クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Stenhammar Serenade の記事一覧

ステンハンマル セレナーデ コイヴラ(08)

2013.01.16 (Wed)
ステンハンマル集
コイヴラ/イェヴレ交響楽団(08、NAXOS)はこの曲最高の演奏。
ドヴォルザークと並ぶロマン派セレナーデの傑作にこの無名のコンビが金字塔。
オケは初めて耳にするが共感に満ちた丁寧な音。合奏も精緻。
イェヴレは人口7万人!?でストックホルムの北120キロにあるバルト海に面した町。
このオケは1912年設立で最初は25人だが今では52人のオケになったと
誇らしげに?書いてある。とはいえこのセレナーデを演奏するには
不足なくかつまったく技術的に心配な事はない。
指揮者は名指揮者の量産地フィンランドのシベリウスアカデミー卒の中堅(1960生)。
演奏は、ステンハンマルの抒情性を際立たせ比較的ゆったりしたテンポで
(ヤルヴィより5分長い)、特に弦の持続音が静謐の中に消えていく効果を
これほど発揮させた演奏はない。
この消えゆく瞬間に心が一緒に北欧の雪の中に吸い込まれれる。

録音はスウェーデンのイェヴレコンサートホールでのセッションで
響きが大変美しく惚れ惚れ。
全体はクールで透明で大事な弦はシルキートーンで夢見るようだ。

序曲の最初を聴いただけでこれはいけそうな感じがすると思った。
音がとにかく清潔。ウキウキしながらもフォルテに角が立たず優しい。
小編成のオケが透明感があって良い雰囲気だし、
弦に思いをひっそり籠めている。
フレーズの受け渡し時の一瞬の呼吸感がたまらない。

カンツォネッタは、心細く寒い夜に暖かさが灯る。

スケルツォは躍動感あるがどこまでも丁寧だし、威圧的なところもない。
繊細でキラキラしている。ホルンもいい音。
フワーッと盛り上がったところで急に静まりかすれた歌が流れる
この対比感はぞくぞくする。
そしてこの楽章の最後のピアニッシモから次の楽章に移る真空の間が
このCD最大の聴きどころとなる。

ノットルノはうっとりするロマンティックだ。
保有盤中、一番時間をかけた演奏。
この指揮者はここぞという時には音を伸ばし後ろ髪引かせる。
また、絶妙な無音の間をとる。
とても甘いのだが流石に北欧の抒情でまったくべとつかない。
切なさが胸を打つ。

終曲はそっと始まりチェーミングなためらいを見せながら滑り出す。
終結に向けじっくり時間をかけて名残を惜しむ。黄昏時の最後の光。

なお、このCDは選曲がよく最後の世界初録音の「前奏曲とブーレ」まで
清冽な抒情満載。曲も演奏もすべて繊細で北欧音楽ファンは随喜の涙。

6:46  5:25  7:39  8:43  9:15   計 37:48
演奏  S   録音 95点
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