クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Tchaikovsky Sym3 の記事一覧

チャイコフスキー 交響曲第3番 ロストロポーヴィッチ(76)

2013.05.28 (Tue)
チャイコロストロ3
ロストロポーヴィッチ/ロンドンフィル(76、EMI)は愛情溢れる演奏。
歌謡性を前面に押し出しているが、ロンドンフィルということでローカル色は
中和されている。また、ここぞという時の踏み込みもまだ浅く、優しい演奏になった。

録音はキングスウェイホールだが、少し遠めで立体感の少ない音。
考えてみれば残念なテンシュテットのマーラー録音と同じ組み合わせだ。
ということで量感を増強して聴いた。
しかし最強音で余裕がなくなるのはいかんともしがたい。

第1楽章は思いたっぷりの序奏で入る。情感が込められ共感度が高い。
オケはイギリスだから楽器の音は中立的だがロシアの匂いがする。
フレーズが一区切りして次の展開に移る時優しく一呼吸置く。
新しいメロディが埋もれないようにゆっくり提示する。
派手な音響はなく終結も追い込まないため迫力という点では物足りない。

第2楽章も優しく包み込む。

第3楽章は懐かしさに溢れる。そよ風のよう。
力感は抑えられメロディを中心に据える。
何か夢でも見ているような独自の世界。

第4楽章は一転速い。強弱をつけ表情は豊か。

終楽章は流動感あるがバレエ音楽のような軽さ。
ティンパニや低弦が弱いのでどっしり感がない。録音が災いしているかもしれない。
やはり交響曲なのだからしっかり締めてほしいところだが、
最後まで優しさ満点なのが不満。

14:22  7:35  10:10  5:24  8:57  計46:28
演奏  優A- 録音 86点

チャイコフスキー 交響曲第3番 マズア(91)

2013.05.27 (Mon)
チャイコマズア3
マズア/ライプチッヒゲヴァントハウス管弦楽団(91、TELDEC)は率直で充実した演奏。
民謡を強調せず、純音楽的作品としている。
そのため全体は引き締まり演奏時間も保有盤最短。
ロシア的なものを求めるとずれるが、冗長になりがちなチャイコフスキーの音楽を
筋肉質に再現するという新しい方向性だ。
ゲヴァントハウスもドイツのオケらしく派手すぎず良い音。
この曲をとりとめなく駄作と考える向きには、
この演奏で交響曲としての成立性を見直すことになるかもしれない。

録音はノイエス・ゲヴァントハウスでのセッション録音で焦点がぼけずに
しかし近すぎない良好な響き。弦が主体で金管やパーカッションがやや奥に配置。
響きは多くないが適切なスケール感。

第1楽章の序奏はゆったりだが主部に入ると快速になる。
ゲヴァントハウスの引き締まった弦がスピードを出して目の前を通過するのは痛快。
マズアとドイツのオケという組み合わせからはもっと鈍重な音楽が予想されるが意外な展開。
しかし、そのスピードの中にも流麗さと歌があるのがよい。
終結にかけて前のめりなくらいだ。

第2楽章もそぎ落とした表現で民族的情緒に目もくれずすたすた。

第3楽章のアンダンテも音を切り詰める。
ほかの演奏ならばセンチメンタルになつかしむように音を伸ばすがそのようなことはしない。
更にリピート省略もあり7分そこそこでこの楽章を切り上げる。
(バーンスタインより4分以上短い)
この楽章をこの曲の目玉だと考えるとこれは完全に裏切られる演奏。

第4楽章のスケルツォは標準的な演奏時間だが表情は全くだれない。

終楽章へはアタッカで入る。派手なことはないが充実したオケの合奏を味わえる。
弦のフーガなど聴くとドイツ音楽のような立派さ。
終結はまことにシンフォニック。手に汗握る演出はないが、正攻法で整然とかけぬける。

12:52  6:02  7:19  5:34  7:52   計 39:39
演奏  直A   録音 91点

チャイコフスキー 交響曲第3番 バーンスタイン(70)

2013.05.26 (Sun)
チャイコバーンスタイン3
バーンスタイン/ニューヨークフィル(70,SONY)は唯一の録音。
全集完成のための収録だろう。繊細さや緻密な計算は感じられないが、
はからずしてこのコンビのこの時期の豪快な音楽を聴くことになる。

録音はフィルハーモニックホール=現在のエヴァリーフィッシャーホールでのセッション。
リマスターでヒスは気にならない。音響は直接音が主体の直截的なもの。
左右にくっきり分離で、ややぎらついた音。

第1楽章はざらっとしたニューヨークの弦から始まる。
そして主部に突入する時の元気と粗さはこのころの両者の関係を物語る。
ロシアっぽさはないが、洗練されているわけでもない。
金管や低弦がバリバリ出てくるのはニューヨークの特質。
テンポのいじりはなく速いわけでもないが、とにかく勢いを感じる音だ。
終結のドクドクと脈打つ音楽は流石、バーンスタイン。
輝かしいアメリカンブラスに思わず懐かしさを感じる。

第2楽章も弦圧の強い。これは録音にも起因するかもしれないが、ややキンキン。
フルートは名手が歌う。

第3楽章は保有盤最長。このアンダンテをたっぷり歌う。情熱的に。
音響は美しいとは言えないかもしえないが思いを込めているのは、
バーンスタインの祖先のロシアの血か?
ここでも右から聴こえてくる低弦の威力は凄い。

第4楽章はあっけらかんと。

終楽章は豪快。威勢のいいオケの音が冒頭より飛び出る。
テンポはムーティやメータのように速くなくどすこい型。
巨大なオケで巨大に進行。特に後半に行けばいくほど重量感を増す。
終結のエネルギー放出感は凄い。荒っぽい投げ技でねじ伏せられる。
日本のオケの技量も今や凄いことになっているが、分厚いステーキを
モリモリ食うこの集団の容赦ないパワーには負ける。

13:40  7:46  11:20  5:53  9:19  計 47:58
演奏  A-  録音 86点

チャイコフスキー 交響曲第3番 スヴェトラーノフ(67)

2011.09.28 (Wed)
スヴェトラ初期
スヴェトラーノフ/ソビエト国立交響楽団(67、Mlodiya)は懐かしい新世界レコードで出ていた。
第一回目のスヴェトラノフのチャイコフスキー全集は本場物だがあまり評判にならなかった。
しかし、今から見れば西欧に染まらないソビエト連邦時代の貴重な音。

録音はモスクワでのセッション。
リマスターは成果を上げているが、それでも音は細身で近接で強奏時はキンキンする。

第1楽章は何の違和感もなく始まる。主部に入るとスピードアップし、
当時のソ連の指揮者に見られた紋切スタイルが展開する。金管の懐かしい響き。
録音も手伝い弦は鋭い。
第2~4楽章はロシアの憂鬱や感傷がそのまま期せずして音になる。
指揮者が何かをしているという感じではなく、ある意味そのまま流している感じ。
ただ、せっかくの盛り上がりで弦がざらつき音が荒れるのは残念。
終楽章はスヴェトラノフならではのド迫力を期待しいがそうはならない。
オケがこじんまり。やはりやる気がないのか?
あなたならもっとできる、と叫びたくなる。気の抜けた演奏だ。

13:20  6:36  10:43  5:48  9:30   計 45:57
演奏  露B+  録音 84点

チャイコフスキー 交響曲第3番 オーマンディ(74)

2011.09.27 (Tue)
オーマンディ3
オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(74、RCA)は初期交響曲集の第一弾にして
この曲唯一の録音。LPは日本で発売されることはなかった。しかし、演奏は立派。

録音はスコティッシュ・ライト・カテドラルで近接した捉え方。左からややゴロあり。
今となってはやや立体感が薄い。

第1楽章は非常に落ち着いたテンポでシンフォニックに事を進める。
スラブ的雰囲気は少なく中立的。左右が明快で整然としているので、
各パーツの掛け合いが聴きとれる。
勢いで進める音楽と違い、純粋に管弦楽を聴く喜びを与えてくれる。
終結ではオーマンディらしくシンバルを打楽器に追加する。響きがゴージャス。
第2楽章は速めのテンポで弦主体に。RCA録音がもう少しフィラデルフィアの弦を
豊かに録ってくれるとありがたかった。フィリップスだったらな・・・。
第3楽章は主部に入るとテンポをぐっと落として濃厚な歌を聴かせる。
オーマンディのロマンティックな面。情感を込める。
第4楽章は一転管が活躍。
終楽章はどっしりしたテンポだ。これまた整然とした演奏。
全奏になると金管が輝かしい。
フーガでは弦の各パーツが対抗する力強さ。
楽譜にないシンバルの一撃でコーダに突入、金管のファンファーレ。
このコンビらしい光彩陸理の終結。

14:43  6:36  10:36  6:07  9:20   計 47:22
演奏 華A   録音 87点
 | HOME |  Next »