クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Dvorak Sym7 の記事一覧

ドヴォルザーク 交響曲第7番 ペシュク(88)

2016.05.09 (Mon)
ペシュク78
ペシュク/ロイヤル・リヴァプールフィル(88、Virgin)は高いレベルの中庸。
表現に癖はない。ノイマンのような揺らぎもない。しかし必要にして十分。
大人の哀しさを滲ませる。

ドヴォルザークの交響曲第7番はニ短調という調性のため
爽やかだけでは通せない難しい側面がある。
サヴァリッシュやC・デイヴィスなどはブラームス張りに重厚に押し切るが、
ペシュクやセレブリエールのように強調や着色を少なくした方が儚さは浮き上がる。
両者ともにイギリスのローカル・オケというのもいいかもしれない。
ペシュク

全体のバランスがよく色んな声部がよく聞こえる。
第3楽章のヴィヴァーチェも丁寧な音楽で弦に注目していると
実は哀しい音楽なのだと感じる。
終楽章は意志が出る。念を押すような微妙な歌い回しが実に効果的。

ペシュクのドヴォルザーク交響曲全集はチェコフィルと共演したものより
このオケとのもののほうが録音も含めてよいと思う。

録音はリヴァプール・フィルハーモニックホールでのセッション。
Liverpool_Philharmonic1.jpg
この全集は2、4、5、6番がチェコフィルで芸術家の家での収録だが
響きが多すぎ、この指揮者の明快さを阻害している面がある。
音はこちらの方がよい。
輪郭が明確でどっしりまっとうなオケの音。
Dレンジはほどほど平均的だが引き締まった力がある。

11:12  9:45  7:23  9:20   計 37:40
演奏   A+    録音  91点

ドヴォルザーク 交響曲第7番 セレブリエール(2011)

2016.05.06 (Fri)
serebrier_dvorak_7.jpg
セレブリエール/ボーンマス交響楽団(2011、WarnerClassics) は実に切なく心地よい。
力むことは全くなく流れがよい。
このコンビのドヴォルザークに共通するのだが、そよ風に中にふわふわした揺らぎを感じる。
この交響曲にパンチを求めると肩すかしだが、高原に佇み涼風に当たる感触。
素晴らしい録音と相まってα波を浴びる。

発売元のコピーは
『最近の新鮮なシャープさを取り入れながら、作曲家の書いた楽譜を音化するという
アプローチを採用し、リズミカルな低音にあまい音色の弦楽器が浮かび上がり、
ボヘミアを強く感じさせる重厚な演奏といえるでしょう。』

うーん?何のことやらと思うが、だいたいの雰囲気は分かる気がする。
重厚な演奏という感じはなくむしろ爽やか。
作曲家の書いたものを丹念に紡いでいったら結果としてボヘミアの懐かしい景色が
浮かび上がったということではないか。
チェコの風景
この演奏を聴いていたら、本場物のノイマンの旧盤を思い出した。

第2楽章などポコ・アダージョというよりアンダンテなのだが、速さの中にデリケートな
表情を持ち、楽章終結の弦の消え入るような伸ばしなど実にロマンティック。

第3楽章もヴィヴァーチェとしては穏やかかもしれないが色んな音が
浮かび上がって消える。車窓から通り過ぎる田舎の風景を眺める。

終楽章も一本調子でなく繊細な表情があちこちにあり
この指揮者の心配りが素敵だ。

録音はボーンマス・プール・アーツセンター、ライトハウスでのセッション。
所謂、HiFi的な音ではないが、音楽に沿った雰囲気のある爽やかな音。
弦が艶やかで綺麗なのが印象的。
伸びの良い空間にぎらつかない薄いヴェールをかぶった音響がよい。
楽器の距離感は近くはないが、輪郭がぼけぼけになることのないバランスが良い。

10:26  9:36  7:45  8:58   計 36:45
演奏   S   録音  93点

ドヴォルザーク 交響曲第7番 サヴァリッシュ(89)

2016.05.05 (Thu)
サヴァリッシュ78
サヴァリッシュ/フィラデルフィア管弦楽団(89、EMI)は気合のこもった演奏。
このブログにこの盤のお薦めを下さった方がいらしたので入手。
確かに、このコンビのドヴォルザークの中で一番良い。

サヴァリッシュ(1923~2013)は独墺系指揮者で米国楽団とは似合わないと
思ったが、豈(あに)図(はか)らんや両者の関係は極めて良好だったという。
確かに私はサヴァリッシュの録音はこのコンビのものが一番面白いと感じる。
70歳を超えてこのオケの音楽監督に招聘されたが、
この時代の指揮は今までの楷書体から一歩突き抜けた自在さを感じる。
NHK交響楽団との協演時とは何か違うのだ。
開放的な力強さ、輝かしさが増している。

第1楽章冒頭の立ち上がりから指揮者の唸りが聞こえ
オケがそれに応えパワフルな音を出す。
そこらのローカルオケとは違うぞ!
楽章全体に重厚な力感が漲る。

第2楽章もブラームスのような鬱蒼感がある。指揮者志向だろうか。

第3楽章も立派な音楽。民族色はない。

終楽章は冒頭楽章同様力感がある。
サヴァリッシュなので無茶苦茶はしないが全体が分厚い。
終盤の意志的リズムの上に大きな音で壮麗巨大に締めくくる。

録音はフェアモントパーク・メモリアルホールでのセッション。
MemorialHallPhila02.jpg
1980年から1990年代にかけてEMIはムーティやサヴァリッシュの録音で
由緒あるこの建物(1876年建立)のバスケットボール・コートを使用した。
通常はコンサートに使う場所ではないのだがプロデューサーが
気に入ったのだろう。
高域に硬調感があるのはEMIらしいが適度な響きで全体的なまとまりは悪くない。
ティンパニなど遠方の楽器の輪郭は甘い。
もう少し深みのある音で収録されていたら更に演奏が惹き立ったはず。
(91年録音のドヴォコンの方が録音進歩して鮮明さがある)

10:45  10:07  7:20  8:57   計 37:09
演奏   A+    録音 90点

ドヴォルザーク 交響曲第7番 チェリビダッケ(82)

2016.04.05 (Tue)
ドヴォルザーク7チェリ
チェリビダッケ/ミュンヘンフィル(82、000classic)は悲惨な音を除けば天国的。
残念ながら非正規盤でなぜ手元にあるのかわからない(汗)。

音楽は46分かかり、当然保有盤最長(2位はジュリーニの43分)。
チェリビダッケ(1912~96)の70歳の時の演奏。
もとより、ドヴォルザークの本来的な姿ではないだろうことは覚悟の上だったが、
演奏自体はチェリの世界に入りさえすれば悪くない。
ダイナミックの幅は抑え込まれアクセントは緩く流れて行く。
特に13:30かかる第2楽章のアダージョは牧草の上で昼寝をしているような気分。
第3楽章もメリハリは少ない。たおやかな舞曲。
終楽章ももたもた重い。弦が主体で必死に歌いまくる。
終結はじりじり力を溜めて極端な音伸ばしで感動的(と思う)。

なお、チェリビダッケのこの曲には別の非正規盤があるが
ドヴォルザークチェリビ
ドホナーニ盤のようなスピード(10:45 9:33 7:23 9:05 計 36:46)。
こちらは未聴だが、チェリを味わうならやはり異様なこの盤ではないか。

とにかくまともな音で聴きたかった。

録音は1982年10月のライブと記載。
エアチェック音源のようで悲惨ながりっというノイズが時に入るし、ヒスは盛大。
演奏様式から見ればチェリ後期なのだが、音は1940年代だ。
ステレオ表記だがモノラルにしか聴こえない。
1980年代によくこんなレベルの状態の録音ができたし、発売する方もするほうだ。
手に入れる方がもっと悪い・・・。

12:31  13:30  8:57  11:02   計 46:00
演奏   参    録音  70点

ドヴォルザーク 交響曲第7番 A・デイヴィス(79)

2016.04.03 (Sun)
A・デイヴィス78
A・デイヴィス/フィルハーモニア管弦楽団(79、SONY)はバランス感。
アンドリュー・デイヴィス(1944~)は30代半ばにドヴォルザークの交響曲全集を
完成させていてこれはその時のもの。

本場物に弱い私共にとってほとんど記憶されなかった全集と思う。
英国人指揮者らしく踏み込みはほどほどでニュートラル。
チェコ勢の演奏に見られるようなローカル色は無理せず音楽を的確に再現。
この曲でも39分と落ち着いたインテンポを基調に安定的に進む。

誇張した表現はないが、オケが立派でシンフォニック。
第3楽章になるとティンパニが要所を引き締めるなど活力はある。
終楽章はフィルハーモニアが特に重厚な響きを見せる。
終結も急がず堂々たるもの。

但し、聴き手をグイッと掴んだり興奮させることはない。
若いのだからもっと思い切りやりなさい、と言いたくなる気もする。
davis.jpg

録音はEMIスタジオという記載だがアビーロードのことか。
アナログセッション。
響きのゆとりはあるが、コンサートホールとは少し違う。
鮮明度はいまいちで、これはデジタルではないということが要因というより
音の作り方だ。
音がEMI的なのは、スタジオや機器、マイクセッティングなどが影響しているのかも。

11:01   10:28   7:35   9:50    計 38:54
演奏   A-     録音 87点
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