クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Tchaikovsky Sym2 の記事一覧

チャイコフスキー 交響曲第2番 ムーティ(78)

2013.05.21 (Tue)
チャイコムーティ2
ムーティ/フィルハーモニア管弦楽団(78、EMI)は痛快この上ない。
民族性には目もくれず緊張感を持って突き抜ける。
これを爽快と言わずしてなんと言おうか?
音楽が浅い?そんな批判はこの演奏の前では屁の突っ張りにもならない。

録音はアビーロードスタジオでのセッション。
当時のSQクァドロフォニック用の録音。このSQ4用のものは芯がぼけていたり
することが多いが現在のCDリマスターでは悪くない音。
突き抜ける新鮮さや音の凝縮感はイマイチながら鼻づまりではない。

第1楽章は速めに入る。土着性を際立たせずスムーズに進む。
しかし、徐々に血管が浮き出る。
4分半ごろからパーカッションが皮の揺れを伴い叩かれるのを聴くと身構える。
緊張感が揚がる。弦のザクザク音が気持ちよい。
何か恐ろしい予感を残してこの楽章を不気味に閉じる。

第2楽章も速めの行進。

第3楽章は各楽器のトランジェントがよい。音が弾けてる。ウキウキする。

終楽章は最初からティンパニの強打に驚く。この芯の硬い音は何だ。
序奏が済むといったん落ち着く。
ことさら速いわけではない。
しかしそこに漂う集中力は異様。
2分過ぎからやはりティンパニが突出してくる。
録音バランスがおかしいわけではない。ティンパニが異常。
いや、大太鼓、シンバルみな狂っている。
民謡はいらないとばかりに直線的直截的。
少し上を向き顎を突き出し、髪を振り殺気立つムーティ。
これは恐ろしいことが起きそうだ。やはり起きる。
8:55の銅鑼を合図にオケが血も噴き出す形相で一斉掃射。
ティンパニは最後崩壊するのではないかと思った。快感!!

9:53  6:43  5:08  10:28   計 32:12
演奏  S   録音 89点

チャイコフスキー 交響曲第2番 カラヤン(79)

2013.02.26 (Tue)
カラヤンチャイコ2
カラヤン/ベルリンフィル(79、DG)はこのコンビの正しい再現。
カラヤンがこの曲にどの程度共感していたか知る由もない。
79年の1月と2月でチャイコの前半3交響曲を一気に録音して全集を完成させた。
実演では取り上げてないはずだ。
しかしながらこのコンビがやるとかくも豪華で立派な交響曲になるのだ。

録音はベルリンのフィルハーモニー でアナログ最終期のセッション録音。
この会場はデジタル時代に入って拡散肥大化した音響になったことがあるが
これはそうではないまっとうで良い。

第1楽章冒頭のジャーンからして立派な響きはベルリンフィルだ。
安定した音楽が綴られる。

第2楽章も折り目正しい行進。テンポはゆっくりで保有盤最長。
四角四面の動きがユーモラスだ。

第3楽章はザくっとしたベルリンの弦を堪能。
アクセントをきっちり付けたドイツ的と言えばいえる。
テンポは恣意的な動きがほとんどない。

終楽章はこれまでの楽譜をしっかり音にしましたという以上に熱気がある。
テンポが速い。
屈託なくこの超優秀マシンを唸らせる。
安定感ある分厚い弦に、豪壮なブラスが乗っかる。
終結に至る熱狂的なフィナーレも猛烈な勢いなのだが間然とすることなく
やっつけてしまうあたりが憎らしい。
もはや「小ロシア」とは言えない音響だ。

11:00  8:01  5:42  10:09   計 34:52
演奏  A   録音 90点

チャイコフスキー 交響曲第2番 ロストロポーヴィッチ(76)

2012.01.12 (Thu)
ロストロチャイ2
ロストロポーヴィッチ/ロンドンフィル(76,EMI)は真面目な演奏。
望郷の念を感じさせる熱い演奏、という評もあろうが、
私には正直そのようには感じられなかった。
悪い演奏ではないが、西側に出て指揮者として評価を得てきたロストロが、
失敗を許されない本場ものでやや安全運転をしてしまった、
と感じるのは穿った見方か?

録音はキングスウェイホールでアナログ最終段階ながら
相変わらず高域鼻詰まりで深みのない薄い音のEMIが健在。
ストレートで聴いているとハイがキンキンしたので音質調整をした。

第1楽章は真面目にシンフォニックにことを進める。
テンポの揺れは少ないが、力感もある演奏だ。
第2楽章はティンパニの行進の図太い音が印象的。このかわいらしい楽章を堂々とやる。
ちょっと真面目すぎるかな。
第3楽章もやや腰が重い。
終楽章も正攻法。あおるようなテンポの激変もない。ワクワクするリズムもない。
やや鈍重。ティンパニが泥んこ気味でもったいない。
しかし、突如終結でうねるような強弱をつけて爆発的に終わるのはびっくり。
だったらもっと早くやって欲しかった。
全体として悪い演奏ではなく、録音がよければ評価は1ノッチ上昇していたはず。


11:20  7:41  5:09  10:40   計 34:50
演奏  A-   録音 85点

チャイコフスキー 交響曲第2番 ショルティ(56)

2011.09.30 (Fri)
ショルティチャイコ2
ショルティ/パリ音楽院管弦楽団(56、DECCA)は44歳の指揮者の無茶なドライブが聴ける。
同時期に5番も録音されているが、どうしてこのコンビで2番も録音されたのだろう?
このときの録音については、プロデューサーのカルショウの述懐本の中で、
ショルティが挑むようにオケに当たり、へそを曲げたオケの主席メンバーが
サボっていなくなったりしていたことが記されている。
確かに演奏を聴いていてもどう見てもマジャールとラテンはそりが合わないと思う。

録音はパリのラ・メゾン・ド・ラ・ミュテュアリテで響きは多くなく直接音が入っている。
ステレオ最初期のためヒスはあるが音は鮮明。切れ味の鋭い音。

第1楽章はいきなり縦割りの強い音。強奏によりフランスの管はヘシャゲている。
音楽は紋きり型で、鶏が絞められたときの断末魔的叫びが・・・。
これはこの楽章以下でも続く。
第2・3楽章も民謡の長閑さはまるでない。
終楽章は軍隊行進。
トランペットがいかにもラッパという懐かしい響き。
洗練はないが土着でもなく、パリの喧騒の中の軍隊。

指揮者とオケの対峙の記録として面白い。
今やこんな逸話はなくなってしまった。
なお、LPジャケットには「小ロシア」と副題があるが、ウクライナ国に対する
蔑称的色合いがあるとのことで近時は「ウクライナ」と記載することが多くなっている。


10:42  6:17  4:05  9:45   計 30:49
演奏  軍   録音 84点

チャイコフスキー 交響曲第2番 フランツ(90年代)

2011.09.26 (Mon)
フランツチャイコ
フランツ/フィルハーモニー・デア・ナツィオーネン(90年代・membran)は
クアドロマニアシリーズの一つ。オケはバーンスタイン晩年の夢を引き継いだ
ユストゥス・フランツが、世界各国の若者を集めて1995年に結成したオーケストラで、
どこが本拠地か分からない。彼らのライブがこのシリーズに相当数含まれている。
音楽は全体に良く鳴るが拡散傾向が強い。

録音はライブで響きの多いホールで軽い。
このエコー強さがこのコンビの音楽の印象も軽くする

第1楽章から表情は大味だが豊かな響きで終始。
ライブの一発録りでホルンが心配だったが頑張っている。
第2楽章は豊かな響きも手伝い流線形の音楽。
第3楽章は勢いがあり若い音楽を感じる。
第4楽章は前楽章からの熱気を引き継ぐ。
音楽自体がひたすら繰り返しながら盛り上がるものだから、このコンビの得意分野だ。
ぐんぐん頑張る頑張る。終結はものすごいアップテンポ。
音楽がそれでも軽いのは録音のせいだけか?
ライブらしくド派手な終結。聴衆からブラボーで、しまいにはなにやらドンドンドン。
空虚なお祭りといえばそれまでだがその場にいればそれなりの快感を味わえたはず。

10:55  7:00  5:00  10:57   計 33:52
演奏  空   録音 89点
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