クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Stenhammar Sym2 の記事一覧

ステンハンマル 交響曲第2番 N・ヤルヴィ(93)

2018.02.02 (Fri)
ステンハンマル2Nヤルヴィ
N・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(93、DG)は
セレナードのように淡麗美麗。
10年前の使命に燃えた十字軍のような演奏でなく、
この作曲家の本来的端正さの再現を目指している。
外形的な彫りの深さや抉りの効いた表情は潜める。
でも演奏者のこの曲への愛情は隠しきれない。

83年盤と比べると表面は拍子抜けのようだが、
それと引き換えに美しい響きを得た。
エーテボリの素晴らしいアコースティックでとことんまで磨く。

この曲を献呈されたオケがまさに自分たちの曲という自負を持っている。
そして終楽章はこの盤も美しく高潮する。旧盤と全く同タイムで保有盤最速。
感傷を風の中に舞い散らすようなその演奏は、故に感動的だ。
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ネーメ・ヤルヴィは折に触れてステンハンマルを取り上げている。
広大でチャーミングな交響曲第1番の復活もヤルヴィのおかげだ。
彼の功績は実に大きい。
今年3月もこのオケとこの作曲家のコンサートを行う。
(↓その演奏会ポスター)
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録音はエーテボリコンサートホールのセッション。
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同じ会場でも旧盤の聴衆が入った時と比べて響きの量が増えている。
それをうまく生かしてまろやかで木質の音を実現している。
切れ込む鋭さはないがこのオケの繊細で優しい音を実感できる。

11:56  8:52  6:58  14:18   計 42:04
演奏   A+   録音  93点

ステンハンマル 交響曲第2番 スンドクヴィスト(96)

2018.02.01 (Thu)
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スンドクヴィスト/ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(96、NAXOS)はさらりとした出来。
この曲を誇張なく再現する。その分特色が薄くなっている面も。
オケも北欧ローカルではなく癖のない中庸さを示す。過不足は無いのだけれども。

スンドクヴィスト(Petter Sundkvist 1964~)はチェロ経由パヌラ門下のスウェーデンの指揮者。
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ハンガリーに行って現代音楽学んだりしているが、ナクソスで北欧音楽を多く録音している。
彼の「スウェーデン管弦楽小品集2」は誰にでも薦めたくなる名盤。
SWEDISH ORCHESTRAL FAVOURITES2
だがこのステンハンマルは他の盤を差し置くには弱い。
指揮者とオケが不慣れで距離があるのか踏み込みが弱い。
一番の強みはナクソスの流通ルートで入手し易いということか。

録音はグラスコーのヘンリーウッドホールでのセッション。
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昔のナクソスを思わせるくすんだ音。平板に響き各楽器の分離もいまいち。
ホールの写真を見る限りもう少し拡がりのある音が録れたのではないかと思う。

12:02  9:26  7:11  15:47   計 44:26
演奏   A-   録音  89点

ステンハンマル 交響曲第2番 リントゥ(2015)

2018.01.31 (Wed)
ステンハンマルリントゥBBC
リントゥ/BBCスコティッシュ交響楽団(2015、BBC)は質実剛健。

リントゥ(Hannu Lintu 1967~ )はフィンランドの指揮者で
フィンランド放響とシベリウスの交響曲全集を完成させている。
来日もして割と直裁な音楽づくりをしていた記憶がある。
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ここでも脇道に入らずグイッと音楽を掴む。
そうした意味では逞しいが、北欧的抒情には少し弱いか。

第1楽章の主題など音を短く切り雄渾で毅然としている。
全般に弦の圧が強い。特に低弦に推進力と威力がある。
シベリスの3番の機関車のような弦の刻みがここでも聴かれる。

第2楽章のアンダンテはもう少し優しく扱ってほしい。

一番成功しているのは終楽章で非常に力感が高く終結に向けて
エネルギーを全開にしていく。
ズンズンと雄渾な音楽に仕上げる。

録音はグラスゴーのシティホールでのライブ。
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BBC放送収録なので基本的水準は高いが聴衆がいることもあり
デットな音響が幻想性を弱めている。セッションほどの細部の拘りはない。
東京文化会館で聴くような音。もう少し雰囲気が欲しい。
客席ノイズは気にならない。最後に大きな拍手は入る。
ヤルヴィの83年ライブ盤の方が聴衆が熱狂的だったが。

12:45  9:35  7:53  15:14   計 45:27
演奏   A   録音  89点

ステンハンマル 交響曲第2番 マン(59)

2018.01.30 (Tue)
stenhammar 2 tor mann
マン/ストックホルムフィル(59、SwedishSociety)は素朴な力強さとほの暗いロマン。
スコアをそのまま鳴らしているのだが民謡調のメロディなど堂に入っている。
小細工は無く洗練とは遠いがこの曲の出自がよくわかる。
旋律に隠れそうな副次的なパッセージも大切に扱う配慮も心憎い。
あちこちに鳥の囀りが聞こえるのだ。

マン(Tor Mann 1894~1974年)は、スウェーデンの指揮者で
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ベルワルド・ニールセンなどでも名演を残している。
この演奏のリハーサル風景はストックホルムフィル創設75周年記念BOX(8枚組)に
ストックホルムフィルBOX
一部が収録されている。
仲間的な和やかな雰囲気の中に、的確な職人的準備を行っているような気がする。
自国の作曲家に対する親しみと自信が表れた演奏だ。
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録音はストックホルムコンサートホールでのセッション。良好なステレオ。
音場は広くないが木質のトーンで左右は適度に展開。
Dレンジはそこそこだが不足感は無い。この時代このような優れた録音が
スウェーデンでなされていたことに少し驚く。

12:42  9:21  7:25  14:57   計 44:25
演奏   A+    録音  86点

ステンハンマル 交響曲第2番 P・ヤルヴィ(96)

2018.01.29 (Mon)
ステンハンマルパーヴォヤルヴィ2
P・ヤルヴィ/ロイヤル・ストックホルムフィル(96、virgin)は大好きな演奏。
知と情のバランスがよく、この曲の魅力を最大限に発揮させた。
私がパーヴォのファンになったのはロイヤル・フィルとの「新世界」、そしてこの盤だった。

パーヴォ・ヤルヴィ(1962~)は父ネーメ(1937~)が83年BIS、92年DGに録音した
この曲を33歳で録れた。しかしその音楽は父とは全く違うものだ。
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演奏時間だけみても父が保有盤最速41分半、パーヴォは保有盤最長の47分半。
むしろウェステルベリ盤に近い。
ウェステルべリが自然のうちにこの曲の魅力を滲ませるならば、
パーヴォはもっと積極的でロマンティック。
父よりも師匠であるバーンスタインの影響を見る思い。

緩急を思い切りつけ、ダイナミックレンジが広い。
印象的なのはフレーズの最後を名残を惜しむかのように引き延ばす。
また楽中に頻出する森に木霊する音形の扱いが絶美。
それらが枠をはみ出さず北欧的抒情を際立たせる。
キュンと切なくなる場面が沢山。
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終楽章など劇的で実にスケールが雄大。
中間部ではぐっとテンポを落とし静けさの中で雪が舞う。
そして徐々にモティーフを積み上げ音を巨大化させテンポを上げる場面は
あたかもシベリウスの第2番の終楽章の情景を彷彿させる。
胸の締めつけられるような高揚で終結。
オケも万全。若きパーヴォ入魂の一枚だ。

録音はストックホルム・コンサートホールでのセッション。
当時のヴァージンの録音は玉石混交の印象だがこれは素晴らしい。
ホールトーンと楽器のピックアップのセンスが良い。
弱音部分の美しさはこ演奏を引き立てるし、適度な量感でスケールも十分。

12:50   9:50   7:09  17:42    計 47:31
演奏   S   録音  93点
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