クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Copland Appalachian の記事一覧

コープランド アパラチアの春 ポプル(96)

2016.07.04 (Mon)
ポプルコープランド
ポプル/ロンドン・フェスティバル管弦楽団(96、ARTENOVA)は身近な風景。
1944年室内楽版でこじんまりと朴訥な音が流れる。
そこには劇的な光景は無くほんのり幸せを喜ぶ田舎の人がいる。

ロンドン・フェスティバル管弦楽団はデッカのハウス・オケとして1950年代創設。
1980年ポプルに出会ってこのオケはBMGやDGなどに
積極的に古典から現代までの小編成の管弦楽をレコーディングするようになった。
今まで出会った彼らの音盤は刺激の少ないつつましやかなものが多かった。
ある時は退屈でBGM的であることも。
この演奏もそうといえばそうだが、
音楽の内容自体がそれと符合しているので気楽に聴ける。
ロンドンFO

録音場所は未記載のセッション。
響きは多くなくいかにも室内で奏されるごとく。小さな編成でピアノの低音も含めて不足ない。

26:27
演奏   A    録音  90点

コープランド アパラチアの春 大植英次(2000)

2016.07.03 (Sun)
大植コープランド
大植英次/ミネソタ管弦楽団(2000,REFERENCE RECORDINGS)は
驚異の空間音楽。
演奏よりも先に録音の凄さを書きたくなる。

リファレンス・レコーディングスによるこのコンビの録音はいずれも特徴的。
HDCD.jpg
High Definition Compatible Digital(HDCD)がウリでダイナミックレンジが
やたらに広く全くフロア・アッパーを感じさせない。
低域の量感も圧倒的で普通には再生できないような信号まで
入っているような気がする。
モニター型ヘッドフォンで聴いても粗を見せずキンキンしない。

そしてミネアポリスのオーケストラ・ホールがまたやたら空間が広大。
Orchestra-Hall.jpg
orchestra-hall-auditorium.jpg
MTTのRCA録音もその凄さを書いたがこちらも双壁だが、
僅かに打楽器のパルス・輪郭の捉え方においてMTT盤の方が好み。

さて肝心の演奏だがいかにも当時の大植らしく間然とするところがない。
Eiji Oue
オケのバランス、空間を利用した響かせ方など誠に堂にいっている。
しかし、故に優等生的な限界も見える。
過度な主情を持ちこまないのセンスの良さは、いかにも知的である。
しかし、人間ここまで出来過ぎていると逆にねだりたくなるのだ。
なお、併録の交響曲第3番は熱演だ。 

25:09
演奏   A   録音  96点

コープランド アパラチアの春 ホグウッド(2005)

2016.07.02 (Sat)
hogwoodcopland.jpg
ホグウッド/バーゼル室内管弦楽団(2005、ARTENOVA)は凛とした佇まい。
癒しの音楽というより澄みきってカチッとした音。古楽奏法+真面目。

ホグウッド(1941~2014)は言わずと知れた古楽の旗手だったが
晩年領域を広げた。
というより20世紀の新古典主義音楽にピリオド奏法を取り入れ独自性を見せた。
この曲もそうだ。
1944年の13楽器の完全版を用い、ノンヴィブラート奏法を使い他にない音色。
ある意味癖のある音なので好き嫌いはあろうが、新たな挑戦を続ける姿勢は素晴らしい。
ただし、欲を言えばこのアメリカ音楽ではもう少し遊びやゆとりを入れても良かった。
純水のようなキラキラした部分はホグウッドらしいのだが。
hogwood.jpg

バーゼル室内Oは1984年設立の常任指揮者を置かないオケ。
ホグウッドとは関係が深かったようだし、有力指揮者を迎えて演奏することが多い点で、
オルフェウスとは違ういき方。。技術的には高度。
ここでは当初のスコア通り13人で演奏している。

録音はスイス・ルツェルン・カルチャー・コングレスセンター(KKL)内のコンサートホール
でのセッション。ここは今のルッツェルン音楽祭のメイン会場。
1998年にアバド/BPOが杮落し公演を行った。湖畔に佇むこの現代建築は美しい。
Kultur- und Kongresszentrum2
resized_799x518_799x518_galerie_kkl_innen.jpg
音は直接音を主体にそれほど拡がりをもたないが、
よく聴くと空間の広さは感じる。編成は小さく、低域は少ないが、
極めてまっとうな音。ピアノがパーカッションの代りだがいい感じ。

35:21
演奏   凛A 録音 92点

コープランド アパラチアの春 スタインバーグ(67)

2016.07.01 (Fri)
steinberug copland
スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団(67、MCA)はスタイリッシュなビート。

ウィリアム・スタインバーグ(William Steinberg, 1899年~1978年)は、
ユダヤ系ドイツ人の指揮者だが結構レパートリーは広い。
戦後アメリカで活躍したのでスタインベルグでなくスタインバーグ。
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息子のピンカス・スタインバーグも指揮者でN響に来ている

私はこの指揮者のホルスト「惑星」を聴いてそのソリッドな迫力に魅了された。
その他の演奏を聴いてもスタインバーグはなんか格好いいと感じた。

その要因がこの演奏を聴いてわかった。
それは独自の「ビート」感。
この演奏の11:40頃から始まる舞踏の場面。
スピードに乗るのだが、それ以上にすごいのが脈動・躍動。
リズムに乗ってズンズン。指揮者の見かけによらず、超ノリノリ。
アンサンブルを整えるよりも「動」を優先する。

これは先述の「惑星」冒頭の「火星」を聴いても感じること。
この指揮者、テンポは基本的に速めで情感豊かというわけではないが
この脈が聴き手を動かすのだ。

終結に至る場面で「Simple Gifts」が壮大に戻る場面でもアクセントが
ンチャ・ンチャ刻まれる。
1945年組曲版だが、保有盤最短の演奏時間。

録音場所は不明のセッション収録。
残響は少し加えているかもしれないが、ヌケよく広い空間で鳴る感じ。
年代を若干感じるが、聴きやすい音にリマスタ。

22:07
演奏 脈A    録音  87点

コープランド アパラチアの春 スラットキン(85)

2016.06.30 (Thu)
スラットキンアパラチア
スラットキン/セント・ルイス交響楽団(85、EMI)は真面目王道。
この曲を味わうのに全く不足なし。

セント・ルイス交響楽団は1880年設立で米国でNYPに次ぐ歴史を
誇るが、商業録音ではあまりメジャーとは言えない。
レナード・スラットキン(1944~)は1979~96年の間このオケの音楽監督。
ある意味指揮者に恵まれなかったこの楽団だが、スラットキン時代に
大幅に向上し、一時はショルティ/シカゴ響に次ぐ評価を勝ち得たとも。
ここではその黄金期の響きを聴くことができる。

本盤は、1945年組曲版でなく1954年のオーマンディのモノラル盤で使われた
拡大版。従って組曲第7番目に当たる部分が3分から11分以上となる。
MTTはこの版を使いながら極限のダイナミズムを提示したが、
スラットキンはそうしたことはしない。丹念に音楽を紡いでいく。
この人の指揮は羽目は外さず、きちんと音を整理していく。
スラットキンがNHK交響楽団と相性がいいのも何か分かる。
いかにも音楽家系で育った品の良さを感じる。安心して聴ける。
一方、併録の「ビリー・ザ・キッド」のドンパチなどはかなり意欲旺盛。

録音は本拠地のパウエル・シンフォニーホールでのセッション。
このホールは歴史的建造物で瀟洒な造りと音響の良さで知られる。
psh.jpg
powell-symphony-hall1.jpg
伸びよく、誇張のない音。鮮明さやDレンジはEMI的。

36:40
演奏   A    録音   91点
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