クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Bruckner Sym4 の記事一覧

ブルックナー 交響曲第4番 ヴァンスカ(2008)

2016.09.13 (Tue)
ヴァンスカ4(1888)
ヴァンスカ/ミネソタ管弦楽団(2009、BIS)は1888年版。
いわゆる「第3稿」で2004年に出版されたコーストヴェットによる版を使用。

「ロマンティック」の版は錯綜しているが大きく三つ。
①第1稿(1874年、初稿版)・・・最近演奏録音が増加。
②第2稿(1878/80年、ハース、ノヴァーク、原典版)・・・戦後演奏の大多数。
③第3稿(1888/89年、レーヴェ、改訂版)・・・戦前はだいたいこの版。

本盤は第3稿の修正版的位置づけ。①と②ではスケルツォがまるで別の曲に
なるなど大幅な違いだが、それに比べると②と③の違いは小さいともいえるが、
決して無視できるものではない。
詳細はコーストヴェットによる解説がCDに付属。

ただ、私はだんだんブルックナーの版の差異に興味が無くなってきた。
シンバルが鳴ろうが鳴るまいが、まあいいかと。
結局は聴いてみて自分にとって心地いいかどうか。

そしてこの演奏、
もしこれを聴いて育ったなら、これでありだと思った。
②の刷り込みのある私でも③のアイデアが面白いと思える部分がある。
但し、演奏全般は少しせかせかした感じもありゆったり浸れなかったのも事実。
テンポの設定ということよりも場面転換が第2稿に慣れている者にとって
唐突な面があったかもしれない。
またヴァンスカもどちらかというと、そうした段差を敢えて繕う指揮者ではない。
いやむしろヴァンスカの指揮自体の方針で版の問題ではないかもしれない。

初稿を最初に聴いた時も違和感があったが慣れてきた。
そうした意味では、第3稿やこのヴァンスカ版についてはもう少し馴染みたい。
ただ、ヴァンスカの挑戦は買いたい。
20091029-osmo.jpg

録音はミネアポリスのオーケストラホールでのセッション。
大植英次による同オケのリファレンスレコーディングと同じホールだが
あそこまでのH-iFiではない。BISらしい落ち着きと少しくすんだ落ち着いた響き。
優秀録音でスケール感は申し分ないが抜けは更に欲しくなった。

18:06  16:18  9:03  18:05   計 61:32
演奏   (A)    録音  94 点

ブルックナー 交響曲第4番 バレンボイム(08)

2016.02.10 (Wed)
バレンボイム4SKB
バレンボイム/シュターツカペレ・ベルリン(2008、SKB)は大きな呼吸感。
先日サントリーホールで聴いたこのコンビによるこの曲の来日公演とイメージが合うが、
7年前のこの演奏の方がやや積極的な感じだ。
かといって今年の2月公演もバレンボイムは全く枯れていなかった。
ストレートで凄いパワーだった。

ブルックナーはスコアをそのまま鳴らすべし、主観は排除すべしという概念に
とらわれた聴き手にとっては好みではないかもしれない。
しかし、壮大で力強くそしてロマンティックな面も合わせ持つ交響曲を聴いて
肯定的な力を得たいと思う人にはぴったり。

オケは従来のシカゴやベルリンのものと異なり両翼配置(実演も同様)。
素朴な力強さとどっしり感をもつこのオケの音は好きだ。
個人的には強固で洗練されたベルリンフィルよりも合致。

第1楽章、スーーッと深く吸い込み、いざとなるとドォーーッっと
吐き出す。独自のうねり感を強く感じる。
それが「ロマンティック」な膨らみを感じさせる。決して禁欲的ではない。

第2楽章のテンポは自然な伸縮を持ち、歌う場面は甘いし噴き出す場面は豪放。

第3楽章も非常によく歌う。弦は独自の艶やかさ。

終楽章は壮大で劇的。冒頭よりブラスがバリバリ・ブリブリ。
ちょっとした溜めや力感の開放など小手先感はなくバレンボイムの芸風だ。
そして終結に向かう静まりかえったところから始まる弦の刻み(19:10~)は
チェリヴィダッケを想起させる(日本公演でもここで鳥肌!!)。
ジリジリジリジリ堪えながら溜めこみ拡がる拡がる。
これぞブルックナーの醍醐味だ。初めてこの曲を聴いた時のことを思い出した。

このCDは終演後ひと呼吸おいて盛大な拍手が収録されているが、
これもサントリーホールでの先日の興奮を思い出させるものだ。
バレンボイム来日
(↑このコピーは、いまどきどうなのか?)

録音はベルリンのフィルハーモニーでのライブ。
曲間の咳払い前後の拍手が収録されいかにもライブッぽい雰囲気。
92年のBPOとの録音も同じ場所だったが鮮度がいい。
奥行き、スケール感申し分ないし、楽器のピックアップも良好。
この盤はSKBの自主製作盤だが最近は優秀な録音機材が安価で手に入るのか
メジャーレーベル録音を凌ぐようなものがポンポン出てくる。

1987/90版
18:59  15:49  10:47  22:00   計 67:35
演奏  A+    録音 95点

ブルックナー 交響曲第4番 バレンボイム(92)

2016.02.02 (Tue)
バレンボイム4
バレンボイム/ベルリンフィル(92、Teldec)は壮麗な情感。

2月1日 (於:サントリーホール)  バレンボイム/シュターツカペレ・ベルリンで
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」を聴いた。
前半の曲はモーツァルト:ピアノ協奏曲第20番K.466をバレンボイムの弾き振り。

このコンビは今回の来日でブルックナーの全曲(1~9番)と
モーツァルトのピアノ協奏曲第20~27番を演奏する。

なんといってもバレンボイムである。73歳。とにかく凄い。
音楽が枯れることなくロマンティックで精力的だった。
SKBとの関係も1992年から続いており以心伝心。
ブルックナーでも時に指揮棒を止めアイコンタクトで指揮をしていた。

バレンボイムはシカゴ響、ベルリンフィルと全集、SKBと4~9番を録れている。
その割にブルックナー指揮者として日本では認められていないのは今は昔の
一部評論家の影響やピアニスト上がりのラテン系指揮者イメージがあるのかもしれない。
しかし若々しいシカゴ響、意志的なベルリンフィルのいくつかは面白かった。

そして今回のSKBは素晴らしかった。
オケを完全に手中に独自のオーラで音楽を自在に進めるバレンボイムは
真の巨匠で天才音楽家だ、と思った。

さて、このベルリンとのCD、これは今から23年前50歳の時のもの。
外形で違うのはこの盤はハース版、今回のは1878/80年版、
オケがベルリンフィルの通常配置、今回はSKBで両翼配置ということ。

基本的な解釈はほぼ同じとみなせるが、今回の実演は自然に入ってきた。
バレンボイムに共通するのは決して「無表情」ではないということ。
「情感」が籠められている。
ベルリンはそれがやや強引に感じられたのだが、SKBとのそれは作為的な
感じを抱かせないまでに昇華されていた。

しかしそれはともかく振り返ってこの盤を聴く。
全く話題にならなかった?このベルリン盤も巨大なスケールとエナジーでは
SKBに勝るものである。
daniel-barenboim_20160202224121879.jpg

録音はベルリン・フィリハーモニーでのライブ収録。
咳払いもたまにはあるが気になるノイズはない。
この会場での聴衆を入れてもこの響きの多さは好みではないが。
私としては低域の締まりがもう少し欲しい。

19:12  16:17  10:24  22:30   計 68:23
演奏   A   録音 90点

ブルックナー 交響曲第4番 メータ(70)

2013.01.05 (Sat)
メータブルックナー4
メータ/ロスアンゼルスフィル(70、DECCA)は西海岸のブルックナー。
演奏者も聴き手も明日はきっと明るいと信じることができる。
私はこの曲では元気で明るい演奏が好きなので聴いていて爽快。
何も考えず壮大な音響に身を任せる快感。
世間的には、メータのブルックナーなんて、ということで見向きもされないかも
しれないが、これは好きだ。

録音は1970年4月、ロスアンジェルス、UCLAのロイス・ホールでの録音。
アナログのためヒスは若干あるが抜けの良い優秀録音。
帯域も広く空間も良好。分離の良さがスキッとした演奏の傾向に拍車をかける。
さすがDECCA。

第1楽章はまさに痛快。推進力を持って燦々と輝き、迷うことがない。
全奏では底抜けの大音響。ホルンや金管の屈託ない響きが左右から掛け合う。
弦は爽やかで気持ちよい。

第2楽章は、弦の歯切れのよい進行に、普段は聴こえないトランペットが
のっかってくるなどDECCAならではのマルチマイクサウンドが威力を発揮。

第3楽章は嬉々としたブラスの饗宴。いい音だ。
トリオではべたつかない範囲で情感を出す。

終楽章はまたノリノリ。
各フレーズ毎に愛らしいが変な癖はなく初々しいムードが満点。
弾けるティンパニ、バリバリのトロンボーン
それぞれの奏者が目指す方向を信じている。低弦はゴリゴリ前進。
最後まで前向きで豪快なサウンドが炸裂する。

一面的と言うなかれ。
ここまで割り切りがよいことはよいこと。あースッキリ!

16:55  15:45  10:55  21:00   計 64:35
演奏  明A+   録音 91点

ブルックナー 交響曲第4番 ナガノ(07)

2013.01.04 (Fri)
ナガノブル4
ナガノ/バイエルン国立管弦楽団(07、SONY)は初稿による演奏ながら
響きに魅せられた。

録音はミュンヘン・ファラオスタジオでのセッション。
聞きなれない場所での録音だが、音響はすこぶる良い。
低域からまんべんなく持ちあがり、残響も適切。

第1楽章を聴き始めて稿の問題より、このブルックナーサウンドに満足。
木質で温かく深い。録音条件が良くオケの音色、ブレンドが素晴らしい。
この響きに浸っているだけでいい気分。今まで聴いてきた第一稿とまるで違う印象。
それは音がブルックナーそのものなので違和感がないから。
これは響きの深さと呼吸感がぴったりだから。
ふと我に返って曲を聴いてみると確かにいつも聴いている曲と違う(笑)。

第2楽章も曲がかなり違う。まとまりの良さは現行版の方なのは間違いない。
20分をかけ終結部はかなり巨大な音楽が鳴る。
彷徨いながら深い森に入り一気に巨大な展望を目の当たりにするという様子。

第3楽章は完全に音楽が違う。狩りのラッパというよりも山の木霊を聞く。
確かにシンプルなモティーフをひたすら繰り返すこの音楽は?だが、
ミニマルミュージックと思えば良い。

終楽章は重厚な音響が連続する。
つぎはぎの音の塊りを聴いていると、広大な宇宙の中で流星群に遭遇した印象(想像)。
ひたすら20分間これが現れては消えて唐突に無くなる。

初稿という珍しさを越えてブルックナーの音楽を演奏している。
この版が定着するかどうかは、こうした完成度の高い演奏をいくつか
聴く必要があろう。
出来ればこのコンビで現行稿演奏と2枚組にしてほしかった。

第1稿(1874)
21:15  20:17  13:17  20:04   計 74:53
演奏  A+   録音 95点
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