クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Falla 三角帽子 の記事一覧

ファリャ 三角帽子 ホルダ(60)

2016.11.26 (Sat)
ホルダファリャ
ホルダ/ロンドン交響楽団(60、Everest)は朗らか田舎。
これがロンドンのオケかと思うほどローカルっぽい。

エンリケ・ホルダ(Enrique Jordá, 1911~96)はスペイン生まれ米国指揮者。
Enrique Jordá
ラテン系だから「爆」を期待すると間違う。
明るく大らかだが、決して無理な表現はしていない。
ただ、ロンドン響がこの指揮者に慣れていないのか
アンサンブルの精度は高くない。

冒頭のティンパニの田舎っぽい音やオレオレの雑然とした感じは面白い。
多分この人は強引なドライブや
オケを締めつけるようなタイプではないのだろう。
表情はくっきりした隈取りで録音も含め劇画的。
終曲はズンドコ弾む。
全体のオケの扱いなどやはり同時期のアンセルメの方が上だと感じる。

録音はロンドン・ウォルサムストウ・アセンブリーホールでのセッション。
マイクを近くに立てかつ左右を強調した所謂ステレオタイプを地で行くような音。
鮮明で生々しい。”ハリウッド映画と同じ35ミリ磁気テープを用いて、
ステレオ最初期ながら驚異的な音の良さで世界のオーディオ・ファンを
興奮させました”との紹介があるが
Dレンジも余裕があり半世紀以上前の録音としては新鮮。

1:33  2:36  6:50  4:14  3:07  2:33  4:53  5:47  6:03  計 37:36
演奏   A   録音 88点

ファリャ 三角帽子 デュトワ(81)

2016.11.24 (Thu)
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デュトワ/モントリオール交響楽団(81、DECCA)は憎いほど巧い。
踏み外すことはなく少し優等生面。オケのキレはよく、明るく軽く弾む。
一方、ブーレーズがやったような濃厚な表情付けはなく、スペインぽくもない。
程よく歌い品がいい。

アンセルメ盤は確かにこの曲に基づいてバレエが演じられるのだと感じるが、
デュトワ盤は結構切り詰められ間のようなものがない。たぶんこれでは踊れない。
純粋管弦楽曲として一気に聞かせる。

この演奏では大迫力部分よりも、時折見せるこの曲の可愛らしいメロディに
気を付けたい。実に繊細に扱われる。

それにしてもこの曲はやはり組曲ではなくこうした全曲で愉しみたい。
オーレの掛け声や、情緒ある歌声、「運命」のパロディなど・・・。
この演奏に不足はなし。録音もよし。
良い子には是非聞かせたい良演。
prom60.jpg

録音はモントリオールのエスターシュ教会でのデジタル・セッション。
このコンビの名盤が数々送り出されている。
鮮烈でスリムに感じるが、大太鼓など風圧を感じさせるぬけの良さ。
流石である。キラキラした音響が味わえる。

1:30  5:24  3:33  4:01  3:14  7:31  6:11 6:15  計 37:39
演奏   A    録音  94点

ファリャ 三角帽子 ムーティ(79)

2016.11.23 (Wed)
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ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団(79、EMI)は破竹の勢い。
全曲盤でないのが残念だが、この頃のムーティがしっかり刻印されている。
全編速いテンポながらアクセントは明快で表情もきっちり。
そして眩いばかりの終結。問答無用の切れ込みはまさに若武者。
バレエ音楽としてよりも劇的でスリリングなオペラを聴く感じ。
ムーティ
ムーティ(1941~)はこのオケの音楽監督を1980~92年務めオーマンディの
栄光を継承した。この録音は1979年12月首席客演指揮者の時のもの。
まさにこの楽団との関係の順調さを示すものとなった。
ムーティがもっと続けてくれていたら、フィラが破綻なんてことはなかっただろう。

録音はフィラデルフィアの”オールド・メット”でのアナログセッション。
大きさ十分のホールだが、溶け合いよりも筋肉質でスリムな音。
奥行きがイマイチなのはEMIだから仕方ないがこの演奏の勢いはよく伝える。

組曲
2:24  3:34  3:50  3:11  3:02  5:52  計 21:53
演奏   眩A+    録音  90点

ファリャ 三角帽子 ブーレーズ(74)

2016.11.20 (Sun)
ブーレーズファリャLP(←LP CD→)yjimageR8OZLSBC.jpg
ブーレーズ/ニューヨークフィル(74、SONY)はシンフォニックで濃厚な怪演。
「三角帽子」の凄さに気づかせてくれた演奏。
バレエ音楽としては完全に逸脱だろうがこれほどカラフルな管弦楽も少ない。

最初聞いた時はブーレーズと全く思わなかった。
このパワフルさはバーンスタインだと思った。
保有CDはバーンスタイン指揮の「恋は魔術師」のあとにこの演奏!
バーンスタインにも「三角帽子」の録音があるのに・・・。
バーンスタインとブーレーズ
”クール”で”分析的”という彼のレッテルとまるで違う。
そもそも現代音楽の騎手がなぜこの情熱的な曲を録音したのだろうか。

ともかく全編、実に表情豊かで濃厚。
冒頭の「オレ」からしてノリがよく、「ファンダンゴ」など聴くと
強烈なこぶしの回り方は他に見ないほど土着色満載。
その後もテンポは揺れ、ニューヨークの分厚い音が噎せ返る。
Jan De Gaetaniというメゾソプラノの歌唱も情感たっぷり。
また、名手揃いのNYのソロが実にいい味を出している。
細部まで目が配られ表情が多彩で面白い。

そして終幕の踊りは他を寄せ付けないド迫力。
冷静なブーレーズとは思えない追い込みをかける。
待ってましたとばかりにニューヨークの猛者が大音量で畳み掛ける。
血わき肉躍るとはこのこと。
ブラスとドラやカスタネットその他パーカッションの音が溢れる。
弦が負けない。最後は怒涛。
これで興奮しない人がいるとは思えない。

録音はマンハッタンセンターでのセッション。
マンハッタンセンター
よくぞここを使ってくれました。
広大な音場がオケの大迫力を受け止めスケールMAXな音に仕上げた。
SQ Quadraphonic収録で気合の入った音。
あっちこちら音が飛び出す明快さもある。
はっきりいってこの曲の再現としては想定外のでかさ。
終曲のお祭り気分もうまく出た優秀録音。

15:00  10:53  12:30  計 38:23
演奏   S   録音  94点

ファリャ 三角帽子 ロペス=コボス(87)

2016.11.19 (Sat)
コボス三角帽子
ロペス=コボス/シンシナティ交響楽団(87、TELARC)はカラッと軽快。
ヘスス・ロペス=コボス(Jesús López-Cobos, 1940~ )はスペインの指揮者。
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まさにお国ものでファリャを多数録音している(この曲二回目)。
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ただ、意外なほど濃厚な民族色は少ない。
このオケの特質をそのまま出ている。
とはいえ、この湿度の低い爽快な明るさは独自だ。
リズムは軽く、音価は短く。よってウキウキ感がある。
スキップしながら進行していく。キレもよく気持ちよい。

この指揮者はラテン的なラフさはなく知的で緻密。
それにシンシナティ響は室内楽的に締まった音で反応する。
弦のザクザクした音もよいし、ビシッと決まる。
終結にかけてめまぐるしい転回での勢いも流石。
ムンムンするスペインムードやローカル色を求めるとすれば外れるが、
このキラキラした美しさは他にない。

録音はシンシナティ・ミュージックホールでのセッション。
伸びよく響きは綺麗。低域を締め、鮮明に音を捉える。
溶け合いよりも各楽器の分離を優先。この演奏の特徴を生かす。

1:26 5:10 3:27 4:00 3:08 7:07 6:05 5:56  計 36:19
演奏   乾A+    録音  93点
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