クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Brahms Serenade1 の記事一覧

ブラームス セレナード第1番 ハイティンク(76)

2017.01.18 (Wed)
ハイティンクセレナp度
ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(76、Philips)は
巨大・空前のスケール。

この若書きの気楽なセレナードを超一流オケと上り調子の指揮者が真正面から音にした。
しからばこれを代表盤というに憚るところがないか、と言われればどうだろう。
曲には曲の世界があろう。この演奏は予定された枠を大きく超えている。

青年が野原を歩きながら思いを馳せた楽想が、ここでは宇宙の鳴動のよう。
その大きな要因がこのオケ最大の楽器である本拠地ヘボウの音響にあるのだが・・・。
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また、真面目なハイティンクは全く手を抜くことなく意志を持ってこの曲と対峙する。
それをオケが全力で受け止めるのでサウンドが真剣勝負。
人が一生懸命にやっている仕事を茶化す気持ちはない。
音楽的な充実度はある意味ずば抜けている。けれど過剰品質という言葉が浮かんだ。
ブラームスが聴いたらこの曲をここまで立派にしてくれてありがとうというかもしれない。

録音は本拠地コンセルトヘボウでのセッション。いかにもフィリップスらしいまろやか空間。
マストーンなので打楽器などの輪郭はぼける。
綺麗なことこの上ないが宇宙的瞑想に入りそうな音場感でもある。

9:43  7:39  15:19  4:12  2:54  6:05   計 45:52
演奏   巨    録音  90点

ブラームス セレナード第1番 ラハバリ(90)

2017.01.17 (Tue)
ラハバリセレ1
ラハバリ/ベルギー放送フィルハーモニック管弦楽団(90、NAXOS)はおおらか。
このような曲ではこうした指揮ぶりがフィットする。

ラハバリ(Alexander Rahbari 1948~)はイラン・テヘラン出身の指揮者。
ほかにイランの有名な指揮者はいるだろうか?
10歳上のチェクナボリアンはアルメニア系のイランだった。
イラン1
とにかく若くして(1974~77年)テヘラン音楽院院長を務めるなど
母国では貴重な存在。77年ブザンソン指揮者コンクールで優勝し
80年にはザルツブルグ音楽祭でカラヤンの助手などを経て
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1988~96年にかけて本オケ(現ブリュッセル・フィル)の首席を務めた。
この間にナクソスはじめマイナー・レーベルに多数の録音を残した。
現在はザグレブ・フィルや母国イランで活躍しているとのこと。

またこのオケはベルギーという位置づけを示すような雰囲気を持っている。
ドイツっぽさよりフランス寄りで、まろやかな雰囲気はオランダっぽくもある。
彼らのストラヴィンスキーも聴いてきたが技術的な問題は感じられない。

冒頭より何も考えずに音楽に浸ることができる。
一貫して流れはよく飽きさせない。この指揮者は細部にものすごくこだわる
タイプではないと思うが、変な癖がない。
そんなところがナクソスにも評価されたところかもしれない。
終結までどうということがないかもしれないが明るく屈託ない伸びやかさが身上。

録音のスケールの大きさ綺麗さもこの演奏を好印象とする大きな要因。
なお、この盤は交響曲第3番と組み合わせているが、
第1楽章の提示部反復を省略したのでどうにか収まっている。

録音はブリュッセルのベルギー放送コンサートホールでのセッション。
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非常に広大な音場で交響曲などでは少し肥大化した感じがするが
この曲では伸びやかさを演出している。

9:31  8:13  12:57  3:42  3:01  6:15   計 43:39
演奏   A+    録音  91点

ブラームス セレナード第1番 フランシス(96)

2017.01.12 (Thu)
フランシスセレナーデ
フランシス/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団(96、ARTE NOVA)は
快活ホルン協奏曲。ホルン好きの人は持っておいて損はない。

指揮者フランシス(Alun Francis, 1943年~ )はウェールズ出身で、
もともとバルビローリ治世のハレ管やボーンマス響のホルン奏者。
その後指揮者に転向したが、ここではホルン偏向が如実に出ている。
この人はCPOのペッタションの暗い交響曲集で随分お世話になったが、
こんな活き活きとした指揮をする人とは思わなかった。
フランシス

ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団は、1993年創設のオケで
主にイタリア国内の若手を中心に編成されたが、
1999年にリッカルド・シャイーが音楽監督に就任しパワーアップした。
ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ管弦楽団
本盤は創設後3年目の録音だが技術的には全く問題ない。
人数が少ないのか音は軽くそしてイタリアらしくよく歌う。
そうしたことがセレナーデに実にぴったり。

第1楽章は非常にリズミックで前に進む。その中を朗々とホルンが駆ける。
まさか指揮者がホルンを吹いているわけではないだろうが録音もピックアップ。
普段聞こえないフレーズが飛び込んでくる。
ティンパニもヌケよくポンポン。実に明るく気持ちがいい。
そして11分から終結のフルートソロで導かれる振返りでは
ぐっとテンポを落としてしんみりとさせてくれる。憎い演出。

第2楽章も唯一の短調だがそよそよ行く。

第3楽章は軽く進むがホルンがいい感じでまろやかさを出す。

第4楽章木管の掛け合いが美しい。

第5楽章はまたもや出ましたホルン。
ここでは少し胸を張った勇壮な音を出す。気持ちいい。
ティンパニの合いの手も決まる。

終楽章も軽快なアクセント。音が明るいのはやはりイタリアだからか。
最後はまたもやテンポを落としてぐっと盛り上げてくれる。

録音はミラノでのセッション。
重量感はないが爽やかな伸びのいい音。
このような曲にはうまく合っている。距離感もよい。
ホルンはもとより各楽器が明瞭に聴きとれる。

12:10  7:04  12:56  3:32  2:27  5:50   計 43:59
演奏   S    録音  92点

ブラームス セレナード第1番(ピアノ連弾版) マティース&ケーン(96)  

2017.01.11 (Wed)
piano serenade
マティース(p)&ケーン(p)(96、NAXOS)はブラームス自身によるピアノ連弾版。
ブラームスは自身の作品のピアノ用編曲を多数残している。

①4手連弾用編曲
 ・交響曲全曲
 ・大学祝典序曲、悲劇的序曲
 ・セレナード第1番・第2番
 ・ ドイツ・レクイエム
 ・凱旋の歌・ワルツ集「愛の歌」 Op. 52a
 ・ ピアノ協奏曲第1番
 ・ シューマンの主題による変奏曲
 ・16のワルツ集(原曲はピアノ独奏曲)
 ・ピアノ四重奏曲第1番と第2番
 ・弦楽四重奏曲第1番~第3番
 ・弦楽五重奏曲第1番と第2番
 ・弦楽六重奏曲第1番と第2番 
piano duo

②2台のピアノ用編曲
 ・交響曲第3番、第4番
 ・ハイドンの主題による変奏曲
 ・ ピアノ協奏曲第1番・第2番
 ・16のワルツ集(原曲はピアノ独奏曲)
 ・ピアノ五重奏曲は2台のピアノ用のピアノ・ソナタヘ短調(Op. 34b)として編曲。
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音楽が市民階級へ広まるとともに作曲家が出版によって生計を得る必要が
あった時代背景もありブラームスは積極的にピアノ用編曲を行った。
ただ、2台のピアノのための編曲や本来ピアノ曲独奏曲であったものまで
手掛けていることを考えると自身の芸術的欲求もあったものと思われる。

ナクソスはドイツのピアニストのマティース(女性)とケーン(男性)を起用して
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積極的にこれらを音盤化している。
私も結構愛聴している。

ブラームスの晦渋かつ重厚な音楽が綺麗に研ぎ澄まされ
美しさが浮かび上がる場面が多々あるから。
例えば「ドイツ・レクイエム」などは作曲家の気負いが
スッととれて素敵なメロディに酔うことができる。
勿論、やはり原曲の方が良いなと思う場面もある。
そんなことを愉しんでいる。

そしてこの「セレナード」のピアノ連弾版は非常に良い。
交響曲を連弾にするとどうしてもフィナーレで迫力を出そうとして
低域のトレモロを多用してしまうがこの曲ではその必要が無い。
木管主導の九重奏は田舎の雰囲気があるが、
ピアノは煌めきがあるので印象はかなり異なる。
お洒落なレストランで優雅に食事を頂くときのBGMでも悪くない。
アダージョ楽章も癒し系。

録音はハイデルベルク・クララ・ヴィーク大講堂でのセッション。
明確にピアノを捉えた録音。会場の響きは自然に入り綺麗。

12:46  7:30  13:21  3:52  2:44  5:35   計 45:48
演奏   A+    録音  91点

ブラームス セレナード第1番 ボッツタイン(93)

2017.01.10 (Tue)
ボッツタインセレ1
ボッツタイン/アメリカ交響楽団(93、VANGUARD)は素朴系。
この盤は最初にチェルシー室内Oとの九重奏版があり、後半にこの管弦楽版が
置かれた企画盤。どうしても希少な前者に目が行くが、この演奏自体は悪くない。

アメリカ交響楽団は1962年ストコフスキーが若い音楽家に演奏のチャンスを与える
ということで設立されたオケ。メンバーは都度変わっていたらしいが、現在は常設のようだ。
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ニューヨークを本拠にするがNYP、メトロポリタン歌劇場管弦楽団と当オケが3大オケ
というところか。個人的にはストコフスキーのアイブスの交響曲第4番で初めて接した。
しかして実力はどうなのだろう。
1993年のこの録音で聴く限り大都市の響きというより質朴素朴。
勿論録音の仕方等もあるがホルンなど聴いていても鄙びている。
しかしここはマーラーではなく、若書きのブラームスのセレナーデ。
案外いい塩梅だ。

また編成も大きくないようで、それもかえっていい。
ただ、九重奏との対比をするというこの企画からするとこちらも
室内楽ッぽいのでサウンド的に極端な差はない。

ボッツタインの指揮ぶりはケレン味なく好ましい。
この人は音楽学者でもあるので、客観的(ある意味淡泊)な視点が強いのかも。
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なお、九重奏版ではなかった第1楽章の呈示部反復はこちらでは行われている。

録音はBMGスタジオBでのセッション。
この会場の詳細情報はないが大きな響きではなくこじんまりした感じ。
響き成分も少ないので余計室内楽的印象。

12:46  7:45  13:06  3:45  2:43  5:54   計 45:59
演奏   小A   録音 89点
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