綺麗に浮かぶ。
ホルンも思いっきりが良くスカッとしている。

第2楽章も元気がある。屈託のない明るさを持った演奏だ。

第3楽章も速めのテンポでかけぬけるが爽やかな風のようだ。

第4楽章も重くはならないがテンポはゆったり目になっている。
旧盤では妙な力みがあったがこちらは流線形を維持しながら訴える。
各声部を丹念に描く。金管のコラールも荒っぽくならず美しい。

終楽章は折り目正しい。癖がなく軽やかに進む。
バランスがよく端正な音楽は聴いていて気持ちがよい。
終結の抜けの良いブラスの吹奏は快感だ。
圧倒的な感動とかではなく、晴れやかな気分をもたらす。

8:49  5:39  4:29  6:12  5:52   計 31:01
演奏  A+   録音 91点
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