Schumann PianoQuintet の記事一覧
- 2022/02/20 : シューマン ピアノ五重奏曲 ヤンドー(p)/コダーイSQ (90)
- 2018/11/21 : シューマン ピアノ五重奏曲 ゼルキン(p)ブダペストSQ(63)
- 2018/11/20 : シューマン ピアノ五重奏曲 アントルモン(p)アルバン・ベルクSQ(85)
- 2018/11/19 : シューマン ピアノ五重奏曲 アルゲリッチ(p)と仲間たち(94)
- 2018/11/18 : シューマン ピアノ五重奏曲 ピリス(p)デュメイ、カプソン、コセ、ワン(99)
2022.02.20 (Sun)

ヤンドー(p)/コダーイ四重奏団(90、NAXOS)は拾い物。
いかにも室内楽、安らかで楽し気な雰囲気が良い。
安く出ていたので期待もせず買って聴いていたらとてもよかった。
冒頭を聴いて一瞬でこの演奏が好きになった。
何気ない家庭的な暖かい雰囲気。
ピアノがでしゃばるわけではない。皆で語り合う。
シューマンが幸福な時期に書いたこの曲。
大上段に振り構えなくて、でもいきいきしている。
あー、いい曲だなと味合わせてくれる。
ナクソス常連のハンガリーのメンバーによる気心知れた演奏。


録音はブダペスト、イタリア会館でのセッション。

小編成のコンサートで使用される響きの良いホール。
独特の模様が背景にあり雰囲気がある。まったく不足ない。
9:07 8:07 4:45 7:06 計 29:05
演奏 A+ 録音 92点
2018.11.21 (Wed)

ゼルキン(p)/ブダペスト弦楽四重奏団(63、SONY)はロマン的野武士。
音色は古式ゆかしく重心の低さを持ちながら、結構歌うから。
また弦のヴィブラート多さは時代的色調だろう。

ゼルキンはこの四重奏団と相性が良かったのだろう。
飛び出さず埋もれず自己の位置づけを表す。
第1楽章は逞しいが、
第2楽章は音色はそのまま男性的なのに前半女々しい。
アジタートの部分は感情が高ぶる。
第3・4楽章は素朴な力強さが出る。弦は松脂が飛ぶような放出。
録音はマルボロでのセッション。比較的狭い会場のようでデット。
ここでの音楽祭の時に録音したのだろうか。
テープの保存状態に起因するのか強音部分で若干の濁りを感じる。
8:42 9:28 4:41 6:58 計 29:49
演奏 A- 録音 82点
2018.11.20 (Tue)

アントルモン(p)/アルバン・ベルク弦楽四重奏団(85、EMI)は
ABQもライブではこんなに積極的になるんだと驚く。
ウィーンのこのSQがニューヨークにやってきていつもより張り切ったのかもしれない。

同じライブでもアルゲリッチ盤のようにピアノがひっぱり回すのではない。
アントルモンはどんな時も音を汚さないセンスがいい。
弦楽が主導するが特に第1Vnのピヒラーとチェロのエルベンの雄弁さが光る。
全体は熱演だが様式を崩さない。
第1楽章から立体的でシンフォニックな充実した響き。
チェロの男性的な響きが印象的。
第2楽章は加えて多彩だ。
第3楽章は大人の逞しさが漲る。
終楽章もがっちりした構成をベースにしながらどんどん熱くなる。
スケールも大きい。聴き終えてずっしり。聴衆の歓喜は分かる。
録音はカーネギーホールでのライブ。

響きは大きくなく近接感があるので室内楽ホールの方かもしれない。

しかし、聴衆の拍手を聴くと大ホールのようにも聞こえる。

音像は左右に広がり、対比感がある。演奏中の聴衆ノイズはほぼない。
8:37 8:33 4:50 7:13 計 29:13
演奏 A+ 録音 90点
2018.11.19 (Mon)

アルゲリッチ(p)、シュバルツベルグ/ホール(Vn)、今井(Vo)、マイスキー(Vc)
(94、EMI)は歌、時々炎。
アルゲリッチの2002年盤ルガノ・ライブに比べれば落ち着いたしっとりした表情をもつ。

とはいえそれはルガノ盤に比べればという話。
ライブらしい温まり方で後半に行くほど燃焼度は上がる。
第1楽章は室内楽の範疇を守り礼節がある。息遣いがあり艶やかな瞬間もある。
第2楽章もしっかり歌われるが後半にピアノが檄を飛ばす。
第3楽章では一層ピアノの打鍵が激しくなる。それを弦がなだめる。
終楽章は後半が分厚く迫る。拍手はあるがルガノ盤ほどの熱狂ではない。
録音はオランダ、ナイメーヘン・コンセルトヘボウでのライブ。

ナイメーヘンはドイツとの国境近くの街でライン川がワール川に変わるところにある。
音は標準的なレベル。2002年ライブのほうがやはり新鮮な音がする。
9:06 9:06 4:25 7:15 計 29:52
演奏 A 録音 90点
2018.11.18 (Sun)

ピリス(p)、デュメイ・カプソン(Vn)、コセ(Vo)、ワン(Vc)(99、DG)は夢見る香り。
録音も含め今の私に一番ぴったりくる演奏。
これを聴くとほかの演奏がこの曲の一面のみを捉えていたのではないかとさえ思う。
なんて可憐で繊細で美しいのか。
単に綺麗なだけでなく表面の楽しさに潜む心の震えもしっかり含む。
妻クララ・シューマンに献呈した曲ということが頷かれる。

ピリスもデュメイもカプソンも好きな奏者。



ドイツ風のガッシリきっちり系とは違うふわっとした空気感。
全楽章荒れたところがなくこの曲の特徴である躍動だけでなく、
その後の密やかな歌がこれほどデリケートに扱われた演奏を知らない。
聴き終わった後に幸福感に包まれる。
録音は英サフォーク州スネイプ・マルティングス・コンサートホールでのセッション。

屋根が木製・側壁が石造りのように見える特徴的なホール。
ここで聴く音響は美しい。演奏を活かしておりこれも言うことなし。
8:59 9:08 4:38 7:19 計 30:04
演奏 S 録音 95点