クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Beethoven Sym1 の記事一覧

ベートーヴェン 交響曲第1番 ブロムシュテット(79)

2018.04.03 (Tue)
ブロムシュテット17
ブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ(79、DS)は
懐かしい清冽。

ブロムシュテットはこの曲をこの後サンフランシシコ響(90)、
ゲヴァントハウス管弦楽団(2017、ライブ)で再録音しているが
収録時間は後年になるほど短くなっている。
これは本盤のあと出現したピリオド系演奏、会場の音響、聴衆の有無が
影響しているかもしれない。

ただ、今でもこのアナログ録音が価値を失わないのは
古き良き時代のドイツの音の懐かしさがあるから。
そんな魅力がドイツ・シャルプラッテンによるSKD+聖ルカ教会にはある。
同じ場所でケーゲルがドレスデンフィルとデジタル初期に録音しているが
音楽の作りとしてはブロムシュテットの方が爽快で
この曲ではこちらの演奏に惹かれる。

録音はドレスデンの聖ルカ教会でのセッション。
dresden2.jpg
アナログ末期の完成度の高い音。この教会の豊かな響きが美しい。
細部を穿つ録音でなく全体のシルキートーンを味わう。

9:03  8:32  3:26  6:09   計  27:10
演奏   A+   録音  91点

ベートーヴェン 交響曲第1番 ケーゲル(83)

2018.04.02 (Mon)
ケーゲル全集
ケーゲル/ドレスデンフィル(83、CAPRICCIO)はゆったり堂々。
ケーゲル(1920~90)がこのオケの首席指揮者を務めていた時(1977~85)の録音。
この響きはどこかで聴いたことがあると思ったら、
録音場所がブロムシュテット盤(79年)と同じ聖ルカ教会だった。
(↓左が現在の姿、右が在りし日の姿)
ルーカス教会今昔

ケーゲルは現代ものなどでどこか尖鋭で硬質な音楽を作っていた印象があるが
このベートーヴェンは実に豊か。繰り返しをしないので全曲は22分少々と短いが、
基本的なテンポはむしろ遅めでこの教会の音響の余韻を楽しんでいるところがある。
また、アクセントも丸くテヌート気味なので尖った感はない。
Vor-25-Jahren-starb-Herbert-Kegel.jpg
解釈はどこにも奇を衒うことはない。
フルオケの充実した音楽は安心してリッチな気分になれる。
販売元のキャッチコピーに『見慣れた平凡な絵にエックス線を照射してみたら、
絵の具の下に見た事も無い激しいタッチの下絵が浮き出て来て、
それまでのその画家のイメージが180度変わってしまった様な、
ショッキングでしかも味わい深いベートーヴェンである。』とあるが、
この曲ではそんな風には感じられなかった。

録音はドレスデン聖ルカ教会でのデジタルセッション。
SACDにもなっているようだが当方所有はカプリッチョのCD盤。
レーザーライト盤なども出ていたがこちらの方がふくよかな印象。
この教会特有の量感のある響きが捉えられている。

7:34  5:46  4:03  4:48   計 22:11
演奏   A     録音  90点

ベートーヴェン 交響曲第1番 ヨッフム(78)

2018.04.01 (Sun)
ヨッフムLSO12
ヨッフム/ロンドン交響楽団(78、EMI)は一見真面目風だが遊び心が覗く。
このコンビのベト全(ヨッフムとしては3度目)はアナログ末期の録音と
既存の演奏との差別化が難しい中庸な印象で忘れ去られたように思う。
但し、個々の演奏をよく聴くと結構面白い。
Jochum_Eugen.jpg
演奏全体は今からみるとオールドファッションだが
ちょっとしたニュアンスにヨッフムの矍鑠たる刻印がある。
第1楽章に見るフレーズ最期のテンポを落としドスコイ調に
するところなど彼一流のユーモア。
第3楽章など勢いに派乏しいが交響楽的な音響の構築と
トリオの密やかさの対比など仕掛けありだ。
終楽章など冒頭のドーンとその後の弦のお茶目な表情にニヤリ。
その後は大真面目な立派さ。

録音はロンドンのスタジオセッション。
アナログLP時代はクアドラフォニック4chだった。
そのこともあってか響きも取り入れた音で狭さは無い。
癖のないフラットな音。

9:20  6:32  4:01  6:10   計 26:03
演奏   A   録音  90点

ベートーヴェン 交響曲第1番 ギーレン(92)

2018.03.31 (Sat)
ギーレン15インターコード
ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団(92、INTERCORD)は20世紀様式の完成型。
名演。
本盤の録音時は既に多数のピリオド系演奏が出ていたが、ギーレンはそうしたことに
拘泥しない。もともとロマン的に肥大化しない指揮者なので時代遅れ感は全くない。
確か発売時このようなマイナーなコンビやレーベルに厳しかった某レコード雑誌でも
特薦となっていた(「運命」との組み合わせ)。
この後ギーレンは97年~2000年にかけてヘンスラーで全集再録音(ライブ)を
行っているが総じてテンポは遅くなっている。
Gielen1_20180331115455ee1.jpg
本盤はモダン楽器による透き通るような演奏。
一見即物的なのにパトスを感じさせる点で、セル/クリーヴランドを思わせる。
第1楽章の出だしはホワッとした雰囲気だが主部に入ると動感を高め快速に移る。
それらが実に自然に行われる。細部のアクセントに推進力を宿す。
第2楽章も古典的な引き締まった造型とテンポが気持ちよい。
第3楽章はモダンオケのシンフォニックな響きに満ちる。
終楽章も勢いを保ったまま駆け抜ける。

なお、併録の「運命」は更に引き締まった意志が横溢する素晴らしいもの。

録音はバーデンバーデン、ハンスロスバウト・スタジオでのセッション。
バーデンバーデン
Hans-Rosbaud-Studio.jpg
木造で一定の響きを確保したこのスタジオの音響は良い。
個々の音を神経質に拾うのでなく滑らかに全体を調和させる。

8:31  6:53  3:21  5:45   計 24:30
演奏   A+    録音  91点

ベートーヴェン 交響曲第1番 ノリントン(87)

2018.03.28 (Wed)
ノリントンLCP16
ノリントン/ロンドンクラシカルプレイヤーズ(87、Virgin)は
小気味よいごちゃつき感。
80年代になってどっと出てきた古楽器、ピリオド奏法を用いた
演奏の中でもこの演奏(全集)は特に溌剌系だった。
ノリントンの嬉々とした指揮ぶりが目に浮かぶ。
norinntonn.jpg
強弱のアクセントは激しく、時にドラムロールの爆発に驚いたりする。
ノリントンはこの後シュトットガルト放響と再録音を
行っているが刺激を求めるならばこちらの方だ。
テンポ自身はそれほど速くないが楽器のバランスは
いびつとも思えるようなはみ出しも辞さない。
特に終楽章など若きベートーヴェンの疾風怒濤を見るようだ。

録音はアビーロード第一スタジオでのセッション。
こじんまりした音響の中でそれぞれの楽器がピックアップされる。

8:49  7:07  4:19  5:33  計 25:48
演奏   溌A   録音  90点
 | HOME |  Next »