クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Mozart Sym29 の記事一覧

モーツァルト 交響曲第29番 カンテルリ(55)

2015.10.01 (Thu)
カンテルリ29
カンテルリ/フィルハーモニア管弦楽団(55、EMI)は心地よい流動。
自然な流れの中に躍動感があり、ああいい音楽だな、と思う。
この録音はカンテルリ(1920-56)の数少ないモーツァルトであるが
清潔感がありセンスの良さを感じる。
特に弦の扱いに全く無理がないところが美しさの秘訣。
第2楽章の弦の歌わせ方など伸びやかで惚れ惚れする。
敢えて自己主張をしない。
これを聴いてイタリアの偉大な先輩トスカニーニを思い出すことはない。
Guido-Cantelli_20150923102858e49.jpg

録音はキングスウェイホールでのステレオ・セッション。
モノラルと並行して録音されたステレオだと思うが予想以上に綺麗。
曲からして金管や打楽器などでDレンジを食うことがないので問題はない。
やはり左右の弦の掛け合いが楽しめるステレオはありがたい。
響きの量は適切。
リマスターもよくヒスは残るし鮮度も若干落ちるが音楽を楽しむ支障はない。

7:03  5:36  3:19  5:20   計 21:18
演奏  A+    録音 85点

モーツァルト 交響曲第29番 トスカニーニ(44)

2015.09.22 (Tue)
トスカニーニ29
トスカニーニ/NBC交響楽団(44、CEDAR)は全曲16分少々。
トスカニーニのモーツァルトの録音は少なく、この曲はセッション録音ではないはず。

繰り返しの省略に加え音楽が前にのめる。
各所でオケがこのテンポについていけずに散乱する。トスカニーニは構わず進む。
どうもリハーサルを十分にやった形跡は少なくぶっつけでやった演奏のような気がする。
音の切り方はそっけないが、乱暴な印象はない。
第2楽章はオーボエがしっかり歌っており単調ということはない。

ロマンティックなモーツァルトが主流なこの時期にこの端的な音楽づくりは斬新だった
ろうが、ピリオド楽器の演奏を聴いた耳からすれば違和感なく受け入れられる。

録音はニューヨークにおけるライブとの記載。
録音状態はよく8番街スタジオでの聴衆入れての放送用収録かもしれない。
SP音源(78rpm)だがミラノの本拠を置くフォノコンプ・スタジオによるデジタルリマスター。
この時期のライブとして聴きやすく仕上がっている。デットな音響ななのはいつも通り。
時にスクラッチノイズは入るが邪魔するほどではない。

4:45  5:02  3:01  3:25  計 16:13
演奏  短    録音 70点

モーツァルト 交響曲第29番 インマゼール(04)

2014.12.31 (Wed)
インマゼール29
インマゼール/アニマエテルナ(04、Zig-Zag Territoires)は元気。
この曲の明るい前向きな面を思い切り取り出したような演奏。
一方癒し感は薄いので疲れているときに聴くと刺激が強いかもしれない。
もちろんアニマエテルナの軽快さが発揮されているので、
大編成オケのようにべったりかぶさるようなことはない。

録音はブリュージュのコンセルトヘボウでのセッション。
オンマイクで鮮明に捉えるとともに豊かなホールトーンを従える。
空間の大きさを感じるホール。観客がいないので響きが伸びる。
concertgebouw-brugge4.jpg ブリュージュヘボウ

第1楽章冒頭からダッシュ。弦の刻みは前傾しながら推進力がある。
オケ自体は少人数だが極めてヴァイタル。
音は短く切られ、テヌートは無縁。きびきびした進行で反復は適宜省略。

第2楽章は一転テンポをぐっと落とし雅の世界を演出。

第3楽章は再度リズミック。弦が管がぴょんぴょん跳ねる。

終楽章は身軽さを生かして疾走する。この生き生き感は流石インマゼール。
音を割らんばかりのナチュラルホルンの強奏も決まる。
終結に向かいドンドン感興がこれほど昂ぶる演奏はない。

6:27  7:51  2:57  6:14   計 23:29
演奏  昂A    録音 93点

モーツァルト 交響曲第29番 ノリントン(06)

2014.12.31 (Wed)
ノリントン293912
ノリントン/シュトゥットガルト放送交響楽団(06、hanssler)はせわしない。
モダンオケ(人数は絞り込み)、ノンヴィヴラート(本人いわくピュア・トーン)、
対向配置、チェンバロつきのノリントン。
このオケとも完全に息が合っており古楽楽団と見まごうばかり。
しかし、よく言えば方針が「徹底一貫」、悪く言えば「超ワンパターン」で
新鮮さが減じてきているのも否めない。
彼らもそれはよくわかっていて、レパートリーをどんどん拡大している。
エルガーまで来ているからそのうちヴァレーズを古楽奏法でやったりするかも。
つまり曲と彼らの方法のマッチングが問題になる。
そうした意味では優美なこの曲をいじりすぎてしまった。

録音はモーツァルトイヤーのシュトゥットガルト欧州音楽祭でのライブ
(場所はシュトゥットガルト・リーダーハレ文化センターの中のヘーゲルザール)。
オケが平土間に下りて聴衆がそれを囲むようなコンサート。
収録には制約があったと思われる。
響きは多くないには良いとしても奥行き感・鮮度が
この時期の録音としては劣る。終演後の拍手いり。

第1楽章はノリントンらしいメリハリのある音楽。弦が渦まく。
おっとりした感じはなくせわしなく動き回り音量のアップダウンが繰り返される。

第2楽章も快速だが反復をするので飽きさせないためか表情をころころ変えたり
テンポをいじる。それが煩わしい。

第3楽章ここではテンポは落ち着かせるが積極的な表情付けは健在。

終楽章は音楽がリズミックなため違和感が少ない。
それにしても全編これだけ溌剌とした音楽を作るということには敬意を
表せざるを得ない。2014年ノリントンは80歳を迎えた。

8:57  8:06  3:41  6:08   計 26:52
演奏  忙    録音 90点

モーツァルト 交響曲第29番 リンデン(02)

2014.12.31 (Wed)
リンデン
リンデン/アムステルダム・モーツァルト・アカデミー(02、Brilliant Classics)は
鄙た独自の世界。
オランダ系の古楽団体は英国系に比べて落ち着いた木質感があるような気がする。
また「古楽器演奏は溢れているのでなにか独自性を出さなければ…」という気負いが
ないのがいい。小編成ピリオド演奏の醍醐味を味あわせてくれる。
響きは透明感があり数ある古楽演奏の中でも最も室内楽的。
29番あたりはこのような音が正統なのではないかと感じてくる。
反復完全履行で31分かかるが、だれたところはない。

録音はユトレヒトのマリア・ミノールという古い教会(現在はカフェ)でのセッション。
綺麗な響きがする。ありがちな響き過多はなく明晰さと温もりを備えたいい音。
Maria Minor Utrecht

第1楽章冒頭、雅な音が聴こえてくると250年前にタイムスリップしたか
のように部屋の空気感が変わる。自分が存在する前の音楽なのだが懐かしい。
一弦一弦が聴こえるような清々しい音に心が洗われる、癒される。

第2楽章は弱音器つきの掠れた弦の音色に木管が美しくからむ。
通常の大編成オケに比べ弦のプルトが少ない分木管が浮かび上がるのが
古楽演奏の特色。このオーボエのまろやかな音がいい。
また、楽器の音が少ない分この教会の空気感がアドバンテージ。
何とものどかな気分で癒してくれる。

第3楽章デュナミークが適切で弦と管の呼応が愉しい。

終楽章も弦の動きが明快に録られておりそれが動感につながる。
いい響きに浸れて爽やかな気分になった。

リンデンとこの古楽団体はモーツアルトの交響曲全集を作っているが
初期・中期は特に素晴らしい。

10:24 10:19 3:09 7:14 計 31:06
演奏  鄙S    録音 95点
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