クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Atterberg の記事一覧

アッテルベリ 交響曲第6番(五重奏曲版) 新ブタペストSQ(90)

2016.09.12 (Mon)
アッテルベリ五重奏曲
プルニ(p)+ニューブダペスト四重奏団(90、MarcoPolo)は五重奏曲版。
アッテルベリの第6交響曲は1928年にシューベルト没後100周年作曲コンクールで
優勝して各地で頻繁に演奏された。名だたる指揮者(ビーチャム、カヤヌス、
トスカニーニ、ハーティ、メンゲルベルグetc)が相次いで取り上げた。

しかし彼は自分の作ったこの交響曲が時代遅れで受けを狙っていたことを
承知していた。あれほど流行したこの交響曲もだんだん忘れられた。
とは言え作曲家は自分を一躍世界的に有名にしたこの曲に愛着を持っていた
ようで要請に応えてこの曲を室内楽に編曲した(第二次大戦中1942年)。
完全に交響曲を移し替えたものなので作品番号は交響曲と同じop.31。

で、この五重奏曲版はなかなかよい。
楽器がシンプルになった分、メロディーラインが浮き上がりとてもに親しみやすい。
交響曲においてオーケストレーションが音を単純に音を重ねるようなところが
あるのに比べて室内楽は贅肉を落としたスッキリした形になったのもよかった。

この演奏は響きの純度や音程の確かさなどの点で洗練されたものではない。
何かモノクロの戦前の映画を見ているような古さを感じさせる。
但し、これはこの曲本来の持つノスタルジックな雰囲気なのかもしれない。
ピアノなどアッテルベリ特有のキラキラ感がいまいちとも思う。
でも、この曲は好きだ。もっと演奏されてしかるべき。
アッテルベリの曲自体もっと演奏されたら嬉しい。
Atterberg.jpg

録音はブタペストのフンガトロンスタジオでのセッション。
スタジオっぽく狭い音場でかつ響きが少ないデット。
化粧のできない直接音主体で家庭のサロンで聴いているような雰囲気。
しかし、もっと伸びやかな音響ならば綺麗さが増したはず。

9:45  11:07  8:50   計 29:42
演奏    A    録音  85点

アッテルベリ 交響曲第6番 広上淳一(92)

2016.09.11 (Sun)
BIS-CD-553.jpg
広上淳一/ノールショッピング交響楽団(92、BIS)は優しい。
私はこの曲との出会いはこの盤だったが、あまりにも抑揚がなく退屈に聴こえた。
そのため、なぜこの曲が大きなコンクールで優勝したのか分からなかった。
この録音は広上(1958~)が1991~95にスウェーデンのこのオケの首席指揮者
だった時のもの。若き日の記録だ。
hirokami_junichi_110.jpg
ただ、お国物の交響曲の録音ということで、オケに多くを委ねたような感じがする。

ノールショッピングはスウェーデン第10番目の都市で人口は10万人足らず。
norrkoping.jpg
ストックホルムの南西に位置する。オケの規模もこじんまりした感じだが、
この交響曲では粗が出るということはない。

第1楽章はゆったりと流れる大河のようだ。
厳しい音や烈しいアクセントは表面に出さず、密やかな民族的な歌謡だ。

第2楽章もこれまた、たゆたう音楽。

終楽章も弾むような感じが薄い。活気がいまいち。
全般的に北欧の曇天を感じさせる。

録音はリンコーピングコンサートホールでのセッション。
分厚いウォームトーンで弦が主体。金管などは奥まっていて
鮮明さには欠ける。
この演奏のなんとなく覇気のない感じは録音によるところもあろう。

なお、ジャケットの写真はこの交響曲のコンクール優勝賞金が
100万ドルということでドル札を背景にアッテルベリ親子が車と
共に写っているもの。楽曲楽想とあまり関係ない。

10:00  13:18  9:52   計 33:10
演奏   A-    録音  90点

アッテルベリ 交響曲第6番 トスカニーニ(43)

2016.09.10 (Sat)
トスカニーニアッテルベリ
トスカニーニ/NBC交響楽団(43、dellArte)はオペラティック。
しかし、イタリア人トスカニーニ(1867~1957)と
スウェーデン人アッテルベリ(1887~1974)は結びつかない。
しかもこの交響曲は甘く北欧の香り満載だ。

それは偶然の産物だった。
トスカニーニがアメリカで最初に借りた家がなんと偶々作曲家の父の家。
(なぜアメリカに家を持っていたのかは不明。父は富豪なのか?)
そしてそこの家財ピアノでまたまた偶々、交この曲のスコアを発見してしまう。
この交響曲がシューベルト没後百周年コンクール優勝作品とは知らず。
トスカニーニは「傑作」じゃないかと確信する。
そして放送用ライブ録音を敢行した。その記録がこの盤。

演奏は一聴してこれがあのトスカニーニと思えない濃厚ムンムン。
テンポは揺れ大きな表情がつく。これでもかとぴうほどメロメロ。
ブラインドではトスカニーニとわからないだろう。
アーベントローかフルトヴェングラーのようだ。

第1楽章が終わったところで拍手が起きるが、確かに堂々とした
ストーリーが展開され終結で感極まる。

第2楽章もなんという噎せ返り。咽び泣き。

終楽章はまたもや仕掛け満載で素晴らしく効果的。
劇画的演出だが考えてみればトスカニーニはオペラの達人。
そんなことを思い出させる。
Toscanini5.jpg

録音場所の記載はないがNBCが放送用使いかつデットな音響で
あることから8Hスタジオでのライブ収録と思われる。
8H.jpg
音は十分聴きとれる。トスカニーニ唯一の録音として
貴重な盤という位置づけだろう。

10:13  10:59  7:55   計 29:07
演奏   珍    録音  75点

アッテルベリ 交響曲第6番 N・ヤルヴィ(2012)

2016.09.07 (Wed)
ヤルヴィ46
N・ヤルヴィ/エーテボリ管弦楽団(2012、CHANDOS)は現時点の決定盤。
NHKの大河ドラマのテーマ曲が好きな方はきっとこの盤を気に入るはず。

今まで想像で補っていた部分を現実の音として届けてくれる。
また、この交響曲の弱点をカバーする努力も報われている。
N・ヤルヴィ、流石パパ!!としか言いようがない。
不満が出るとすれば余裕綽々に聴こえる点くらいか。

なお、作曲家出身地のこのオケは最高に素晴らしい。
(↓Göteborg=エーテボリ、イェーテボリは
  ストックホルムとは反対の西側、デンマークに面する)
countries_europe_map.jpg
(↓人口50万人ほどの港都市)
Sweden_Gothenburg_River_20160906203305129.jpg
第1楽章は冒頭より軽快に進みいきなりホルンにより提示される主題が
実にまろやか。合いの手のパーカッションは軽く風圧を感じさせる
録音の妙もあって惹きこまれる。
ヤルヴィはフレーズごとにテンポを巧みに切り替え推進力を昂進。
いかにもカッコイイテーマをセンス良くかつ効果的に展開させていく。
これを聞くとネーメはやはり単なる職人指揮者以上の天才だと感じる。

第2楽章は通常の演奏に比べると3~4分短い。
しかし、この曲をこの盤で聴いた人は全く速さを感じさせないはず。
ほかの演奏の濃厚さをヤルヴィはここで清冽なロマンに置き換えているから。
最初の木管のメロディーの歌わせ方など他と全く違うが
モーツアルトのクラリネット五重奏を聴くような寂しさをまき散らす。
その後もサラサラ流れてこの楽章の新たな美しさを披露する。

終楽章は軽いギャロップ系だがリズムと流れがよくて誠に楽しい。
終結のキラキラ感はほかにはない。

録音はエーテボリ・コンサートホールでのセッション。
このコンビによるこの会場の録音はBIS→DG→CHANDOSと来たが
それぞれのレーベルの音創りの違いがよくわかる。
録音の新しさもあってこの盤は極めて鮮烈なのだがボリューム感もある。
さらに低域もぼけずにきちっと固めて全体のバランス、センスの良さを感じる。
とにかくマイナーなイメージのこの作曲家に
こうした演奏・録音ともにメジャー級の盤が出てきたことを喜びたい。

8:52  9:47  8:20    計 26:59
演奏   S    録音  96点

アッテルベリ 交響曲第6番 ラシライネン(99)

2016.09.06 (Tue)
atterberg36.jpg
ラシライネン/北ドイツ放送ハノーファーフィル(99、CPO)は率直で明快。
アリ・ラシライネン(1959~)はフィンランドはタンペレ生まれの指揮者。
シベリウス音楽院で名指導者パヌラに師事した。
(サロネン、ヴァンスカ、オラモ、サラステ、Mフランクもパヌラ門下生)
当初はヴァイオリニストとして活躍したが指揮者として頭角。
アッテルベリの交響曲全集を初めて完成させた指揮者となった。
ストレートな解釈は先導役としての役割を果たしている。
ari_rasilainen.jpg

この演奏も彼らしく悲壮感や緊張感を適度に持ち込み速めのテンポで
ダサかっこいい当交響曲を仕上げている。
この後N・ヤルヴィが流石の演奏を繰り広げるまで第一に指を折るべき演奏。

第1楽章の推進力と歯切れの良さはいかにもこの指揮者。

第2楽章も直截で平明。濃厚さをほどほどに抑えるのがこの指揮者のセンス。
ほの暗いロマンだ。

第3楽章(終楽章)もしっかりした勢いの中にユーモラスは表情を織り込み
お祭り的にぎにぎしさ。終結で少しテンポを上げびしっと決める。

録音はハノーヴァー、センデザールでのセッション。
hannover sendesaal2
空間を適度にとらえるが直接音をかっちりとらえる。少し硬めの印象。
CPOはあまり低域のボリュームが多くない印象だがここでも同様。
反面、低域の動きは明確。

9:08  12:58  9:00    計 31:06
演奏   A+   録音  91点
 | HOME |  Next »