クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Beethoven VnCon の記事一覧

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 ウーギ(70)

2017.08.26 (Sat)
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ウーギ(Vn)/アンドレーエ/スイス・イタリア語放送管弦楽団(70、ERMITAGE)は
カンツォーネ。

ウート・ウーギ(1941~)はイタリアで絶大な人気を誇るヴァイオリニスト。
イケ面の彼が20代最後に歌いまくった演奏。
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考えてみればイタリアはガルネリやストラディバリなどヴァイオリンの名産地だが、
著名なヴァイオリニストというとアッカルドとこのウーギくらいしか思い浮かばない。
そしてウーギはイタリアらしい大らかに明るく歌う。

マルク・アンドレーエ(1939~)はスイスの名門音楽一家の血統をひく指揮者。
チューリッヒ出身でローマやパリの音楽院を出て指揮者となった。
地味な存在だがひと癖持つ。
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オケはルガーノ放送管弦楽団とも言われる。
ルガーノはスイスというよりもアルプス南部に位置しイタリアに突き出し
言語もイタリア語圏。都市といえばミラノで、60キロ。
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このオケは放送局付きで何でもこなすが
精度が高いとは言えないのは土地柄か。

第1楽章の序章はオケの方針表明。
指揮者はテンポに緩急をつけ抒情的な部分ではテンポを落とし歌います、
と宣言。しかしてこの演奏はオケもヴァイオリンもその後そのような展開。
ヴァイオリンは大柄で前に出る。元気よく、くよくよしない。
カデンツァはクライスラー。

第2楽章もヴィブラートが満載でそして歌いまくる。
決してデリケートではないがのびのびしていて気持ちいい。

終楽章は両者にやや疲れが目立つが最後まで歌いつくす。

録音は放送局のホールに聴衆を集めてのライブ。
響きは多くないがソロは明快に響く。
時折車の発進音が聴こえる(exⅠ7:40)。
半世紀近く前の録音にしては優秀。さすが放送局。

24:15  8:46  10:04   計 43:05
演奏   歌A    録音  87点

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 ハイフェッツ(55)

2017.08.25 (Fri)
ハイフェッツ
ハイフェッツ(Vn)/ミュンシュ/ボストン交響楽団(55、RCA)は
快刀乱麻を断つ。
37分半、この曲をこんなに一気に聴かせる演奏はほかに思い当たらない。
他が全部生ぬるく感じるのは困りもの。

冒頭のオケを聴いた瞬間、これは好きだ、と直感。
ミュンシュが速いテンポで決然と音楽を進める。
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きりりとした空気が漂う中、
ヴァイオリンは眠狂四郎か木枯らし紋次郎のように一振りで瞬殺。
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めちゃくちゃカッコイイこの二人。

ハイフェッツのヴァイオリンは単に無表情に冷徹というよりも
その鉄面皮の下に熱い思いを湛えているところがいい。
速いテンポでアクセントを強固に刻みながらオケは分厚く進むが
ヴァイオリンは全くひけをとらないで切れ込んで切る。最高だ。

16:56から19:35のカデンツァはハイフェッツの師のアウワー作のものを
改変して演奏。滅多にないものだが甘さのない技巧を披露。

第2楽章も速めのテンポで切ない。
べたべたの甘さではなくやせ我慢のそれだ。なんとロマンティック。

終楽章はハイフェッツが走る。オケは猛然と追いかける。
ミュンシュも負けない。スリリング。
この曲で協奏曲の快感をここまで味わえる演奏はない。
大家ががっぷり四つに組む。ライブならブラヴォー必至。

録音はボストンシンフォニーホールでのセッション。
録音年を忘れる迫真の音。名ホールと優秀なRCA録音陣の成果。
勿論経年のヒスやちょっとした飽和感はあるがり、リスクテイクして
テープ能力いっぱいまで録音レヴェルを上げたのがこの生々しさを
今に伝えることになった。名演名録音。

20:29  8:44  8:20   計 37:33
演奏   刀S    録音  87点

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲(ピアノ編曲版) 杉谷昭子(94)

2017.08.24 (Thu)
杉谷
杉谷昭子(p)/オスカンプ/ベルリン交響楽団(94、Brilliant)は終始優しい。
杉谷昭子(1943~)は東京芸術大学卒業後、1976年ケルン音楽大学大学院修了。
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本演奏はもともとオランダVerdi Records原盤で
このコンビのベートーヴェンピアノ協奏曲全集に含まれていた。
現在はブリリアントの廉価版全集などに含まれている。

この人の演奏は全く奇を衒うことがない。そこがよさでもあり地味でもある。
テンポはおっとりしている。
カデンツァもティンパニを伴うベートーヴェン作のものだがことさらに強調しない。
技巧をひけらかさないのはいいが、全体がたどたどしく聞こえる。

オケは良い音を出しているが、こちらもハリが弱い。
ということで全体的に優しい易しい演奏。

録音はベルリンのジーメンス・ヴィラでのセッション。
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すこしくすんでいるが、いい響きである。

25:20  10:58  11:18   計 47:36
演奏   A-    録音  90点

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 ヴェルヘイ(80年代?)

2017.08.23 (Wed)
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ヴェルヘイ(Vn)/フォンク/ユトレヒト交響楽団(80年代前半,Brillant)は
愚直丹念入念。しつこいぐらい音符を辿るので保有盤最長の46分超え。

エミー・ヴェルヘイ(Emmy Verhey, 1949~)はアムステルダム出身。
1966年史上最年少の17歳でチャイコフスキーコンクールでファイナリストになり
一躍脚光を浴びた。(↓当時の写真)
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1990年頃まではソリストとしての活動が活発だったが1983年にユトレヒト音楽院の
教職に就任して以降は指導の比率が高くなっているとのこと。

また、ユトレヒト交響楽団は1985年にネーデルランド室内管弦楽団と
統合してオランダ・フィルとなったもの。
したがってこの録音は85年以前と考えられる。

この演奏は最初から最後までインテンポを貫き、
ひたすら真面目に自己主張することがない。曖昧さはないが華もない。
カデンツァはクライスラーだがこれまた実直。
オケは地味ながらしっかりヴァイオリンに寄り添う。
ヴァイオリン学習者にとってはまさに教本のような演奏なのだろうが、
一般聴衆の立場とすれば楽譜+アルファを求めてしまう。

録音場所は不明のセッション。録音は悪くない。
まともな音楽がまともに聴ける。こちらもまた虚飾のない音。

25:49  9:49  10:42   計 46:20
演奏   A-    録音 90点

ベートヴェン ヴァイオリン協奏曲(ピアノ編曲版) デュシャーブル(99)

2017.08.22 (Tue)
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デュシャーブル(p)/メニューイン/シンフォニア・ワルソヴィア(99、EMI)は
ピアノの表現が面白い。

デュシャーブル(1952~)はベロフ、ロジェ、シフと同世代のフランスのピアニスト。
超絶技巧ということだがここではそのようなひけらかしはない。
粒立ちのよい音で、表現力に富む。

一方、ロシヤ系ユダヤ人としてアメリカに生まれたメニューイン(1916~99)。
彼はヴァイオリニストとして何度もこの曲を録音している。
また、1984年にこのオケを創設し指揮者として専ら古典をやってきた。
因みにこの録音は99年1月、そしてメニューヒンはその2か月後に気管支炎が
こじれて82歳で世を去った。つまり最後の録音になった。

第1楽章のオケはスケールはほどほどで少しピリオド的な雰囲気も。
威圧的にならず丁寧に進む。
ピアノがクレッシェンドしながら入ってくる。こちらも軽やかである。
しっかり考え抜かれフレーズごとに聴かせる。
カデンツァはベートーヴェン作曲のものだが、
緩急を巧みにつけティンパニのロールも非常に効果的。

第2楽章はしっとりの中のお茶目。
前半は抒情的なのだが6:24から始まるピアノ独奏はフォルテピアノか
オルゴールのような音をわざと出して見せる。カデンツァはここでもうまい。

終楽章はチャーミング。一気呵成ではなくて丁寧に音を紡いでい行く。
オケは全般に出しゃばることなくつけている。
メニューヒンはこのコンビのシューベルトの交響曲で快速活気に満ちた
演奏を展開していたがここでそうした姿ではない。
体調がすでに万全でなかったのか。

録音はワルシャワのルストワフスキ・スタジオでのセッション。
Witold Lutosławski studio
響きは多くないがピアノ、オケともに鮮明に捉えられておりかつ綺麗。

23:59  11:02  10:26   計 45:27
演奏   A+    録音  93点
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