クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Brahms Sym3 の記事一覧

ブラームス 交響曲第3番 セル(64)

2017.10.29 (Sun)
Brahms3_Szell_J.jpg
セル/クリーブランド管弦楽団(64,SONY)は実に渋い大人。
一聴すると寄りつくシマもないのだが、聴き込むとセルのダンディズムを感じる。
私はセルの演奏をヘッドフォンで聴くことが多い。
それは彼の仕業が微妙・絶妙なためスピーカーでは分からないことがあるから。
この演奏もその仕掛けがある。
それは風景を彷彿とさせるのでなく純粋音楽の範囲内で起こる。

セルのこの3番はブラームスの交響曲全集の最初(残り3曲が66~67)で、
かつACO盤(52年)の再録音になる。

第1楽章冒頭はいつも試練だ。しかしセルは絶妙なバランスでするりと抜けて
こちらもほっとする。これは安心して聴けると直感。
目の詰んだアンサンブルが心地よい。左右の弦の刻みが混濁しない。
トロンボーンが効果的に鳴る。

第2楽章は9分近くかけるが、決して淀まずスッとした印象。室内楽的。
デュナミークは抑制的。

第3楽章はロマン男セルの真骨頂。
szell.jpg
テンポはセルだから速いかと思うとそうではない。
ただトロトロに甘くせず淡々と流すのだが後半にかけて情感が高まる。
端正なフォルムを崩さないぎりぎりの線で膨らませる。テンポの変化が自然。
抑制の影に耐える姿がにじみ出る。
セルはクールだという評は信じない。ただ、私は泣いてますと叫ばないだけ。
ぼんやり聴いていると聴き逃す。

終楽章も慟哭はしないがセルの唸りが聴こえる。
楽器のバランスは常に保たれ憂愁の中に消える。

録音はゼヴェランスホールでのセッション。
このホールは録音時によりやや印象が変わるがここでは比較的デット。
潤いには不足し低域は量感が少ない。
ただセルのアンサンブルを聴くには良いともいえる。音色は地味。

10:17  8:55  6:25  8:52   計 34:29
演奏   A    録音  86点

ブラームス 交響曲第3番 マンゼ(2010)

2017.10.09 (Mon)
マンゼブラ3
マンゼ/ヘルシンボリ交響楽団(2010、CPO)は軽量薄口。
さらりとした音楽づくり、こじんまり音響。

アンドルー・マンゼ(1965~)はイギリスのバロック・ヴァイオリンの名手、
Manze-Andrew-10.jpg
とばかり思っていたら指揮者になっていた。
2006~14年はスウェーデンの南端のヘルシンボリ交響楽団の音楽監督を務め、
2014以降はハノーファーの北ドイツ放送NDRフィルの首席指揮者になっている。
最近はメジャーオーケストラの客演指揮者としても活躍の幅を広げているようだ。
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さてこの演奏、冒頭よりロマン的な粘りは無く、音は短く減衰。
かといって極端な古楽奏法ではない。オケの人数が少ないのか音は分厚くない。
ただ、透明感のあるとまでいえない。やや中途半端な塩梅が気になる。

第2楽章はリピートして10分超かけているが、
ロマンティックな音楽である第3楽章は速めのテンポで抜けていく。
中間2楽章は室内楽的。

終楽章もオケの音が軽く響きが浅いのが気になる。
古楽出身の指揮者、北欧オケによるブラームスと期待したのだが
説得力を得るには至っていないようだ。

録音はヘルシンボリ・コンサート・ホールでのセッション。
Helsingborg_2.jpg
小さめのホールで響きはデット。
SACDなのだが乾いた音響で損をしている。
響きが豊かならオケがもう少し上手に聴こえただろう。

12:23  10:18  5:29  8:25   計 36:35
演奏   B+   録音  90点

ブラームス 交響曲第3番 カンテルリ(55)

2017.10.08 (Sun)
カンテルリブラ3
カンテルリ/フィルハーモニア管弦楽団(55、EMI)は頬かに薫る。

カンテルリ(1920~1956)が36歳で航空機事故で亡くなる前年のステレオ録音。
カンテルリ
この若者を見出したトスカニーニよりも先に逝ってしまった。
トスカニーニの52年盤も名盤だがカンテルリ盤も素敵だ。
年代を感じさせる音だがそれがセピア色。

第1楽章は柔らかく始まり終始遮られた陽光の中。なだらかな起伏。
バーンスタインのようなはったりは無くまろやかな中に歌がある。

第2楽章も全体の演奏時間は平均より少しだけ短いかもしれないが
その中でカンタービレが見られる。7分ごろの歌はゾクゾクする。

第3楽章も自然なテンポの中に情感が豊か。
何気に進んでいたのが3分過ぎからテンポと音量を落としホルンを誘導。
57年にこれまた交通事故死した首席のデニス・ブレインか。ふくよか。

終楽章は推進力がある。
時々聴こえる太鼓のアクセントがスパイス。
一本調子でないのは後半で見せる懐古調の音楽が歌に溢れるから。
この指揮者はセンスがいい。
黄昏に消える

録音はキングスウェイホールでのセッション。
ステレオ最初期で流石にくすんでいるが全体はうまくまとまり
音の崩れは無い。

10:03  8:47  6:20  8:30   計 33:40
演奏   A+    録音  85点

ブラームス 交響曲第3番 チェリビダッケ(79)

2008.12.31 (Wed)
チェリビダッケ/ミュンヘンフィル(79)はEMI盤だがチェリのブラームスにしては勢いが
あると思ったらミュンヘンの主席に就任したばかりの79年のライブだった。
シュトゥットガルトとのDG盤が76年であるから演奏様式はそちらに近い(演奏時間も)。
録音はヘラクレスザールで響きは大きい。フォルテで高域がやや尖るが
この頃のライブとしては優秀。
第1楽章はリピート無しで10分を切る。チェリとしてはストレートで荒々しい表現。
第2楽章は一転チェリ独自の世界。保有盤中もっともゆったりとした部類。
終結部で弱音から粘り腰でクライマックスを形成しその後スーッと力を抜き
夜のしじまを漂うあたりは彼ならではの世界。
第3楽章は弱音を大切にしながらも必要以上に粘らず儚さを演出する。
下を向く脱力させた音が印象的。
終楽章はスケール大きな響きでもだえる。終結部は大きな息遣いでゆっくり。
拍手が入るがもう少し余韻があればよかった。

9:58  10:40  6:50  9:52  計 37:20
演奏  A  録音 89点



ブラームス 交響曲第3番 フルトヴェングラー(54)

2008.12.31 (Wed)
フルトヴェングラー/ベルリンフィル(54)にはティタニア・パラストでの4月27日のライブ(DG)も
あるがこれは5月14日トリノでの演奏旅行中のライブ(Thara)。
録音は54年にしてはやや貧弱か。
第1楽章冒頭は情けない音で始まるがその後は情熱的に歌う。
後半にかけてパッションの高まりを感じる。
第2楽章は弦のヴィブラートがレトロで懐かしい。10分以上かけた遅いテンポでロマンティック。
咳が邪魔。しかしテンポが速くてもクラウス/ウィーンのほうがよほど甘く上品。
ここら辺はオケの差というしかない
。第3楽章も待ってましたというほど少しやりすぎなくらいなロマンティックな表現。
ここまで行くとちょっとどうか。
終楽章も劇性が強い。緩急をつけメリハリがある。面白いとは思うが。音がもう少し良ければ・・・。

10:53  10:18  6:43  10:06  計 38:00
演奏  A-  録音 72点 


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