クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Mozart Sym40 の記事一覧

モーツァルト 交響曲第40番 テイト(84)

2012.07.31 (Tue)
テイト4041
テイト/イギリス室内管弦楽団(84、EMI)は爽やかな演奏。
古楽器団体による一層軽やか爽やかな演奏を聴いてしまうと、
相対的な位置づけはやや中途半端になってしまうが、
この当時は十分新鮮な演奏だっただろう。

録音は、聖バーナバス教会で優しい響きを伴う。
翌年からこのシリーズはアビーロードスタジオで録音されているが、
こちらの方がヌケや音場はいい。

第1楽章は速めで躍動的。そんな中にも各パーツの明滅により彩りを添
え単調にならない。弦がやや強奏気味で硬調なところが惜しい。

第2楽章は木管の綺麗な響きを大事に、弦がサポートする。

第3楽章も木管はチャーミングだがフォルテの弦が強く響きすぎる傾向。
時代を感じさせる。今となればもっとデリケートに扱ってほしい。

終楽章は落ち着いたテンポ。アクセントは明確で念を押しながら
進むような印象で流動的ではない。各パーツを明確に浮かび上がらせるのは良いが、
第1楽章は快速テンポの中でそれを成し遂げていたことを考えると
ここも一定のスピード感でやってほしかった。

7:48   8:30   4:38  7:17  計 28:13
演奏  A-   録音 90点

モーツァルト 交響曲第40番 カラヤン(77)

2012.07.30 (Mon)
カラヤン4041
カラヤン/ベルリンフィル(77、DG)は、このような録音は
これから出てこないだろうな、と思わせる。
ピリオド演奏が蔓延・定着した中でこのような大オーケストラを
ここまでゴージャスに鳴らすということはないだろうから。
EMIが70年に同じコンビでいれていたがあれは4CH録音だったのだろうか?
音に芯がなく拡散し濁っていてほとんど聴かなかったのを覚えている。
それに比べればこちらの方が良い。
古楽器が出る前の究極の20世紀型演奏だし、カラヤン臭ムンムンでもある。

録音はベルリンのフィルハーモニーでフルオーケストラの音像を
大きくとらえている。
低域を少しブーストしたような印象。
モーツァルトならばもう少しすっきりしてもよかった。

第1楽章を聴くとカラヤンらしく流麗なレガートを多用しながらも、
不必要にボリューミーな部分が現出する。
終結に少しブレーキを踏みテンポを落とし、
終わりに入ります、とわかりやすく合図。

第2楽章も壮麗。

第3楽章は厚ぼったい弦が力強く弾く。
テンポはダレないところが良い。

終楽章は速めに進みベルリンフィルが豪華に鳴る。
ある意味徹底しているので快感だ。

全体としての印象は、ザ・カラヤン。

7:20  7:43  4:37  4:38   計 24:18
演奏  麗A   録音 88点

モーツァルト 交響曲第40番 ミンコフスキ(05)

2012.07.28 (Sat)
ミンコフスキ4041
ミンコフスキ/ルーブル宮音楽隊(05,ARCHIV)は奇を衒うことのない音楽。
ミンコフスキならばなにかやるかと思うがそうではない。
ただ、よく聞くと非常に目配りがあり。落ち着いた表現の中に意志が見える。

録音はグルノーブルMC2オーディトリウムでのライブ。
人がいるのでややデッド。
低域からピラミッド型で古楽器集団には珍しい落ち着いた音。

第1楽章は力まずエキセントリックなことはなく弦のさざ波の動きを
少し強調した音楽。図太い音で一気呵成になだれ込む。

第2楽章は鄙びた素朴でかつ瞑想的な音楽。

第3楽章は指揮者の意気込みとともに始まる。
リズミックで前楽章との対比感が出ている。

終楽章は最初は抑制気味に始まる。
繊細な表情を湛えた曇った雰囲気を持つ。
晴れやかなラストスパートというより何かを内に秘めたまま終わる。

7:08  10:58  3:40  6:35   計 28:21
演奏  A   録音 90点

モーツァルト 交響曲第40番 ガーディナー(88)

2012.07.21 (Sat)
ガーディナー4041
ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(88、Philips)は
第1楽章が出色の出来。

録音はロンドンでのセッション。こじんまりしているが編成に見合った清潔な音場。

第1楽章は一貫した推進性の中に優雅さ、素朴さ、荒々しさなどの要素を盛り込む。
音はソリッドで、あっという間に駆け抜けるが秘められた表情は深みと凄味を持つ。
疾走する哀しみが良く出ている。
第2楽章は音を短く切り清潔感のある音楽。さっぱりしている。
しかし、前楽章の沢山のもの詰まった疾走との対比感では14分弱かかるこの楽章は
長く感じる。
第3楽章もさっぱりした表情で左右の掛け合いが楽しめる。
終楽章は歯切れがよく進行。主題の展開部での金管の木霊のような
掛け合い効果など、面白い所はあるが、冒頭楽章のような切迫感はない。
動感をもちながらバランス良く終結。

第1楽章はS級、その後がA級で足してA+。

6:52  13:52  4:57  9:09   計 34:50
演奏  A+   録音 91点

モーツァルト 交響曲第40番 セル(67)

2012.06.22 (Fri)
セル 3940
セル/クリーヴランド管弦楽団(67、SONY)は私がジョージ・セルという人が抱える
隠しきれないロマンに気付いた演奏。
この演奏を聴いて「正確無比の冷徹・無味乾燥」と感じたならば、
再度ヘッドフォンで集中して聴いてみてほしい。
この収録は英国演奏旅行中に行われ、ライブの熱気がそのまま残ったようだ。

録音はロンドンでのセッション。やや高域の硬質感や時代を感じさせるヒスはある。
音場は広くないが左右はとれている。

第1楽章は毅然とした音楽が基調なのにフレーズの端に見せるふとした甘い表情が
なんとも言えない。べっとり甘いのでなく「ふと」である。
一見剛直で力強いからこれが生きる。セルの息使いが聞える熱演だ。
第2楽章も端正な雰囲気だが力感の強弱に独自のため息のようなものが
感じられる。沈み込むまで耽溺型ではなく普通を装う。
テンポもよく聴くと微妙に揺れる。
第3楽章はアクセントのしっかりした武骨で真面目なメヌエット。
低弦がユーモラスな表情。
終楽章は胸が締め付けられる切なさを感じる。
これは前楽章の武骨さとの対比で動的なワクワク感が横溢しているからだ。
フガート部分ではセルの「ウッ!ウッ!」という唸りが炸裂。
彼はここで燃えている。
終結は抑えきれずテンポを少し早めて終わる。
そこがまた人間的で素敵だ。
個人的に相当好きな演奏。

8:12  8:43  4:56  4:38   計 26:29
演奏  A+  録音 85点
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