クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Beethoven Sym4 の記事一覧

ベートーヴェン 交響曲第4番 ポルセリン(2000)

2017.05.03 (Wed)
Beethoven34_ABC.jpg
ポルセリン/タスマニア交響楽団(2000、ABC)はしなやかな爽快感。
このコンビについては第8番で詳細を記したが全く侮れない。
指揮者ポルセリンの解釈は奇をてらうことは全くなく率直で推進力を持つ。
ベーレンライター版による少人数オケだがそれほどピリオド感はない。

そしてなんといっても特徴は「ピアノフォルテ」の導入。
これだけでゲテモノと決めつけてはいけない。
もちろんスコアにはそんな使用指定はないが19世紀中盤まで通奏低音が
使われた可能性があるという説に基づいている。
しかも、実際はそれほど目立つ使われ方でなく、よく聞くと聴こえる程度。

それよりもこの演奏が素晴らしい。
水しぶきを上げるような新鮮さと溌剌感。
テンポは全体的に速く保有盤最短の29分。
クライバーより終楽章は長いが第2楽章が速いのでトータルは短い。
全体が一様に速いためドラマティックな要素は少ないがきびきび感では最右翼。
小細工がないので気持ち良い。硬質なティンパニも見事。

録音はシドニー・シティ・リサイタルホールでのセッション。
ホールとしては大きくないが50人以下のオケでは十分。
ABCの録音陣のレベルは高く下手なメジャーよりもいい音。

10:14  7:26  5:14  6:11   計 29:05
演奏   A+   録音  94点

ベートーヴェン 交響曲第4番 ラトル(2002)

2017.05.02 (Tue)
ラトル46VPO
ラトル/ウィーンフィル(2002、EMI)は指揮者とオケの競争曲。
それぞれの個性が融合するのでなく部分部分で顔を出す。

ベーレンライター版+モダン楽器・奏法による演奏。
登場当時はそれなりに刺激的だったが現時点から振り返ると
20世紀の響きを確認する。
そうした中でラトルらしい才気でこのオケ引っ張る。
がオケも完全に与さない。今はウィーンフィル、今はラトル、
今はどちらでもない、と聞き分けながら流すと楽しめる。

第1楽章はラトルがウッウッと唸りを発して鼓舞するが
オケは案外落ち着いた音を出している。
もしこれがイギリスの機能的なオケならば
もっと尖鋭な音楽になっていたのではないだろうか。

第2楽章は美しいウィーンを堪能できる。
比較的おっとりしたテンポで田園的な世界。

第3楽章は新味を出そうと工夫が見える。

終楽章はウィーンの弦の美しさとラトルの意欲の相克。

録音はムジークフェラインでのライブ。
ただし、聴衆ノイズ・拍手はない。たっぷりした音場で大オーケストラを聴く。
ただし、分離がもう少しほしいのと弦がややキンキンするのは残念。

11:47  9:53  5:28  6:43   計  33:51
演奏   A   録音  90点

ベートーヴェン 交響曲第4番 P・ヤルヴィ(2005)

2017.05.01 (Mon)
pヤルヴィ47
P・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィル(2005、RCA)は工夫も音もザクザク。
弦は6-6-6-4-3の小編成・対向配置。
トランペットとティンパニにはオリジナル楽器。
ノンヴィブラートをベースにしたピリオド奏法。音の強弱は強引なまでにつく。

P・ヤルヴィはとても器用な人で多様な演奏演出を行う。
このベートーヴェン全集はその中でも特に意欲的。
スコアを読み込み単にピリオドを取り入れましたというのを超えようとする。
なお、セッション収録の割にはアンサンブルはラフさを残すが、これも演出?

第1楽章の割とドスの効いた序奏から一気に走り出す。
この室内オケの弦は現代楽器だが流麗でなく少しささくれたった音をわざと出す。
聴きようによっては綺麗ではないが、この「谷間」の交響曲をアグレッシブに見せる。
左右の弦の掛け合いほか、ティンパニの細かな表情の変化など手が込んでいる。

第2楽章アダージョは急がず夜想曲的な雰囲気。
ただ、同じようなフレーズの繰り返しでも表情を変えてみせる。
あれ?と思わずスコアを見たくなる。

第3楽章は打撃音をしっかり両端で打ち出し中間部でおどける。

終楽章は目まぐるしい。スピードだけでなく各所で楽器がガチャガチャ鳴る。
思わずJ・シュトラウス「トリッチ・トラッチ・ポルカ」を想起。
ただ、何度も聴いていくと面白さ新鮮さがだんだん後退し、
それほど主張しないでもと思ったり。

録音はベルリン、ファンクハウス・スコアリング・ステージでのセッション。
響きは多くないがこの編成では適当。
明快なピックアップ。直接音主体で凝縮感ある音。

10:49  8:35  5:28  6:08   計 31:00
演奏   A   録音 93点

ベートーヴェン 交響曲第4番 ミュンシュ(64)

2016.10.25 (Tue)
ミュンシュ47
ミュンシュ/フランス国立管弦楽団(64、DISQUES MONTAIGNE)は確かにミュンシュ。
ミュンシュは大指揮者ながらベートーヴェン交響曲の正規録音での全集は残していない。
RCAへの録音(3、5、6、7、8、9)の他ライヴ音源がちらほら出ているがこれもその一つ。

第1楽章の序奏こそ普通だが主部に入ると突如ぶっとくかっ飛ばす。
太鼓はどかどか強打され他の楽器をマスクするほど叩かれる。
うんちゃうんちゃのリズムアクセントがいやがうえにも強調される。

第2楽章もなぜかリズムの前進性が目立つ。
これは通常のアダージョとは違う雰囲気。

第3楽章は面目躍如。テンポが速くオケが上滑りするのもお構いなく
ずんずん進む。ティンパニが轟音。リズムの競演。

終楽章もイキイキ活き活き。明るい。全く屈託ない。

録音はストックホルムでのライブ。ステレオとの表記だが疑似ステレオ的。
残響があり太鼓系がわんわん響く。
音の鮮度、dレンジなどは期待すべくもないが慣れれば聴ける。放送用音源か。

10:04   8:57   4:19  6:03    計 29:23
演奏   A-    録音 80点
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