クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Brahms Sym4 の記事一覧

ブラームス 交響曲第4番 プレートル(2010)

2017.11.05 (Sun)
pretre brahms 4
プレートル/ローマ聖チェチリア音楽院管弦楽団(2010、TOBUrecordings)は
黄昏の素晴らしき輝き。

ブラームスの交響曲第4番は秋に似合う。
そしてやはり年齢を重ねたものだけが感じる憂愁を含む。
しかしそれだけではない、青春の躍動もある。
それを感じさせるのがこの演奏だ。

プレートル(1924~2017)86歳の時の指揮。
枯れているかと思いきや後半にかけてどんどん燃えてくる。

第1楽章は実に味わい深い。響きは非洗練だが、生命力に富む。
テンポは幾分遅いが意志は明確。
木管の侘びた響きと優しく歌う弦、そして朴訥な金管が無骨ながらもいい感じ。
縦の線のずれはもはや味。

第2楽章の落ち着いたくすんだ音、素朴な表情は素敵。

しかしこの演奏の凄さは後半だ。
第3楽章の突進する勢い。
終楽章の断固とした歩み、終結での白熱した高揚。
驚くべき若い心に動かされる。聴衆の喝采は宜なるかな。

録音はローマ聖音楽堂でのライブ。自然な形の音作り。
客席ノイズはあるが気にならず。帯域は広くないが窮屈感は無い。

13:14  11:06  6:17  9:36   計 40:13
演奏   輝   録音  91点
autum tree
この演奏を聴き終えて感動して、以下の詩を思い出した。

青春       サムエル・ウルマン 岡田義夫訳
青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、
安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悶や、狐疑や、不安、恐怖、失望、こう言うものこそ恰も長年
月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
年は七十であろうと、十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
曰く驚異への愛慕心、空にきらめく星辰、その輝きにも似たる
事物や思想に対する欽仰、事に処する剛毅な挑戦、小児の如く
求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。

  人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる。
  人は自信と共に若く 失望と共に老ゆる。
  希望ある限り若く  失望と共に老い朽ちる。

大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして
偉力の霊感を受ける限り人の若さは失われない。
これらの霊感が絶え、悲嘆の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、
皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至れば、この時にこそ
人は全くに老いて神の憐れみを乞うる他はなくなる。

ブラームス 交響曲第4番 ミョンフン(11)

2011.04.09 (Sat)
ミョンフンブラ4
ミョンフン/チェコフィル(11、EXTON)はこのコンビの来日公演を聴きに行く予定であった演目。
しかし、3.11大震災により大統領の命令でチェコ空軍の専用機が15日に小松空港にて
彼らを収容して帰国してしまったたためコンサートは無くなった。
彼らはチェコの至宝なのだ。
一方、このコンサートの主催者である東芝は大いに慌てたはずだ。
しかし何よりも大震災後に起こった福島原発の事故機は東芝とGEによるものだというから
そちらでもこの会社は大変なことになっている。日本を代表する大企業。頑張ってほしい。

録音は2011年2月17,18日プラハのルドルフィヌム・ドヴォルザークホールの
セッション&ライブというから出来立てほやほや。2日間のまたがりはあるが
違和感なくスケール大きくシルクの音が生々しく収録。素晴らしい音。

第1楽章冒頭の弦の音に聞き惚れる。ハラハラ流れる。美しい。
しかし徐々にこの美しさの底流に情熱が迸っているのを感じるようになる。
音楽はしなやかに膨らみ終結を目指して滾る。結びのティンパニの強打に予感させるものがる。
第2楽章はチェコフィルの美しさに酔う。指揮者もじっくり落ち着いた音楽。
第3楽章は瞬発力と勢いがある。スピードがあるというより弾力性を持って前へ進む。
指揮者がどのように汗だくになろうともこのオケは大きな包容力で対応する。
だから音楽が棘にならない。この楽章も終結部の異常な粘り腰とティンパニの強打が心に来る。
終楽章の熱気はまさにライブだ。冒頭より力強くうねる。時にフレーズ末尾を伸ばして切迫する。
金管のアクセントは徐々に激しさを増すがホールトーンと録音が余裕で収録。
直線的にゴールに向かい果てる。
枯淡という言葉とは遠い演奏。指揮者の情熱を美しく受け止めるチェコフィル。
本国で大喝采だったというが、実演にいけなかったのがかえすがえすも残念。
見事な大演奏。

12:45  11:56  6:02  10:03   計 40:46
演奏  熱A+   録音 94点

ブラームス 交響曲第4番 フルトヴェングラー(43)

2008.12.31 (Wed)
フルトヴェングラー/ベルリンフィル(43)は劇的なブラ4。12/12~15のライブ音源。
場所はベルリンのフィルハーモニーザール。当然音は荒れるが比較的くっきりしており
戦時下の音としては良く録れているほうか。
第1楽章はゆっくり濃厚に主題を提示したあとは決然とした表情で加速していく。
ここだけでもドラマを観ているよう。しかと打ち込まれるティンパニ。テンポは揺れ心も揺さぶる。
終結に向けてのデモーニッシュな動きはフルヴェン以外の何者でもない。
第2楽章は前章を受けて心を落ち着ける。しかしティンパニの強打は激しい。
第3楽章も生で聴いていたなら相当興奮するはず。
終楽章の歩みは逞しい。枯淡の境地でなく疾風怒濤。ここまで心をかき乱す第4もないだろう。

12:04  12:17  6:17  9:26  計 40:04
演奏  A  録音 73点

ブラームス 交響曲第4番 マティース&ケーン(96)

2008.12.29 (Mon)
マティース&ケーン(96)はナクソスによる「4手のピアノによるブラームス」のシリーズの一枚。
ドイツのザントハウゼン、クララ・ヴィーク大講堂での録音は適切。
今は夜中、仕事をしながら音楽が欲しくなるときにかける。
オーケストラ版のようなダイナミックレンジはないが、ゆえに無用に入り込んでくることがない。
第1楽章から第2楽章はポツリポツリと語りかけてくる。渋くピアノ演奏特有の間が
この交響曲にちょうどよい。
第3楽章は溌剌さはあるがうるさくない。
終楽章はオーケストラの総奏の持続音をトレモロで補うところはやや無理があるが、
そのほかは違和感がない。変奏を一つ一つ丹念に弾き、静かな部分ではテンポを落とし
ロマンティック歌うとともに音の途切れる間の効果が抜群だ。
オケでは表出できない孤独で静寂な世界がある。壮麗ではないが端整に曲を終える。

12:38  11:12  6:04  10:27  計 40:21
演奏  好  録音 91点

ブラームス 交響曲第4番 ケンペ(62)

2008.12.28 (Sun)
ケンペ/ロイヤルフィル(62)は「ケンペのブラ4」が聴ける。
この録音はケンペはロイヤルPOの常任時代(61から63)のもの。
ケンペの保有盤は皆39分台でものすごく表現が変化しているわけではない。
この時代すでに確立されている。ホールの響きは適度からやや少なめ。強奏でややにごる。
第1楽章から速めのテンポで明快・率直。小細工なく進む。オケは美しいとはいえない。
第2楽章もそっけないくらいのストレートな音作り。愛想はない。
第3楽章のリズムは無骨である意味ドイツ的ともいえる。太鼓がドコドコ素朴な音。
終楽章も直線的に図太く進む。力強い。但し全奏での音の荒れは耳につく。
悪くないが後年に更によいのがあるので録音も含めてあえてこれを採る必要もないだろう。

11:58  10:53  6:36  10:00  計 39:27
演奏  B+ 録音 85点

 | HOME |  Next »