クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Dvorak Sym8 の記事一覧

ドヴォルザーク 交響曲第8番 フィッシャー(2000)

2016.04.23 (Sat)
フィッシャー89
フィッシャー/ブダペスト祝祭管弦楽団(2000、PHILIPS)は超積極的。
イヴァン・フィッシャー(1951~)の怪作。一つ一つのフレーズに徹底表情付けする。
聴いたことのないような節回しやこぶしがバンバン。
それを愉しめるか、煩わしいと感じるかで分かれる。

この曲は情緒豊かなのでやろうと思えば素材は沢山。
ポルタメントは多発しテンポの伸縮は自由自在。
しかしながら、これだけやりながらねっとりしないのは快適なテンポを
維持しているからだ。指揮者の不思議なバランス感覚。

第1楽章冒頭からいきなり歌に溢れる。その後のエナジーの放出は素晴らしい。
外に向かって明るく発散する。聴いていて楽しく心が弾む。
どんなフレーズも無駄にしないという積極的な意気込み。

第2楽章も徹底している。歌いぬく。

第3楽章はここまでの調子からするとべったり来るかと思いきやテンポは速い。
しかし、甘えた歌い回しは切なさを超えてまとわりつく。
一歩間違うと品を損ねる限界に挑戦。

終楽章も主題提示から独特のタメを見せる。
その後もオオー!そうきたか、連続。
最近の優等生バランス重視の演奏を聴いてきた耳からすると
ここまで面白さを追求してくれるのもいいと思う。
個々のパーツに集中しているうちに終わってしまった。
木を見て森を見ずだった。

録音はブダペストのイタリアン・インスティチュート(イタリア文化研究所)
italian2.jpg
でのセッション。響きはしっかりあるが非常にクリアな音。
スプラフォン系は響きの多さをそのままにした録音が多いが
ここでは引き締まった音像と輝かしさを手にしている。
この手練に富んだ演奏を明快に見せた好録音。

10:09  10:31  5:42  10:28   計 36:50
演奏   驚A    録音  94点

ドヴォルザーク 交響曲第8番 ミョンフン(99)

2016.04.04 (Mon)
ミョンフン68
ミョンフン/ウィーンフィル(99、DG)は歌いまくる。
いまどきこれほど濃厚な表現をする指揮者は居なくなってきたのではないか。
くどいと感じられることもあるが、この曲の感傷性を浮き彫りにし
懐かしい気分にさせる。
時にこのような演奏を聴いてセンチメンタルを大量に浴びるのもよい。

第1楽章冒頭の呼吸感は素晴らしく惹きこまれる。
緩急つけた積極的な歌が胸をかきむしる。
思い出せば87年のエーテボリ響との旧盤でも同様だったが、
天下のウィーンフィルをしっかりドライブして自分の音楽を貫いている。

第2楽章も木管の小鳥のさえずりと弦の森の静けさの対比が面白い。
その後も続く大きなフォルテと密やかなピアノのテンポがドラマティック。
終結はしんみり。

第3楽章のカンタービレはウィーンのポルタメント気味の弦と相まって
これまた胸を衝く。映画音楽のようで「儚く美しい」という形容を使いたくなる。

終楽章へはアタッカで入る。主部に入って疾走する部分の美しさは
ムジークフェラインにも助けられ綺麗。
その後の大胆なアゴーギクもここまで聴いてくれば準備はできている。
終結はシンフォニックな響きの渦。

録音はムジークフェライン・大ホールでのセッション。
musikvereinsaal.jpg
大きく豊かな響きが包む。
個々の楽器の分解よりもクリーミーな溶け合いを優先。
第2楽章などの全休止では残響が相当長いことを感じさせる。
下手すると埋没して混濁ぎりぎりのところだが巧くバランスさせている。
個人的にはティンパニなどもう少し締まっていればなおよかった。

10:35  10:28  6:03  9:52   計 36:58
演奏   歌A    録音  91点

ドヴォルザーク 交響曲第8番 ノイマン(91)

2016.03.31 (Thu)
ノイマン78来日
ノイマン/チェコフィル(91、PonyCanyon)はふくよかな歌。
このコンビ3度目の録音。ノイマン(1920~95)の71歳の記録。
前2回はセッションだが、
これはチェコの89年末のビロード革命が落ち着いた2年後の来日公演のもの。

カラヤンが70年代に来日した時にこの曲をツールに恐るべき風圧と眩しさで
聴衆の度肝を抜いたが、ノイマンはもはやそのようなことは必要がないと思っている。

力は抜かれ気張ることはなく優しく音楽を包む。
どの楽章を聴いても懐かしい響きが充満する。
楽章ごとの対比は少なくメロディはそこはかとなくしかし情感豊か。
第3楽章の切ない溜めなど堂に入ったもの。
終楽章も全く力みがない。角は丸く音は突出しない。
音楽は敢えて淀みを作りながらたっぷり。

これはこれで徹底した行き方なのだが、もう少しメリハリが欲しくなる。
ひょっとして来日公演初日で時差ぼけで疲れが残っていたのかしら?

録音は渋谷のオーチャード・ホールでのライブ。
オーチャードホール
ホワッとしたマスの響きが中心。オンマイクではなくオフで柔らかい。
打楽器・金管など少し遠い感じ。

10:08  11:06  6:28  11:06   計 38:48
演奏   柔A    録音  90点

ドヴォルザーク 交響曲第8番 オールソップ(2008)

2015.10.18 (Sun)
ドヴォ78オルソップ
オールソップ/ボルティモア交響楽団(2008、NAXOS)はなかなか熱い演奏だ。
師匠のバーンスタインの若いころを彷彿とさせる場面もある。爽やかで溌剌。
このCDは7番との併録だが特にこの8番は気に入った。

第1楽章の自然な緩急、ダイナミクスは素晴らしい。歌うところろは歌い、
叩くとこは叩く。時にチャーミングな表情を聴かせたりで嬉しい。

第2楽章は爽やかに進行し中間で高らかに歌い上げる。
終盤の熱く情感を滾らせ、そして夕映えのように消える部分は感動的。

第3楽章はノスタルジックな音楽でここでもしっかり歌うが
過度にならないところがこの指揮者の知性だ。

終楽章は勢いに任せない逞しい音楽。
一方、細部の見通しも良く混濁しない。
ヴァイオリンがクレッシェンドしていく場面もしっかり表現がある。
ハチャメチャ感はなく最後まで理性的に押し切っている。

バーンスタインはドヴォルザークの第8番を録音していないが、
この師が振ったらどのようになっていただろうかと想像してしまう。

録音はボルティモアのメイヤーホフ・シンフォニーホールでのライブ録音。
meyerhoff.jpg
ただし、客席ノイズはほぼない。メリハリある音。デットではない美しい響き。
マルチマイクを繋ぎ合せた音ではなく確かにライブ的音だが極めて鮮明。
低域も引き締まり心地よい。近時ナクソスのライブ録音も優秀だ。

10:24   10:54  6:14  9:45   計 37:17
演奏  A+   録音 92点

ドヴォルザーク 交響曲第8番 アンチェル(70)

2010.07.10 (Sat)
アンチェルドボ8
アンチェル/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(70、NPS)は
「GREAT CONDUCTORS OF THE 20TH CENTURY」シリーズのもの。
このサイトで以前推薦があったので探していたがようやく購入。
推薦に違わず活力にあふれた名演だった。
こんな気骨のある音楽をだんだん聴く機会がなくなっている。
録音はコンセルトヘボウ本拠地でのライヴ。
帯域は広くなく強奏で堅くなるが、当時のライブとしては良好。
第1楽章からいきなりライブの熱気が漂う。柔らかいトーンが売り物のコンセルトヘボウの
本拠地の録音でここまで激しく燃え上がる演奏を聴いたことがない。
オケは分厚い音を出すが、アンチェルは温和に満足せず切れ込みの鋭い
アクセントと金管に音を割らんばかりの強奏を要求する。
結果として充実した一途でひたむきな音楽になった。
第2楽章もオケの素晴らしさをベースに弛緩しない男性的な鳴り。
第3楽章は素朴な力感。オーボエの独自の音色。
弦にのポルタメントは無く甘ったるさのない男の美学。
終楽章、主題の歌いだしは潔いアクセントを効かせ、びしっとした呈示。
全奏ではホルンがトリルで燃え上がり、オケ全体が地鳴りを立てる。
このオケ、後年ジュリーニととてつもなくメロウな録音を残しているが、
こちらはなんと男の色気を感じさせることか。引き締まった弦の音は分厚い胸板。
終結は正攻法で駆け抜け拍手がかぶさる。

9:47  9:44  6:21  9:40   計 35:32
演奏  A+   録音 85点
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