クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Prokofiev PianoCon1 の記事一覧

プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番 アシュケナージ(74)

2017.01.15 (Sun)
アシュケナージ13
アシュケナージ(p)/プレヴィン/ロンドン交響楽団(74、DECCA)は音楽的充実。
この演奏はLP時代から聴き過ぎて自分の基準になってしまっているので
客観的なことは言えない。
しかしそれを抜きにしてもやや生硬ともいえるこの作品を一回り大きくしている。
それは例によってプレヴィン指揮のロンドン響によるところも大。
プレヴィン(1929~)とアシュケナージ(1937~)は二人ともピアノの名手で指揮もする。
この演奏の場合一体どちらが主導権を握ったのであろうか。
previn_20170114221557fcf.jpgYoung20Ashkenazy.jpg
第1楽章冒頭のダメを押すような3つの音のスケール感をこの演奏で植えつけられて
しまったので、さっさか行く他の演奏は私の基準で減点になってしまう。
ピアノはスピード感と安定性と強さを兼ね備えている。
そして細部まで目の配られた逞しいオケ。

第2楽章はぐっとテンポを落としもわっとした魑魅魍魎の世界を演出。
不健康な幻覚の世界。それを突き抜けようとするピアノ。この対比が絶妙。

第3楽章は図太いオケと強いピアノの掛け合いが実に見事。
破綻を感じさせないのが不満といえば不満だが、豪快な結末は流石。

録音はキングスウェイホールでのセッション。
アナログ期なのでテープゴロが無いわけではないが低域からの量感も含めて
流石DECCA。痩せた鋭いだけでない重量感ある音が見事。

6:52  4:35  4:13   計 15:40
演奏   S    録音  90点

プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番 B・ベルマン(89)

2017.01.14 (Sat)
CHAN8791.jpg
ベルマン(p)/N・ヤルヴィ/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(89、CHANDOS)は
荒れ感がよい。

冒頭のオケを3強音を聴いたとき、不良系の音だったのでスコティッシュ・ナショナル管だと
思っていた。しかし気づくとRCO。
指揮者があのマイルドなオケにわざわざ乱暴な音を出させている。
そしてピアノはしっかり強い音でそれに対抗。テンポは悠然としており速くない。

第2楽章も斜に構えたピアノをぐっとオケが受け止める。

第3楽章もオケは鋭さとスケールを保持。一方ピアノが一歩もひけをとらない。
逞しい打鍵。堂々とした終結。

ボリス・ベルマン(Boris Berman, 1948年~)はモスクワ生まれモスクワ音楽院で
レフ・オボーリンに師事した。ソ連時代はチェンバリストとして歩みを始めたが
1973年イスラエルに移住しピアニストとして活動。現在は米国在住。
ボリスベルマン
プロコフィエフが得意らしく各地で演奏して回っている。
この演奏を聴いていても全く臆するところがない。

録音はコンセルトヘボウ本拠地でのセッション。
この会場の広さを感じるが、同時にフィリップスと違うシャンドスらしい高域の華やかさ
を持つ。ピアノはしっかり録られるがオケは少しフォーカスが甘い。

7:05  4:34  4:26   計 16:05
演奏   A+    録音  91点

プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番 キーシン(93)

2017.01.13 (Fri)
キーシン
キーシン(p)/アバド/ベルリンフィル(93、DG)は第3楽章後半勝負。
正直言ってそれまでは標準的。

キーシン(1971~)はソ連のピアニストと思っていたら、
2002年に英国籍、2013年にイスラエル国籍に変更していた。

キーシンといえば個人的には88年のとり憑かれたような
ショスタコーヴィッチの協奏曲ライブが強烈だった。それに比べると、
プロコフィエフの若き反抗心を叩きつけたこの曲ではやや大人しい。

冒頭楽章は指揮もピアノも優等生的。
ピアノは端正だしオケは凄味を隠す。なにか全体に遠慮している。

第2楽章もとてもきれいだ。ピアノは飄々淡々。

第3楽章に入るとピアノが仕掛け始める。オケがこいつやる気か?と気が付く。
すぐにカデンツァに入りオケは沈黙。
問題はカデンツア終了後、様子を見ながら両者がにらみ合っていると、
ピアノが走り出す。オケが追いかけ本気を出す。やるならやってやる。
ということで最後のお楽しみはあったが時すでに遅しあっという間に終わる。

かつての神童も今や40後半。最近は内省的な曲の演奏が多くなった。
kissin_kid.jpg

録音はベルリンのフィルハーモニー大ホールでのセッション
(併録の第3番はライブ)一つの盤でセッションとライブを収めているが
大きな違和感を感じさせないのはさすが。
わずかにライブのほうがマス的とらえ方だがピアノのも強い。
セッションのほうが全般に整った音で迫力はやはり3番のほうがある。
ともかく過不足はない。

6:29  4:09  4:04   計 14:42
演奏    A    録音  91点

プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番 リヒテル(54)

2016.12.30 (Fri)
リヒテルアンチェル1
リヒテル(p)/アンチェル/プラハ交響楽団(54、Spuraphon)は最高に反抗的。
全編に漲る不穏・怒り・不安。

第1楽章オケによる冒頭の怒りの3強音が分厚い。しっかりとアクセントをつけて。
こうでなければならない。速いテンポでキリリとしたオケに鋼のピアノが対抗する。
美感より決然を優先。終結は恐ろしい。
ancerl.jpg

第2楽章もいったん気分を鎮めるがふつふつと思いが高揚する。

終楽章は3連音でまたもや進撃開始。弦が軋む音がする。
テンポが速くなり突っ込んでくる。ピアノとオケが荒れ狂う様を競っている。
ティンパニがドカンドカン。ピアノが叩きつける。最後は轟音と共に終わる。

prokofiev.jpgリヒテル

録音はプラハ・ルドルフィヌムでのモノラル・セッション。
ステレオだと響きすぎる会場もモノラルだと塩梅がいい。

6:19   3:22  4:02  計 13:43
演奏   (S)     録音  75点

プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番 クライネフ(92)

2016.12.29 (Thu)
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クライネフ(p)/キタエンコ/フランクフルト放送交響楽団(92、Teldec)は強靭。
プロコフィエフの青春のバーバリズムを感じさせる。

ヴラディーミル・クライネフ(1944~2011)はシベリア中部エニセイ川沿いのクラスノヤルスク出身の
ピアニスト。1970年の第4回チャイコフスキー・コンクールの覇者。
クライネフ
プロコフィエフのピアノ協奏曲全集を80年前後に一度収録。本盤は2回目の全集から。
この録音はあまり注目されていないかもしれないが侮れない音盤。
キタエンコの仕掛けも相まってオケとピアノの激突が愉しめる。
キタエンコ

第1楽章は颯爽と始まったかと思うと、
中間部に来てぐっとテンポを落としおどろおどろしい暗雲がオケによって奏される。
そこに稲妻のような硬質なピアノ。終結にかけての急展開と劇的な構成。

第2楽章もクールな雰囲気がいい。

終楽章はバリバリ行く。打鍵は強くロシアのピアニズムを感じる。
コーダの手前でぐっとテンポを落とし突進する演出も決まっている。
オケと共に充実した強い響きだ。

録音はフランクフルト・ドルンブッシュ放送局でのセッション。
広さを感じる音場でバランスよい。
テルデックは地味な音イメージだが
鮮明度、立ち上がり、Dレンジ共にこれは予想以上。

6:40  4:04  4:17   計 15:01
演奏   S   録音  93点
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