クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Mozart Trio の記事一覧

モーツァルト ピアノ三重奏曲 全曲 ザルツブルグ・モーツァルト・トリオ(79)

2015.08.05 (Wed)
モーツァルトトリオザルツブルグ
ザルツブルグ・モーツァルト・トリオ(79、harmonia mundi)はピリオド楽器ベテランによる演奏。
作曲家が当時の楽器の音色を頭において作った曲なのだから、
当時の再現としてはこれが正しいのだろう。
ただ、現代楽器のピアノはやはり美しくその響きに慣れた耳には、
このハンマーフリューゲルはいかにも地味。
乾いた音色と響かないチェンバロ的な音は滋味には溢れるが物足りなさが
付きまとってしまう。
またガット弦のヴァイオリンも高域の滑らかさに難があるように感じる。

減衰が早く音の強弱がシンプルな古楽器によっているので
表情の幅が制約されてしまうのは仕方ない。
特に3つの楽器だけで奏されるトリオではニュアンスが限られることを痛感。

このトリオは1963年に結成され、オリジナルの楽器トリオとしては最古参。
スティーヴン・ツェール(ハンマーフリューゲル)アンネグレート・ディートリヒセン(ヴァイオリン)
マックス・エンゲル(チェロ)は何度もこの曲をレパートリーとして録音もこれで3回目。
テンポは落ち着いており、演奏自体は虚飾なく安心して聴ける。

録音はザルツブルグ、アーレンベルク城でのアナログ・セッション。
schloss arenberg
響きは大きくなく音像も遠く中央に寄っているため、モノラル的にこじんまりした感じ。
古楽器ということもありそもそもくすんだ音なのだが、録音自体も非常に地味。
ヴァイオリンなどもっと伸びが欲しい。

第1番から第6番
16:39  26:15  23:38  19:54  20:56  17:06   計 124:28
演奏  B+    録音 86点

モーツァルト ピアノ三重奏曲 全曲 クングスバッカ・ピアノ・トリオ(07)

2015.08.04 (Tue)
クングスバッカ1  クングスバッカ2
クングスバッカ・ピアノ・トリオ(07、NAXOS)はそよ風が吹く爽やかさ。
速めのテンポで(少し速すぎると感じる場面もあるが)で流麗なのだが、
繊細なニュアンスが込められている。これぞモーツァルトを聴く愉しみではないか。
たとえば第6番の冒頭の第一音。
ヴァイオリンとチェロとピアノの左手が和音を奏するのだが
スコア上は単にフォルテに記載だが、実にデリケートに音を置く。
無造作にボーンと行く演奏が多いのだがこの演奏の優しさが心に沁みる。

このトリオは1997年スウェーデンで結成された。
Kungsbackaというのはスウェーデン沿岸部の海辺の田舎町の地名。
クングスバッハ
チェロのスヴェドベリ、ピアノのC=フィリップス、ヴァイオリンのブロマンは女性。
それぞれがソロ活動や教職についていたりで多忙とHPには記載されている。
現在、ハイドンのピアノ・トリオがナクソスにて録音が進行中だが
是非全集に発展させてほしいものだ。

録音はロンドンから西に行った美しい街ブリストルのセント・ジョージ・ブランドン・ヒル
でのセッション。非常に美しい響きがする会場で聴き惚れる。
鮮度が高く音の伸びがピアノが煌めき、ヴァイオリンの倍音が美しい。
チェロは太い音にならず軽快さを演出。
写真で見てもとても陽光射し込む綺麗なホール。
窮屈なスタジオよりもこうした場所の方が演奏者も和むだろうな、と思う。
Hall-Stage-Door-View.jpg

第1番から第6番(2巻分 このほか補筆K442を含む)
18:40  23:47  21:01  18:22  19:30  15:35   計 116:55
演奏  S    録音 95点

モーツァルト ピアノ三重奏曲 全曲 トリオ・フォントネ(90)

2015.08.03 (Mon)
Trio Fontenay
トリオ・フォントネ(90、TELDEC)は実に塩梅がよい。
基本は真面目で程よい愉悦感。

この団体名からフランスの奏者と思っていたが1980年にハンブルグ音楽大学の出身者で結成。
メンバーはヴォルフ・ハーデン(ピアノ)、ミヒャエル・ムッケ(ヴァイオリン)、
イェンス・ペーター・マインツ(チェロ)だが、誰が突出しているという感じがない。
第6番などしっかりチェロも歌っている。
ピアノも強音で主張することもなくコロコロ転がる。

結成10年たち30歳前後の彼らの演奏は溌剌感のある息のあった演奏。
素晴らしく気持ちがよい。
彼らの演奏では87,88年に録音されたブラームスのトリオでの真摯な演奏が記憶にあるが、
ここでは当然のことながらもっと力を抜いた演奏になっている。

録音はベルリンのテルデック・スタジオでのセッション。
テルデックスタジオ
広さはほどほどで室内楽に適した音響。
近さと広さの関係が適切で脚色はなく至極まっとうな音。
同じ場所で録音された録音に比べて透明感ある音がこの曲にフィットしている。

第1番から第6番
21:17  26:32  21:41  19:42  20:53  17:08   計 127:13
演奏  A+    録音 93点

モーツァルト ピアノ三重奏曲 全曲 ボロディン・トリオ(86)

2015.07.28 (Tue)
ボロディントリオ
ボロディン・トリオ(86、Chandos)はおじいちゃんのお話。
テンポは遅く、腹の底から声を出さない。訥々として洗練とは程遠い。
流麗な演奏を聴き慣れるとこうした素朴な演奏との出会いはかえって新鮮。
絶叫はなくゆっくりゆっくり話しかける。フレーズの終結では一呼吸の休止もしばしば。
真剣に聴くには少し弛緩していると思われるかも。
ただ、この不思議な雰囲気はほかにない。

皆が控え目。
BorTri01_201507272346184d6.jpg
このボロディン・トリオは当時のソビエト連邦から亡命した3人で1976年結成された。
ヴァイオリンのデュビンスキーはかの1944年設立のボロディン弦楽四重奏団の
第一ヴァイオリンを30年間努めている。このトリオにおいても中心人物だ。
モスクワ音楽院で同窓で妻となったピアノのリューバ・エドリーナ、
同じくモスクワ音楽院出身のチェロのユーリ・トゥロフスキーからなる。
お互いが切磋琢磨、火花を散らすようなトリオではなく、極めてインティメートな
雰囲気に溢れている。

録音は19世紀建造の麦芽の製造所を改造したイギリス、サフォークの
スネイプ・モルティングス ・ホールでのセッション。
m_Snape20Maltings20Concert20Hall_3.jpg
木質感のある響きの美しいホールでピアノは硬質で少し遠景の中央。
左のヴァイオリンが一番明確だがバランスを崩すことはない。

19:06  27:34  25:17  20:04  19:17  18:37   計 129:55
演奏  親A    録音  91点

モーツァルト ピアノ三重奏曲 全曲 ウィーン・ベートヴェン・トリオ(92)

2015.07.23 (Thu)
ピアノ三重奏ウィーンベートーベン
ウィーン・ベートーベン・トリオ(92、Camerata)はヴァイオリンに好みが分かれるかも。
左に位置するヴァイオリンの音が比較的大きな上に、音色がザクっとした感触を持つ。
スコアを見ているとこの曲はピアノ曲だと思えるが、この盤を聴くとヴァイオリンソナタだ。
そして、このヴァイオリンが実によく歌う。ズスケの生真面目とは違う。
これをウィーン風というのか?
そしてチェロも負けずに太い音を出す。
センターのピアノは自己主張をせずにむしろ周りを立てる。

各曲は颯爽としたテンポ感を持ちながら性格付けがはっきりしている。
若々しくメリハリがあり、老成感はない。この曲を演奏会で何度も取り上げて
いるようだが、まさに演奏会用のピアノ三重奏という感じ。
プロデューサーの井坂氏がノートに書いているが、この録音(89~92年)の
企画時ボザール・トリオ盤くらいしか世に出回っていなかったこの曲集の
「アンダー・レイテッド」感を少しでも払拭したいという気概も感じる。

ヴァイオリンを担当するのは1962年ウィーン生まれのマルクス・ヴォルフ。
ウィーン響やバイエルン歌劇場のコンマスを務めている。
そのためかこのトリオを引っ張っている。逞しいヴァイオリンだ。
ピアノは1955年ウィーン生まれの女流クリスティアーネ・カライェーバで
ソロ活動に加えウィーン音楽大学で教鞭をとる。
俺が俺がということなくコロコロ軽やか。お姉さんの余裕だ。
チェロのハワード・ペニーは1960年キャンベラ出身ながら
ウィーン音楽大学を卒業しウィーンを中心に活動している。
このトリオは、ウィーン音楽大学つながりで1981年に結成。
録音時30前後と皆若いが気心は知れている。

録音はウィーンのスタジオ・バウムガルテンでのセッション。
直接音主体で左右がオンマイクでピアノに少し距離を持たせている。
個人的には少しバランスに偏りがあると感じるがこれが
プロデューサーの意図なのだろう。ピアノの音が少しフォルテピアノっぽい。
Studio-Profile-1-edit.jpg

18:43  23:35  21:35  18:18  19:11  15:26   計 116:48
演奏  A   録音 91点
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