クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Schubert Sym2 の記事一覧

シューベルト 交響曲第2番 マナコルダ(2013)

2016.06.13 (Mon)
manacoda24.jpg
マナコルダ/カンマーアカデミー・ポツダム(2013、SONY)はアグレッシブ。
ピリオド奏法を取り入れ(金管・ティンパニは古楽器)、アクセントを明快にしながら進む。
ある面攻撃的でもある。
リピートを完全履行なので演奏時間は32分と長いが前進性が強い。
よって全曲を一気に聴かせる。基本は尖がった表現で元気がいい。
弾むように進むが、第2楽章で見せる透明な抒情は清冽。
ともかく穏やかなことなかれ演奏と違い、振幅の大きな表現。
録音も相まって、現時点では一番鮮烈な盤ではないか。
穏やかなシューベルトを聴きたい人には向かない。

それにしても、シューベルトの交響曲もインマゼール、ミンコフスキ
そして本盤の登場などで全く新しい地平が切り拓かれた。

アントネッロ・マナコルダ(1970~)はトリノ生まれの指揮者・ヴァイオリニスト。
94年にアバドとともにマーラー室内オケを創設し、8年間コンマスを務めた。
その後指揮の研鑽をつみ2011年このオケの首席指揮者となった。

カンマーアカデミー・ポツダムは、今世紀に設立されたベルリン近郊の
ポツダムを本拠とするモダン楽器室内オーケストラ。
kammerakademie-potsdam-15-16-by-stefan-gloede_webklein-2.jpg
この交響曲第2番ではVn12、Vo5、Vc4、Db3、木・金管各2、Timpの30名が参加。
併録の第4番はもう少し人数が増強されている。
モダンオケだがこの曲ではピリオド奏法を徹底しており、かつ低弦も強いので
筋肉質でザクっとした音が出ている。ティンパニも硬質。

録音はベルリン・フィルハーモニー・室内楽ホールでのセッション。
Philharmonie_und_Kammermusiksaal_Berlin_-_von_oben.jpg
(↑左が室内楽ホール、右が大ホール)
ベルリン室内ホール
(↑大ホールと同様、舞台をとり囲むワインヤード型)
明晰で目の覚めるような音。
パルス音をよくとらえるとともに、綺麗な響きも纏う優秀録音。
これが、横の大ホールの方だったらこうは行かないだろう。

13:16  8:09  2:58  7:31   計 31:54
演奏   烈S   録音 95点

シューベルト 交響曲第2番 サヴァリッシュ(67)

2016.06.12 (Sun)
サヴァリッシュ1234
サヴァリッシュ/シュターツカペレ・ドレスデン(67、PHILIPS)は均衡の美。
このコンビでシューベルトの交響曲全集を一気に録音している。
数ある全集でも地味な存在だった。しかし、内容は予想以上。

なんといってもオケの響きが素晴らしく、
それを端正に整えて引き出すサヴァリッシュのセンスの良さ。
サヴァリッシュ
全般的に特記するよう表現はない。
何もかも真っ当。ならば退屈かというと違う。

柔らかい弦と実にチャーミングな管の絡みが至上の愉悦をもたらす。
メロディはは優しく歌われ、力強いところではしっかり押し出す。
でも絶対にうるさくならない。
第3楽章メヌエットにその対比がよく出ている。
終楽章も力感疾走感は確保。しかも品がある。

録音はドレスデン、聖ルカ教会でのセッション。
聖ルカ教会
当然アナログ録音で今となっては鮮明さはいまいちだが、
響きの美しさは言うまでもない。
ソロでもトゥッティでも誠に適切。マスでも近接でもない絶妙さ。
響きはあるのに、ティンパニや低弦も明快。
フィリップス+ドイツシャルプラッテン連合の勝利。
10:25  8:13  2:53  5:50   計 27:21
演奏   A+    録音  90点

シューベルト 交響曲第2番 マーク(69)

2016.06.11 (Sat)
マーク全集
マーク/フィルハーモニア・フンガリカ(69、VOX)は
身心脱落(しんじんだつらく)。
体も心も全ての束縛・しがらみから解き放たれる。
これは中国の宋の如浄禅師のもとで、
道元が修行した際に得た実感を言い表した言葉。
この演奏はそんなマークの心境を表しているのではないか。

最初聴いた時は何じゃこりゃ?
覇気がなく高みを目指そうとする気力を持っていない。
テンポは緩めでリピートはしない。
ティンパニは弱く時折木管の高域が鳴く。
音楽は重いことはなくむしろ軽くスルスル。

「ただわが身も心もはなちわすれて、仏のいへに なげいれて、
仏のかたより行はれて、これにしたがいゆくとき、
ちからもいれず、こころもついやさずして、生死をはなれ仏となる」。
マーク風景
ちょっと煩悩凡人には理解を超えた世界に行ってしまっているような気がする。

録音場所は不明。Turnabout (Vox)らしく潤いのないもっさりした音。
チープ感のある音。VOXのジャケットもボール紙で作られていた。
ジャケット内の紙の臭いも懐かしい。
Dレンジも狭く地味な音だが、音楽が音楽だけに納得してしまう。

11:16  5:49  3:31  6:05   計 26:41
演奏   脱    録音 85点

シューベルト 交響曲第2番 マゼール(62)

2016.06.10 (Fri)
マゼール23BPO
マゼール/ベルリンフィル(62、DG)は過剰品質なコワモテ。

このコンビは1959~62にかけてシューベルトの交響曲の
第2番から第8番「未完成」までを録音している。
不思議なことに両端の交響曲は録音していない。
第1番と第9番を録音していればステレオ初というか
録音史初のシューベルト交響曲全集完成だったのではないか?
「グレート」のダサイ繰り返しが天才マゼールをイラつかせたのか?
DGにしてみればベームの録音予定があり同時期の重複を避けたのか?
そもそもなぜDGが29歳の鋭利な若武者にこの名門オケを振らせて
一連のシューベルトを録音をさせようと考えたのかは謎。

閑話休題。

この演奏、筋肉質のオケがいちいちアクセントを強く置いて迫る。
当時の指揮者とオケの特色満開だが、シューベルトが聴いたらたまげるはず。

第1楽章の序奏はやたら遅く、なにかをじっと睨むような気配。
そして主題に入るとテンポは急速化。
獲物を狙っていたライオンが突如捕獲に走る・・・・。
いや18歳のシューベルトの音楽はそうではないはず。
なのにマゼールの演奏を聴いているとそんな光景が眼前に広がる。
疾走するベルリンの高弦は美しいのだが、右から聴こえる
低弦のバリバリ音は筋肉の動きにほかならない。

第2楽章も愛らしいテーマが不気味に聴こえる。
特に男むき出しのコントラバスはやりすぎではないか。
うすら笑みを浮かべている。
maaz2.jpg

第3楽章もザクザクと進む。それにしてもやっぱりベルリンの管は巧い。

終楽章はやはりベルリンのずっしりした弦に魅了される。
テンポはインテンポで煽りはなく堂々。
「ぼーくは泣いちっち」の旋律をここまで真顔で図太くやられると笑うしかない。
マゼールは上から目線でこの不敵なユーモアを敢行したのかも。

録音はベルリン・イエスキリスト教会でのセッション。
ステレオ初期らしく左右の分離が明快。
オンマイクで響きは多くないが伸びはあり引き締まった音が当時のマゼールと合致。

10:12  7:30  3:22  5:50    計  26:54
演奏   A   録音 88点

シューベルト 交響曲第2番 メータ(77)

2016.06.09 (Thu)
メータ12348
メータ/イスラエルフィル(77、DECCA)はラテン的大らかさ。
演奏者をラテン系と呼んでいいかはともかくそれを感じさせる。

メータは70年代後半シューベルトの交響曲全集を完成させていた。
当方は知らなかった。
メータと「古典」「シューベルト」が結び付かなかった。
どうしてこの全集が生まれたのだろうか。
zubin_mehta.jpg
それはともかくピリオド奏法のでる前のオールド・ロマンティック。
屈託ない明るさが大編成オケで奏でられる。

第1楽章はモダン楽器による演奏としては珍しく反復を履行するので
13分半かかる。演奏自体は動感がある。
この楽章は弦の無窮的キュルキュルが繰り返されるので合奏精度が試される。
イスラエルの弦は人数が多いこともあり精度はイマイチ。
でもそんなこと気にしてどうする的陽気さがいい。

第2・3楽章も大オーケストラで図太く進む。録音効果もあり低弦もズンズン。

終楽章も小回りのきく演奏ではなく田舎の踊りのよう。
軽やかな舞踏ではなく、ズンドコ型。

録音はイスラエル第二の都市テル・アヴィヴの
フレデリック・R・マン・オーディトリウムでのセッション。
Mann auditorium
この会場はあまり音響効果が良くなかったと見えて、
2011-13にかけて改修しチャールズ・ブロンフマン・オウディトリウムと改名された。
確かに、バーンスタインのCBS,DG録音はイマイチだった。
このDECCA録音も苦労している。音響はデット気味で講堂的響き。
マルチマイクを駆使して音をピックアップして、響きを少し付加しているのではないか。
というのも音が止んだ時の響きが人工的な雰囲気。
アナログ末期の録音だが60年代のメリハリ型を思い出した。

13:31  7:45  3:38  5:27   計 30:21
演奏   A-   録音 88点
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