クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

サン=サーンス Sym3 の記事一覧

サン=サーンス 交響曲第3番 フロール(86)

2016.03.10 (Thu)
フロール サンサーンス
フロール/ベルリン交響楽団(86、DS)はノーブル。
派手さはないが好感のもてる演奏であり録音である。

このCDの国内発売元の紹介文は
『レコード芸術誌で特選となった、東ドイツ出身の指揮者ペーター・フロールの
国内デビュー盤。とかく外面的音響効果がクローズアップされやすい「オルガン付き」に、
純ドイツ音楽風アプローチ。重厚な構築性とともに、若々しい感性で旋律をたっぷりと歌わせる。
明晰で純粋、流動感の強い解釈は新鮮な感動を与えてくれる。』
というもの。ドイツ的とは思えないが、おおよそ似た感想を持った。

なお、このオケは現在ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団という。
西ドイツにもベルリン交響楽団があるからややこしいが、レコーディングでは
本オケの方が多いのではないか。

クラウス・ペーター・フロール(フロア)はこの録音当時32歳。
若くしてこの楽団の首席指揮者(1984~91)となり東ドイツのホープだった。
近年はマレーシア・フィルの首席だったようだが比較的地味な活動
(BISからこのコンビのドヴォルザークが出ている)。
フロール(←若きころ 最近→)フロール近景

第1楽章のかっこいい主題提示も力まずとがらない。
第2楽章は極上の美しさで流れる。
第3楽章も流線形で綺麗。
終楽章も慌てず騒がずなのだが終結でのシンバル・ティンパニのパンチは突然凄い。

なお、ダーリッツの弾くオルガンの音は高域が先鋭で
個人的にはもう少し落ち着いた音が好み。

録音はベルリンのシャウシュピールハウスでのセッション。
名物ホールでの優秀録音。このホールの音響の良さを味わうことができる。
Konzerthausorchester_Berlin.jpg
ドイツ・シャルプラッテンらしい素直でクールな音。
各楽器の音は埋もれることなく明快。最強音でも余裕があり破綻ない。

10:10  11:16  7:50  7:27   計 36:43
演奏   A    録音  91点

サン=サーンス 交響曲第3番 マルティノン(70)

2010.01.24 (Sun)
マルティノンオルガンエラート
マルティノン/フランス国立管弦楽団(70、66?ERATO)は全体に品がよくEMI盤と行き方は
同じながら録音による違いはある。演奏のレヴェルからするとこれは十分に高く、
再録はEMIで全集を作るためでこれが失敗だからではないことがわかる。
録音はフランス放送スタジオホールでフォルテにおける伸びやかさにやや欠けるが
明晰さでは再録音に勝る。
第1楽章は録音の違いもありより近接で現実感のある音。テンポは中庸で表現もまっとう。
第2楽章の品のある歌は素晴らしい。オルガンは、マリー・クレール・アラン。
オルガンに並走する弦だけでなく金管の音はフランス流のふくらみを持つ。
第3楽章は軽やかな風のよう。木管の音色が独特でフランスを感じる。
ややラフなアンサンブルは仕方ない(なお、1:54で編集ミスで音が飛んでしまっている。残念)
終楽章はスカッとはいるがオルガンとオケの全奏では飽和し荒れるのが惜しい。
演奏自体も最後はややもてあます部分がある。

 20:02  7:25  7:41   計 35:08
演奏   A-   録音 87点

サン=サーンス 交響曲第3番 プレートル(64)

2010.01.24 (Sun)
プレートルオルガンパリ
プレートル/パリ音楽院管弦楽団(64、EMI)はゆったりパリの日だまり、長閑なオルガン。
雰囲気が良い。録音はサル・ワグラムで残響が多い。鮮度はそれなりに保たれているが
最強音では苦しい。
第1楽章はゆったり広大な空間をパリのオケが浮遊する。金管は懐かしい艶やかさ。
第2楽章にはいると作曲家でもあるデュリュフレのオルガンがしっとりと歌いだす。
寄り添う弦。雰囲気満点。
第3楽章の速いパッセージは豊かな残響もありスタイリッシュに決める
というわけにはいかない。
この交響曲の再現はムーディな前半とマッシブなパワーと動きの速い後半という
まるで別の要素があるがこの演奏は前半の流れを優先。
終楽章に立ち上がるオルガンはさすがに荒れる。
しかしその後は前半との連続性を重視した展開。
ピアノが明るく入り遅めのテンポがそれを助長する。
弦のパッセージなど普段は弾き飛ばすような部分もしこしこ丁寧。
終結にオルガンを前面に出さず歌を歌いまくる。
プレートルはのちのウィーン響との再録音でも名演を聴かせるが
何ともセンスにあふれた指揮者だ。

10:24  10:01  7:40  8:5 6  計 37:01
演奏  A   録音 86点

サン=サーンス 交響曲第3番 ヤンソンス(94)

2009.10.17 (Sat)
ヤンソンスオルガン
ヤンソンス/オスロフィル(94,EMI)は第3楽章まではクール系でスタイリッシュ、
終楽章でまさに「オルガン」により豹変。聴き手の対応力が試される。
録音はオスロのコンサートホールのセッション。やや軽いが基本は綺麗な音。
第1楽章はまさに爽やか、颯爽と言う言葉が似合う。軽やかそよぐ弦をベースに木管が
駆け抜ける。フォルテも重くない。終結にかけて迫真性を帯びて盛り上がるが、
一段落するとまたスーッと力を抜いて第2楽章の準備をするあたりの巧さは一昔前の
ロシア系の指揮者とは違う器用さを感じる。
第2楽章のオルガンは揺るがせにすることなく、控えめにそして少し色香を漂わせる。
オケとオルガンの上品な組み合わせ。
第3楽章も軽やかなスキップ。いなせな男がポルシェを駆ってヘアピンを80キロで
楽々疾走するよう。丁寧なつくりでオケは立派に応えている。
但し、第4楽章のオルガンには幻滅。ここまでは控えめだったオルガンが
なぜか自分の実力を超えて突然ガナりたてるものものだから音楽がぶち壊しに。
もともと軽量級のオケも負けずにパワーをあげる。
ダンディだった男がここでは野生をむき出しに軽トラに乗り換え首都高速に煙を巻き上げる。
最後のオルガンの爆音はこれでもかと伸ばされフランスのエスプリから遥かに離れていく。
やはり彼もロシアを捨てていなかった、などと思ってしまう。

9:52  9:49  7:05  8:42   計 35:28
演奏  A+⇒B+    録音 90点

サン=サーンス 交響曲第3番 スヴェトラーノフ(82)

2009.10.14 (Wed)
スヴェトラーノフオルガン2
スヴェトラーノフ/ソ連国立交響楽団(82、Melodia)は強烈な体臭を放つ演奏。
知識なく聴かされたらフランス音楽と答えることはないだろう、絶対に。
ラフマニノフを髣髴とさせる。
録音は残響の多いラウドネスのかかったような音響で若干不自然な位相もあり。
(当方保有はYEDANG盤なのでScribendum盤の方が音質は良いかも)
第1楽章から重量級の音楽。うす曇のロシアの大地を這うように進む。
第2楽章はこれまた重厚なオルガンがロシア正教のミサの雰囲気を盛り上げる。
第3楽章は例によって音の割れる太鼓を伴いコサックの踊り。
それぞれの音がバランスを考えずに主張をするので案外面白い。
第4楽章冒頭はやってくれますオルガンの神経を逆なでする強音。
それに続く低弦とブラスが更に異様なゴリゴリ音。続くフォルテッシモの嵐。
炸裂するパーカッション系。テンポは微動だにしない威風堂々。
しかしその中できらめくハープが美しい・・・・。
ハープ??????????
この曲にハープが使われていたのか?
スコアを見る限り載っていない。作曲家でもあるマエストロの発案か?
しかしこれがこの楽章を通して一服の清涼剤でかなり絶大な効果。
確信に満ちた音楽の説得力は国境を越えて増してくる。ブラスの容赦ない重層咆哮。
巨大で異様に遅いテンポに絡むハープは海の中を悠々と飛翔するマンタのよう。
終結は重戦車の火炎放射が豪快に続くがその中で弦が微妙に美しい歌を歌い続ける。
オルガンを打ち消すオケの馬力がすさまじい。強引にねじ伏せられた。

21:04  17:33  計 38:37
演奏  重   録音 86点
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