クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Kodaly Galanta の記事一覧

コダーイ ガランタ舞曲 リーパー(91)

2016.12.11 (Sun)
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リーパー/スロヴァキア放送交響楽団(91、NAXOS)はオケが勝手に名演。
このオケはドナウ川に面するスロヴァキアの首都ブラチスラヴァにある。
ブラティスラヴァ
かつてはチェコ=スロヴァキア放送響と呼ばれナクソスの表記もそうなっているが、
1992年以降はチェコとスロヴァキアが別の国になったため現在名になった。
廉価シリーズのナクソスは大量に東欧のオケを起用して古今の名曲を録音してきた。
この盤もその一環と思われそうだが、この曲に関しては正真正銘本場もの。

指揮者リーパー(1953年~)はイギリス人でコダーイとの関係はみとめられない。
ここではオケにお任せの感じがする。
その結果作為のかけらのない本場の声が聴ける。

メリハリや妙な癖はあまりないがとにかくオケの音が土の香り。
ハンガリーやスロヴァキアの名指揮者が外のオケを振っても出せない
ニュアンスをこのオケは出している。

冒頭のホルンの震え(ヴィヴラート)からしてなぜか懐かしい。
最初のレント部分のたっぷりした歌と管の叫びは胸をかきむしる。
ダイナミックな迫力という点ではほかにあるがここには素朴な力がある。
管のしゃくりあげなど指揮者では指示できず、団員の自発的なもの。
たとえて言うなら俳優が無理して関西弁を話すのでなく、
堺のオッチャンがしゃべくりまくって終わる。

この録音はブラチスラヴァのスロヴァキア放送コンサートホールでの
セッション。
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ナクソスらしく手堅くまとめる。地味ながら力強い音。
放送局的録音かもしれない。

16:28
演奏   S    録音  91点

コダーイ ガランタ舞曲 I.フィッシャー(98)

2016.12.10 (Sat)
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I.フィッシャー/ブダペスト祝祭管弦楽団(98、PHILIPS)はニューエイジの歌うガランタ。
イヴァン・フィッシャー(1951~)は
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ハイドン交響曲全集を録音したアダム・フィッシャー(1949~)
ADAM
の弟。
印象ではイヴァンのほうが積極的でメリハリの効いた音づくり。

このオケはイヴァンとコチシュで創設されイヴァンは音楽監督を務める。
さて、この演奏だが古いタイプのハンガリー系のこてこて系演奏とは違う。
ぎっこんばったんアゴーギクではなく美しいハーモニーを聴かせ
その中にしっかり民族色を埋め込む。その点でデュトワとは違う。
言葉では伝えられないが、弦に独特の切なさが浮かぶ。
緩急はしっかりつくが移行はスムーズにされる。
終結にかけての金管の飛び出しも気持ちがこもる。
このオケは常設になってからの時間は短いが非常に優秀と思われる。

なお、このCDは歌劇『ハーリ・ヤーノシュ』より管弦楽抜粋など
普通では聞けない音楽がいくつも入っている。
そちらは一層ハンガリーだ。

録音はブダペストのイタリアン・インスティチュートでのセッション。
Fesztiválzenekar
石造り風の響きのいい音。伸びは素晴らしく明るく輝かしい。高域が輝く。

15:48
演奏  新A+    録音  95点

コダーイ ガランタ舞曲 デュトワ(94)

2016.12.09 (Fri)
デュトワコダーイ
デュトワ/モントリオール交響楽団(94、DECCA)は実に美しい。
このコンビだから土着色は薄いことは分かっている。

デュトワはこのオケの音楽監督を1977年から2002年迄務めた。
80年代にはDECCAに一通り主要管弦楽曲を録音した。
90年代に入るとさらにレパートリーは広がる。
フランスものに適性を持つといわれるこのコンビのハンガリーもの。
かなり独自だ。ある意味とても新鮮。
フリッチャイやケルテス、ドラティなどと別の曲に聴こえる。
熱狂的興奮は求めずバレエ音楽のような優雅さ。

このCDは「コダーイ名曲集」で
①組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
②マロシュセーク舞曲
③ハンガリー民謡「孔雀」による変奏曲
④ガランタ舞曲
が収録されておりまさにベスト。
録音も華やかでいうことなし。

でも、この曲に関しては第一にお薦めしたい盤かというと
やはりこれでいいのかと思ってしまう。
初めてこの曲に接する人は「民謡風の素材を使ったよくできた管弦楽曲」とは
感じるはず。ただ、こちらとしてはほかに本場ものの胸を突き上げるような
共感に満ちた演奏を知っている。
それを味わってしまうとそうした情動の中に飛び込みたくなる。
デュトワの「ハーリ・ヤーノシュ」などではこの盤で不足はない。

録音はモントリオール・聖エスターシュ教会でのセッション。
Saint-Eustache.jpg
saint_eustache.jpg
伸びやかで綺麗な音。いうことはない。
ピラミッドでなく高域に寄っていると思うが、大太鼓もドカンとくるので
レンジは余裕。要はサウンド・エンジニアの趣味ですっきり仕上げている。

15:27
演奏  美A   録音  94点

コダーイ ガランタ舞曲 ケルテス(64)

2016.12.08 (Thu)
ケルテスコダーイ
ケルテス/ロンドン交響楽団(64、DEECCA)は全編に張りつめる気負い、一途感。

ケルテス(1929~73)もドラティ同様、ブダペストのフランツ・リスト音楽院で
コダーイ(1882~1967)先生に師事した。
この録音はこの作曲家がまだ存命中に行われており、ケルテスも力が入ったはず。
istvan-kertesz.jpgコダーイ

ロンドン響はもとより機能性は抜群で民族的色合いは無いが
ケルテスの棒の揺れに反応すべく一生懸命追っかけているのが分かる。
彼がロンドン響のの主席になるのが1965年だからその前の客演時代だが
このオケからの信頼は厚かったと言う。

冒頭のチェロから直線的な塊りの音。ホルンも強い。木管も万全。
気合がはいっている。
ジプシーっぽさを強調するような表情付けはないが、熱にうなされるような音楽が続く。
ハンガリーの指揮者はこの曲では冷静さを保てないようだ。
後半のアレグロのスピード感は比類がない。トランペット、ホルンは勇壮。
ここぞというときにクレッシェンドが猛烈だ。

録音はキングスウェイ・ホールでのセッション。
響きは抑え気味で直接音が多い。それがこの演奏の真摯な姿勢を伝える。
音の余裕はそこそこ。

15:40
演奏  A+   録音  87点

コダーイ ガランタ舞曲 N・ヤルヴィ(90)

2016.12.07 (Wed)
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ヤルヴィ/シカゴ交響楽団(90、CHANDOS)は壮大なロマン。
スタイリッシュな指向を持つパパ・ヤルヴィ。
さっぱり速めのテンポで進むことが多いが、
ここではライブということもあるのか演奏が進むにつれてパッションが溢れる。
基本的には流麗なのだが、徐々にじっくりテンポを落とし溜めを作り歌う。
ヤルヴィにしてはずいぶん熱い。
旧ソヴィエトのタリン(現エストニア)にはボヘミアンに共通するムードが
あるのかもしれない。そういえば、息子パーヴォもこの曲を取り上げてる。
ネーメとパーヴォ

そしてシカゴ響だ。
おおよそこの曲には似つかわしくないような近代兵器と感じるが
巧いことこの上ない。どんな速いパッセージも楽々こなすし、ソロも抜群。
名指揮者ドラティのもとフィルハーモニア・フンガリカは技術が磨かれた
というがやはり到底このスーパー軍団にかなわない。
勿論音楽は技術ではない。
しかしこの表現能力の高さがもたらす感興には逆らえない。
私はこの演奏によってこの曲の素晴らしさに開眼した。

録音はシカゴ・オーケストラホールでのライブ。
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客席ノイズは略ない。2月の4日間の演奏からチョイスされている。
スケールの大きな音でこの曲の想定範囲を超えているかもしれないが
非常に綺麗で夢幻的ですらある。ヌケよくDレンジは途方もなく広い。

16:32
演奏   S    録音  93点
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