クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Bartók Concerto For Orchestra  の記事一覧

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 カラヤン(65)

2016.08.16 (Tue)
karajandg.jpg
カラヤン/ベルリンフィル(65、DG)はトロトロ。
2回目の録音だが、音響のせいもあり美しい部分もあるが重くて軟体。
これはこの音楽と不一致のような気がする。

第1楽章はベルリンの重低音が冒頭より威力。
しかし、もやもや感が強い録音のため各楽器が分離せず空間の中で混ざり合う。
しかもカラヤンの音作りがレガート満載のため音楽がまるで立ち上がってこない。
音が静まった時に木管の独奏は夢見るようで綺麗なのだが
これはそれだけの音楽ではない。

第2楽章はソフトタッチで羽毛で肌を撫でるようなう感触。

第3楽章は重く暗い。鵺(ぬえ)が鳴く沼のほとりにぽつんと立つ。
弦の叫びは体にまとわりつくようなテヌートで攻めてくる。
この部分を聴くとよく言われるカラヤン様式が極めて明らか。
確かにハンガリー勢のように垂直に音を立ててしまうと聴く者に刺さるが、
このようになだらかにしてくれれば糖衣にくるまれた薬のように
頂きやすいかもしれない。

第4楽章は美しい。ゾクゾクする非現実。

終楽章のテンポは素晴らしいのだが、響きの多さで泥んこ。
よくこの響きの中で合奏を整えることができたものだ。
ティンパニなど遠くて残念。真実の迫力がない録音となってしまった。

(↓1965年 エリエッテ夫人とともに。カラヤンの許可した
   写真は映画の一場面のようで、彼の美意識を感じる)
karajan19652.jpg

録音はベルリン・イエスキリスト教会でのセッション。
風呂場音響。
ここでの録音は素晴らしいものがたくさんあるのだが、
なぜかこの録音は響きが多すぎて現実味がない。
残響付加でもしたのか、手を抜いて残響抑止を怠ったのか。
全体にマイクから音源が遠く、マイクに音が到達するまでに
前の音の残響と被ってしまい鮮明さが落ちている。 

10:03  6:45  8:10  4:15  9:18   計 38:31
演奏   軟B    録音  86点

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 カラヤン(53)

2016.08.15 (Mon)
karajan1953.jpg
カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(53、Columbia)はいきいきカラヤン。
当時出来立てほやほやのこの曲を大いなる共感を持って指揮している。
カラヤンのバルトーク録音は1949年の「弦打チェレスタのための音楽」に始まるが、
この曲もウィーン響と何回かやってからロンドンにひっさげてきた。

この録音時のカラヤンは飛ぶ鳥を落とす勢い。
フィルハーモニア管のほかウィーン交響楽団、ミラノ・スカラ座そして
2年後にはフルトヴェングラー亡きあとのベルリン・フィルを手中にする。

そんな勢いを反映してかこの演奏も実に颯爽としている。
表情もライナーなどより濃淡が付きフレーズごとの呼吸感がある。
楽器が重なって増えていく時の迫力(両端楽章)は凄味がある。
後年のねっとり感はない。
そしてフィルハーモニア管が実にうまい。
終楽章のスピードはスリル満点。
最新録音だったら推薦盤。
(↓1955年のカラヤン)
02-1955-herbert-von-karajan_.jpg
録音はロンドン・キングスウェイホールでのセッション。
モノラルながら安定した音。
但し全体にやや遠く2年後のライナーのステレオ録音が
出てしまうと急速に分が悪くなったのは分かる。

9:46  6:24  7:58  4:24  9:13   計 37:45
演奏   颯    録音  74点

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 ライナー(46)

2016.08.14 (Sun)
ライナーSP
ライナー/ピッツバーグ交響楽団(46、COLUMBIA)は歴史的録音。
ライナーは1938~48の間にピッツバーグ響の音楽監督だった。
バルトークのオケコンは1943年に作曲され、
1944年12月1日に委嘱したクーセヴィッツキー/ボストン響により初演された。
作曲者は初演を聴いてコーダの唐突な終結をより効果的にすべく1945年2月に
エンディングを改訂し、9月に病没した。
この曲の初記録は初演者による1944年12月30日のライブ盤だろうが、
改訂版(現行版)による初録音は作曲者の死後半年に満たない1946年2月の
この盤ではないか。

速めのテンポで即物的に進むのはシカゴ響と同じで、
この時に既にこの曲に向き合う姿勢ができていた。
金管のヴィブラートは時代を感じさせる。
副次的な木管(第3楽章)や金管(終楽章冒頭のホルン)を
浮かび上がらせるのもこの時からの癖だ。

ただ、当時の空気を味わいたいという向きならともかく、
現在聴くなら敢えてこの盤に手を出す必要はない。
オケも録音もシカゴ響が上だから。

録音はピッツバーグのthe Syria Mosqueというホールでのセッション。
Syria_Mosque_Pittsburgh.jpg
モノラルなのでデットに聴こえる。
スクラッチノイズは多少あるが明瞭に音を捉えていて驚くが所詮そこまで。
この曲は掛け合いの妙があるので、やはり新しい録音が良い。
なお、保有盤CDは「The 20th Century Maestros」からのもの。

9:59  5:55  7:55  4:32  9:08   計 37:29
演奏   歴    録音  75点

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 ライナー(55)

2016.08.13 (Sat)
ライナー
ライナー/シカゴ交響楽団(55、RCA)はやはり素晴らしい。
半世紀以上たってもこの盤が存在価値を失わないのは凄いこと。
演奏のみならず録音も一直線で進化して来たわけではないことを痛切に感じる。

また、この盤を聴くとライナー(1888~1963)とバルトーク(1881~1945)との
関係を思い出さずにおれない。
もともとブタペスト音楽院で師弟関係であったが、師であるバルトークが
1940年米国に亡命してきたときには金銭的にも心身も悲惨な状況であった。
一方のライナーは先に米国に来ていて名声を欲しいままにしていた。

バルトークの窮状を見かねたライナー(とシゲティ)が作曲の委嘱という形で
バルトークに金銭的支援を思い付くが、それが昔の弟子からのものだと知ると、
憐みを嫌う性格から受けないと考え、
『クーセヴィッキー生誕70周年とボストン響音楽監督就任20周年』という名目で
委嘱された。
依頼の際に、クーセヴィッキーは作品ができるかどうかわからないのに、
病気で伏せるバルトークの枕元に1000ドル小切手を置いてきたという。
決して人づき合いの良いとは言えないバルトークの周りに
このような善意があったことは幸せだった。
Bartok_Reiner_1942.jpg

そしてライナーのこの盤。
きりりと引き締まり筋肉質なのだが、知情のバランスがとてもよい。
同じシカゴ響でもショルティの方が一直線。こちらは歌わせる場面がある。
第2楽章の「対の遊び」は極めて速いが第3楽章はじっくり「悲歌」を味あわせる。
終楽章はスピーディで快感を伴う。

録音はシカゴのオーケストラホールでのセッション。
RCAビクターはクラシックのメジャのトップを切って1954年から本格的に
ステレオ録音を開始したが、その翌年の録音がこの優秀さなのだから驚く。
Dレンジは広く全く天井を感じさせない。
鮮度も高く自然な音場と相まってこの曲を味わうのに全く不足がない。
テープヒス・ゴロも全くないわけではないがリマスターもよい。
左右を大きくかつ奥行きもたっぷり。
なお、録音で聴く限り変形両翼配置に聴こえる。

9:56  5:58  7:55  4:13  8:58   計 37:00
演奏   A+    録音 88点

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 ショルティ(81)

2016.08.12 (Fri)
MI0001125053.jpg
ショルティ/シカゴ交響楽団(81、DECCA)は男だ。
いかにもショルティらしい剛直で押しの強い音楽。速めのテンポで紋切り型。
常にパワーを秘めておりいざというときに全解放する。
楽器は全てフォルテで鳴っており単細胞的といわれるかもしれない。
もう少しリリシズムとか歌わせてとか(ex第4楽章)注文はつきそう。
だが、恥も外聞もなく守備一貫しており迷いはない。
実にかっこいい。
何度も聴くと、飽きてきそうだが、何度も聴かなければよい。
80年代前半、このコンビは黄金時代を迎えていた。懐かしい。
とにかく、デジタル初期に送り出されたこのコンビの録音
(exマーラーなど)は強烈な輝きを放っていた。
Solti_Decca.jpg

録音はメディナ・テンプルでのセッション。
デジタル初期でその威力を誇示するかのごとく分解能は抜群。
引き締まった低弦から輝くラッパまでオンマイクで捉えてどうだ的呈示。
今の録音はもうすこしこなれているが当時はこれにたまげたものだ。

9:03  6:09  6:33  4:04  9:35   計 35:24
演奏   A+    録音 91点
 | HOME |  Next »