クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Beethoven Sym7 の記事一覧

ベートーヴェン 交響曲第7番 ブロムシュテット(75)

2017.04.26 (Wed)
ブロムシュテット7
ブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ(75、DS)は最高に美しい。
この7番で聞き惚れる演奏の筆頭。

第1楽章、冒頭の和音から抜け出る木管(Ob:マーン)の響きに痺れる。
そして左右の弦が森の木々の音。
フルート(ワルター)は小鳥の囀りにしか聞こえない。
金管(Hr:ダム)の登場と共に陽は昇る。
この曲が田園交響曲の続編であることを思い知る。
奥で鳴るティンパニ(ゾンダーマン)は出しゃばらないのに
しっかり芯のある皮の音が音楽を引き締める。

第2楽章もルカ教会に響くこのオケの光沢のある音が本当に素敵だ。
テンポは遅く一貫しているがシルクを一本一本丁寧に織り込むような
光景を目の当たりにしていると時間を忘れる。

第3楽章のテンポもゆったりしており凡百の演奏なら
飽きてしまうのだが、この心地よさは何か。

終楽章は壮大な賛歌だ。
終結に向かってぐんぐんスケールを増していく。
高度を上げる。
いつの間にかシュバルツバルトを高見から眺める位置にいる。
Schwarzwald.jpg

録音は聖ルカ教会でのセッション。
この時期のドイツ・シャルプラッテンのここでの音は素晴らしい。
この演奏がここまで心に沁みるのは
このオケ・この場所の寄与なくしては語れない。

13:31  9:57  9:45  9:03   計 42:16
演奏   S   録音  94点

ベートーヴェン 交響曲第7番 オーマンディ(64)

2017.04.25 (Tue)
オーマンディベト全
オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(64、SONY)は堅固で巨大。
低域からどっしりピラミッド型でびくともしない。
よく言われる「ゴージャス」なフィラデルフィア・サウンドは感じず、
ドイツのオケと言われれば信じてしまう。
面白さを感じるかといわれるとどうだろう。とにかく立派なのだ。
小細工無用の自信が漲る。

第1楽章は悠然とした展開。メトロノームが意識された最近のものと違い
リピートなしで13分半。最初から最後までインテンポで押し通す。
ドラマは無いが虚飾もない。

第2楽章もひたひた9分半。一つ一つ実に丁寧な歩み。
ベートーヴェンが書いた精緻な書法をゆっくり呈示。

第3楽章も変わりなし。急ぐことは無い。
大編成オーケストラを鳴らしているのであまり速くすると音が重複する。
それを避けているのか。ピリオドを聴いた耳からすると重いリズム表現。

終楽章もインテンポで押し通す。このオケの低弦がいい音。
男性的だが全体のバランスは崩さない。
アッチェレランドで興奮をあおることは無いのだが、なんだかすごい迫力。
やはりこの曲は凄い曲なのだ。
ormandy.jpg

録音はフィラデルフィア・タウンホール。響きは相応にあるスケール感ある音。
RCAに移籍した後弦がキンキンした録音もあるのだがここでは豊麗。
細部の明晰さはそれほど追求されないが力のある音。

13:37  9:29  9:39  7:18   計 40:03
演奏   厚A    録音  87点

ベートーヴェン 交響曲第7番 バーンスタイン(78)

2017.04.24 (Mon)
bernsteinvpo7.jpg
バーンスタイン/ウィーンフィル(78、DG)は前半と後半で激変。
前半はひたすら恰幅と安定、後半は舞踏感満載。

バーンスタインがVPOと満を持して作ったベートーヴェンの交響曲全集。
同じころカラヤン/BPOが同じDGで全集を作ったが音楽はまるで違う。
欧州に進出してバーンスタインの音楽は丸くなった、
が同時に面白みも少なくなったといわれる。私もそう感じることがある。
それでも実際によく聴いてみると外見の奇抜さ無くとも充実感はある。

この曲もそうだ。
バーンスタインにとってこの「舞踏の神化」はぴったりだと思うが、
不思議なことにニューヨーク時代は落ち着いたテンポで煽らない
音楽づくりをしていた。というか、はっきり言えば煮え切らなかった。
しかしここでは前半は遅い中にも一層きめ細かな肌合いを持ち、
後半戦は怒涛の姿を見せる。

第1楽章はどっしり不動感。興奮させる音楽ではない。
しかし非常にきめ細かな指示=ニュアンスを感じる。
ここら辺が同じテンポの遅さでも旧盤の世界とは違う。

第2楽章は80年代ならもっと重くなっていたかもしれないが
ここでは均衡感がある。終結にかけてはテンポを落とし寂寥感を演出。

第3楽章からは一転躍動感。リピートをする。弾むリズムは面目躍如。

終楽章はバーンスタインの唸りとともに熱い。
敢えて粗さを演出したような感。本領発揮だ。
bernstein.jpg

録音はムジークフェラインでのライブ。
細部というより全体の響きを重視。アナログ末期の優等生。
拍手は無いが(個人的にはあった方がよかった)、
音の反響や静音部で確かに聴衆の気配は感じる。
また、指揮者の足のふみならし音が聞こえライブ感もある。

14:15  8:46  8:59  7:04   計 39:04
演奏   A+   録音  91点

ベートーヴェン 交響曲第7番 バーンスタイン(90)

2017.04.23 (Sun)
バーンスタインラスト
バーンスタイン/ボストン交響楽団(90、DG)は言うまでもなく最後のコンサート。
この演奏はまさに「記録」だ。

バーンスタイン(1918~90)は14歳から煙草を吸い始め72歳まで
ひたすらチェーンスモーカーだったという。
bernstein smoking2bernstein smoking
1日100本吸い大量のアルコールを嗜んでいたのだから寿命はもっと短くても
不思議ではない。勿論医者からはそんな不摂生はやめなさいと言われていた。
常人なら気をつける。でもバーンスタインは気にしない。
そういえば、バーンスタイン来日時に私がサインをねだりに行った時も煙草があった。

1990年春、末期がんを告知されていた。しかし、最期の最後まで精力的だった。
7月に来日し途中でコンサートをキャンセルし騒動となった。
「過労」が原因で中止と発表されたが、実はホテルで倒れ死の淵にあった。
当時は極秘にされた。
そして、彼を育てたタングルウッドで懐かしいこの曲を振って最期を迎えた。

バーンスタインのベト7は5種類の音盤が確認される(もっとあるかも知れないが)。
① 1957 BSO  11.32 7.59 6.48 6.37
② 1958 NYP  12.31 9.46 8.26 7.35
③ 1964 NYP  14.30 9.03  9.27  9.03(リピートあり)
④ 1978 VPO  14.15 8.46 8.59 7.04
⑤ 1990 BSO  16.19 9.48 10.76 8.01
最初と最後がボストン響とのライブ。しかし演奏は全く違う。
①は記録的なハイスピード。⑤は記録的なスロー。
①は強引にオケを引っ張る若武者。しかし⑤はオケと聴衆がこの指揮者を支える。
この演奏の感動はそこにある。

録音はマサチューセッツ州・レノックス・タングルウッド・ミュージック・
センターでのライブ。屋外に向けてのコンサートだと思うがしっかり録れている。
tanglewood.jpg
屋外で音が拡散する前に近接マイクで録っているからだろう。
少しオフだが予想以上にいい音。最後の聴衆の熱狂的な拍手も収録。

16:19  9:48  10:26  8:01   計 44:34
演奏  涙    録音  90点

ベートーヴェン 交響曲第7番 シェルヘン(65)

2017.04.19 (Wed)
シェルヘン
シェルヘン/スイス・イタリア語放送管弦楽団(65、MEMORIES)は
ガタピシャ滅法快速。
同じく速いカラヤンの洗練された重戦車に対しこちらは痩せた田舎者の槍鉄砲。

シェルヘン(1891-1966)の旧盤50年のウィーン国立歌劇場管弦楽団との演奏は
非常に伝統的でまっとうな演奏だった。指揮者の変容が極めて激しい。
演奏時間も6分ほど短くなった。大胆なアゴーギグは旧盤には全くなかった。
15年でなんでこんなに変わってしまったのだろう?

ではこの演奏が色物かというとそうではない。
指揮者は本気だ。いたるところで聞こえる指揮者の唸り。
アンサンブルは、・・・はっきり言って重要ではない。破れかぶれのゲリラ戦。
終楽章は完全に前のめりでオケが食らいつくのが必死。

ここで一つ気づいた。
最初からがたついた演奏が一層ガタついてもそれは一種の予定調和。
むしろすました名門オケをぎりぎりまで追い込んでガタつく寸前まで
やってしまう方がスリルがある。
クライバーやカラヤンの凄さはそんなところにある。

録音はルガノのオーディトリウムRTSIで聴衆を入れてのライブ。
拍手が入るが聴衆ノイズはあまりない。デットな音響で薄い音。
慣れれば聴ける。

10:07  7:54  7:13  6:45   計 31:59
演奏   槍    録音  84点
 | HOME |  Next »