クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Saint-Saëns PianoCon4 の記事一覧

サン=サーンス ピアノ協奏曲第4番 ロジェ(79)

2016.07.25 (Mon)
サンサーンスロジェ
ロジェ(p)/デュトワ/フィルハーモニア管弦楽団(79、DECCA)は端正な貴公子然。
パスカル・ロジェ(Pascal Rogé, 1951年~)はパリの音楽家系に生まれパリ音楽院で学んだ。
ジャン=フィリップ・コラールの少し後輩に当たる。
彼が20代後半にデュトワとロンドンの3つのオケでサン=サーンスの協奏曲全曲録音を
した中の一つがこれ。
Pascal Rogé

録音も含めれば全集として平均的に高いレベルだろう。
ただ全体的にロジェのピアノよりもデュトワがリードしているような音楽づくりではある。

第1楽章はピアノもオケも実に丁寧だ。崩しはなく羽目を外すことはない。
軽いタッチで弾きこなすが、香り立つような独自の雰囲気はない。

第2楽章もウキウキした音楽なのだろうけど真面目に進む。
オケはしっかりした音で音楽がしゃきっとしている。

録音はロンドンのキングスウェイ・ホールでのアナログ・セッション。
綺麗な響きを伴い透明感も確保。ピアノは芯がありタッチの強弱が明瞭。

12:38  13:40  計 26:18
演奏   A    録音 91点

サン=サーンス ピアノ協奏曲第4番 カサドシュ(61)

2016.07.24 (Sun)
robert-casadesus-leonard-bernstein-saint-saens-faure.jpg
カサドシュ(p)/バーンスタイン/ニューヨークフィル(61、SONY)は最高に粋。
どこまでも軽やかなピアノに爽やかな風を吹き込むオケ。

ロベール・カサドシュ(Robert Casadesus, 1899~1972年)は
パリに生まれパリで亡くなったピアニスト。
作曲家でもあり7曲の交響曲、3曲のピアノ協奏曲、
多数の室内楽曲を残している(私は未聴、聴いてみたい)。

カサドシュ一族は音楽・芸術の才に恵まれており
ロベールの先にも後にも音楽家を多数輩出している。
子供達もピアニスト・ヴァイオリニストであるが、
息子ジャンが72年カナダで交通事故死したのを境に
ロベールは急速に体調が悪化し後を追うように亡くなった。
(↓1969年カサドシュ夫妻と息子ジャン、幸福な時)
ジャンと夫妻
現在活躍中の指揮者J=クロード・カサドシュは甥。

ロベールは戦時中米国に亡命したことからCBS・コロンビアレーベルと
つながりが深く多数の録音を残している。
ミトロプーロス、ミュンシュ、セル、オーマンディ、バーンスタインとの協演盤も多い。
個人的にはオーマンディとのダンディ「フランス山人の歌による交響曲」と
ともにバーンスタインととのフォーレの「バラード」、そして本盤が忘れられない。
(↓ 1961年この曲の収録後、モニタールームでチェックする指揮者とピアニスト)
カサヅシュ&バーンスタイン

カサドシュの印象は「粋でダンディ」。タッチは軽く深刻ぶったりしない。
表情過多にならずサラリと行くが、なんか洒落ている。

第1楽章冒頭のオケとピアノの掛け合いからいい雰囲気。
バーンスタインもさらりとした風情で進め、ピアノが軽く対抗する。
音場が広いので弦の音が浮遊感を持ち実に綺麗。
この楽章ではオケは抑制を効かせピアノのリリックな囀りをサポートする。
アンダンテは夢見るようだ。

第2楽章の疾走感もたまらない。
後半のアレグロに入っても力づくにならず両者余裕を残す。
オケのスケールは徐々に大きくなり、その間をピアノが飛び回る。
最後の勢いは流石バーンスタイン。

録音はマンハッタンセンターでのセッション。
ここは残響が多く広大さを感じさせるホールだが、この録音では軽やかな風を
演出するのに大きく寄与している。古い録音だがリマスターもよく刺激が少ない。
この場所で収録してよかった。エイブリー・フィッシャーではこうはいかなかった。

11:34   13:39   計 25:13
演奏   S   録音  90点

サン=サーンス ピアノ協奏曲第4番 チッコリーニ(70)

2016.07.23 (Sat)
サンサーンスチッコリーニ
チッコリーニ(p)/ボド/パリ管弦楽団(70、EMI)はラテンを感じる。

アルド・チッコリーニ(Aldo Ciccolini, 1925~ 2015年)はフランスに長く居住した
イタリア人ピアニスト。本盤は90歳目前で亡くなった彼の人生の折り返し点での記録。
(↓壮年期と80代のチッコリーニ)
若き日のチコリーニ    チッコリーニ

同世代の南仏マルセイユ出身のセルジュ・ボド(1927年~)と組んでいることも
この演奏のムードを作ったと思われる。

音が明るい。
清涼なリリシズムというよりサン=サーンスの屈託のない伸びやかな面が出ている。
聴いていてとても気持ちいい。特に第2楽章の終結にかけて活気を漲らせる。

それはそれでいい。
でも、多面性を持つサン=サーンスの微妙な綾も懐かしくもなる。
チッコリーニのピアノがナポリ人気質?で大らかな打鍵を披露している。
ただ、陽気さとともに感じるラフさの原因はそれだけではないかもしれない。

もう一つの要因はこのオケ。
68年のミュンシュの急逝の後、69年にカラヤンに白羽の矢が立ち音楽顧問とした。
しかしカラヤンはベルリンフィルほかの仕事に追われていてあまりこのオケと
組むことはなかった(70年万博もカラヤンはBPOと来日している)。
結局、2年間で終わったカラヤンとこのオケの関係だが、
この時期その穴埋めをしていたのがボド。
指揮者としてはまだ実績が少なかったボドをオケの猛者は馬鹿にしていたともいう。
統率感が薄いのはそうしたこともあったのかもしれない。
71年にボドはこのオケを去る。

先入観を持ってこの演奏を聴いたのではなく、
この演奏を聴いてそんな背景を思い出した。

録音はパリのサル・ワグラムでのセッション。
当時の仏EMIらしくやや乾いた音がザクっとなる。
音場は十分。但しクリアさ薄くセピアの滲むアナログ録音。

12:31  14:57   計 27:28
演奏   A    録音 87点

サン=サーンス ピアノ協奏曲第4番 マリコヴァ(2003)

2016.07.22 (Fri)
サンサーンスマルコヴぁ
マリコヴァ(p)/T・ザンデルリンク/ケルン放送交響楽団(2003,audite)は女と男の舞踏。
この曲に潜んでいた魅力を新たに掘り起こしてくれた感がある。
演奏・録音共に最上。

マリコヴァ(1965~)はウズベキスタンの出身、日本でもおなじみ。
Malikova.jpg
トーマス・ザンデルリンク(1942~)は言わずと知れたクルトの息子でドイツの指揮者。
トーマスザンデルリンク
オケも含めて本場物ではないが、故にしがらみなくこの曲に取り組み新発見を成し遂げた。

サン=サーンス(1835~1921)は不可解と不思議さが優雅を纏っていることを知らしめる。
今まではピアノ主体の演奏が多かったがこれは一粒で二度おいしい。
煌めくピアノにがっしりオケ。品の良さと妖艶さ。対等の立場で絡み合う。

ピアノは星降るようなきらきらの粒立ちであったり
豊潤な赤葡萄酒のような色になったり。猫の目のよう。
オケも縦の線を打ち込んだかと思うと、太い腕でピアノを支える。
また弦がブルーの冷気を突如吹き込む。こちらも千変万化。
骨格のしっかりさはやはりドイツのオケと思うが
粗さがなく指揮者のコントロールが素晴らしい。

第1楽章から丁寧だが、第2楽章は保有盤最長の演奏時間にも
かかわらず退屈せず繊細な音色を愉しむ。
演奏終了時はブラヴォーを言いたくなる。

録音はケルンのフィルハーモニーでのセッション。
koelner-philharmonie-.jpg
SACD盤。新鮮な音だが全く刺激臭はない。
ホールトーンも取り入れているが曖昧さはない。
ピアノの音はマイクがよく拾っているがバランスの悪さもない。  

12:15    14:26   計 26:41
演奏   S    録音  95点

サン=サーンス ピアノ協奏曲第4番 アントルモン(76)

2016.07.21 (Thu)
Saint-Saens.jpg
アントルモン(p)/プラッソン/トゥールーズ・キャピトル管弦楽団(76、SONY)は
表現意欲が出過ぎたかも。

この曲に何を求めるか。
ロマン派ピアノ協奏曲としてはこの程度の意欲は当たり前のレベル。
しかし、私はこの曲にさらりとした着流しのよう風情を感じたい。
それがお洒落っぽいと思う。

今やアントルモン(1934~)はすでに80歳を超え、指揮歴もそうと長くなった。
PhilippeEntremont21.jpg
個人的にはアントルモンと言えばバーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」に
おけるピアノパートの軽やかさと深刻さを描いた演奏が忘れられない(65年録音)。
さてこの曲は61年オーマンディとの協演盤につぐ再録音。
デジタル前に録音されて影の薄くなった本盤より旧盤の方が有名かもしれない。

第1楽章冒頭はオケがたっぷりの表情。ピアノもそれに呼応して濃厚。
うーんここは表向きはスマしてほしかった。
主部に入ると一転しゃきっとするかと思うと遅いテンポでまったり感も。
後半のアンダンテはいい雰囲気。

第2楽章はピアノにぎこちなさ?アントルモンほどの名手だから技巧の問題ではない。
少しタッチが重いのが気になる。
それでも完全に手中に収めているピアノは最後まで自信ありげだ。
オケはそこそこ出しゃばらず流麗な伴奏だが、金管はラフな面がある。

録音はトゥールーズでのセッション。リマスターはヒス・ゴロを多く残している。
これはクールな空気感を残したっからかもしれない。
また、ワウフラを感じる様な所はオリジナル・テープ起因なのか
もともとゆらぎ音なのか判然としない部分あり。
距離感はピアノとオケは両者の溶けあいを意識したもの。

12:23   13:28   計 25:51
演奏    A-     録音  86点
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