クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Berwald Sym3 の記事一覧

ベルワルド 交響曲第3番 ロジェストヴェンスキー(77)

2016.05.30 (Mon)
ベルワルドロジェベン
ロジェストヴェンスキー/ストックホルムフィル(77、BIS)は抑制軟体。

ロジェストヴェンスキー(1931~)という指揮者は不思議。
ある時は爆演型の激しい演奏をやるかと思うと一方では骨格のない譜抜けた演奏をする。
1974~77年までこのオケの首席をしていた時のこのライブは後者寄り。
そういえば、このオケと90年代前半に録音したニールセンの交響曲全集も
ふんわり緩い演奏だった。組む相手で変わるのだろうか。
gennady-rozhdestvensky.jpg

第1楽章は遅いテンポで密かに手探るするような音楽。
リズムを丸めて金管などもすべて抑制。溌剌感のない微温的な表現。
ベルワルドをオブラートで包んでしまったようだ。内省的で幻想性を強調している。

第2楽章も優しく撫でていく。

終楽章に来るとようやく生気が出てくる。
しかし、ロジェヴェンならばもっとやれるのではないかという期待は裏切られる。

録音はストックホルム・コンサートホールでのライブ収録。
しっとりと穏やかな音響。ホールの響きは良い。
放送音源であろうか状態はよく支障はない。

9:29  8:52  9:02   計 27:23
演奏   抑B+    録音 88点

ベルワルド 交響曲第3番 マルケヴィッチ(55)

2016.05.21 (Sat)
ベルワルドマルケヴィッチ
マルケヴィッチ/ベルリンフィル(55、DG)は作品の魅力が全開。
メジャーオケと鬼才指揮者がやるとこうなるのか。
「春の祭典」で名演を残したマルケヴィッチはこの曲を得意としたのだ。
実演でも取り上げておりストックホルムフィルとのライブもある。

古典的な潔さの中にロマン派の香りをまき散らす。
曲趣がコロコロ変わるところをストレートに面白く聴かせる。

第1楽章冒の古典的な端正さの中にフレーズ毎の歌、木管の合の手のふるいつき
たくなるような美しさ。フォルテで勇壮な金管。その対比が見事。
提示部の反復はなし。
最後はテンポを落とし癒されかかったところをジャカジャカ終結。

第2楽章は夢見る様なアダージョで開始、軽々しく跳躍するスケルツォ。
このリズム感が良い。

終楽章は雪崩打つようなオケの威力。筋肉質のベルリンフィルが素晴らしい。
リズミックで激しくティンパニが杭を打ち込む場面となんともメロウな優しさが
奇妙な同居。強弱の付け方が絶妙で終結はオケの能力がフルに発揮される。
録音がモノラルなので()つきS。併録の第4番も名演。
{↓LPではこの交響曲は第2番との表記だった)
Franz+Berwald+Symphony+No+2+Symphonie+singul+532770.jpg

録音はベルリン・イエスキリスト教会でのセッション。
レコーディング・プロデューサーにクラウス・フィッシャー=ディスカウ名があるが、
この人はあのデートリッヒのお兄さんにして自身も音楽家。
モノラル期のテープ収録でヒスはあるが、この会場の響きも加担して美しさを垣間見る。
明晰な響きがマルケヴィッチの指揮を盛りたてる。

8:27  8:36  8:17   計 25:20
演奏    (S)    録音  78点

ベルワルド 交響曲第3番 カム(95)

2016.05.20 (Fri)
ベルワルド カム34
カム/ヘルシングボリ交響楽団(95、NAXOS)は素朴系。
いかにもカムらしい。無理や大袈裟なことはしない。
カムは1991年から99年までこのオケの首席だった。
ヘリシングボリ響はこじんまりしておりローカル的非洗練。
カムはもともと美麗を追求するタイプではないので、オケの地の音が出る。
編成は大きくなく弦が中心。全般においてティンパニのやたら硬質な音が印象的。

第1楽章の出だしからケレン味ない。その後の進行も極めて自然体。
作曲されてから60年間演奏されず20世紀になって日の目を見たこの曲の初演は
こんな感じの朴訥感があったのでは?

第2楽章は地味に来たかと思いきやアダージョからアレグロに移る
ティンパニの一撃が痛いほど凄い。心臓に悪し。
その後は何事もなかったようにギャロップする。

第3楽章のテンポは停滞なく活発でいい。
ここは音楽を期せずして面白くさせている。

録音はスウェーデン・ヘルシングボリコンサートホールでのセッション。
helsingborg_07-Helsignborgs-Konserthus_440.jpg
Helsingborg-Concert-Hall_.jpg
これまたそれほど大きくないホールの音をそのまま録音した感じ。
澄んだ空気感。

11:47  9:02  8:11   計 29:00
演奏   A   録音  91点

ベルワルド 交響曲第3番 ビョルリン(76)

2016.05.19 (Thu)
ベルワルド ビョルリン
ビョルリン/ロイヤルフィル(76、EMI)は祖国愛。
スウェーデンの指揮者のウルフ・ビョルリン(1933~93)は作曲家でもあったが
60歳で白血病で亡くなっている。
ビョルリン
余談ながら6人の子宝に恵まれ5番目の子は米国で活躍する女優↓
88_05.jpg

この一連の録音が初のベルワルド交響曲全集だったのではないだろうか?
それだけでも価値があるが、
演奏も今聴いても母国の先輩作曲家を慈しんでいるのがわかる優れたもの。
同じオケを振ったボルトン盤に比べるとこちらはずっとひんやり。

第1楽章の主題の弦の歌わせ方も丁寧で抑揚がある。
一方活気づくところではRPOのブラス陣がバリッと入る。
ほんのり粗さもあるがこれも北欧っぽいともとれる。

第2楽章のアダージョは非常にロマンティック。
丹念に音を置いていく。チェリビダッケ同様の遅さだ。
軽いスケルッツオを終えるとまたもやスーーッと冷気が流れ込む。

終楽章は遅さはなく活気ある進行が心地よい。

録音はアビーロード第1スタジオでのセッション。
アビーロード1
LPでの印象はもっとまるい音だったが、CDではクリーンだ。
響きがやや硬く平板になるのはこのスタジオの特徴だが、
このくらいの編成の曲ではあまり目立たない。
ただ、同じロイヤルフィルでもボルトン盤(C.T.S.スタジオ)とはまるで違う音。
これはマイクセッティングやミキシングの影響が大きいと思う。
なお、モニター聴取ではハイが強く感じられたので少し落とし、
低域に量感を持たせたら奥行きも出て改善した。

11:13   10:21   8:22   計 29:56
演奏   A   録音 87点

ベルワルド 交響曲第3番 ボルトン(94)

2016.05.18 (Wed)
RPOボルトン
ボルトン/ロイヤルフィル(94、RPO)はどすこいゴージャス系。

この時期、「RPOコレクション」として、このオケは古今の名曲を入れまくった。
優秀な録音、一流オケの豪快な音で、廉価盤の世界を席巻(!?)した。
その中にはP・ヤルヴィの「新世界」などの超名演やシモノフの爆演も。
ただ、選曲は基本的に誰でもが知る曲だった。
そうした中に突如として「ベルワルド」が入っているのを発見した時は驚いた。
一体プロデューサーは何を思ったのだろうか?
彼の中では「風変わりな」交響曲は古今の名曲の一角をなすものとして
捉えられていたのか。素晴らしい!!

さてこの曲をやるにあたってRPOは編成を刻んだりケチなことはせず
フル人数でやったようだ。とにかく分厚い。
その分リズムの軽さはなくひたすら重厚。

指揮者アイヴァー・ボルトン(1958~)はイギリス生まれ。
ケンブリッジ大学クレア・カレッジ、王立音楽大学で学びオックスフォード・
スコラ・カントルムの指揮者としてデビューとある。
バロック分野を出発点にしている様子。
ただ、この演奏を聴いているとピリオド・スタイルとは真逆のような気がする。
ボルトン

第1楽章は12分かかる。ただ同じ遅い系でもモンゴメリー盤の緩さと違い
こちらは響きに凄味がある。
ティンパニや低弦、ブラスがやはりRPO、強いのだ。

第2楽章も濃厚なロマンが漂う。
アダージョは相変わらず分厚い響きが横溢し、スケルツォも軽々しくない。

終楽章もこれまで通り。一層このオケの輝かしさが前面にでる。
作曲年代を考えず、豪快な音が響き渡る。
テンポは悠然として9分かける。
圧倒的な力で押し切る珍しい演奏。

録音はロンドンのC.T.S.スタジオでのセッション。
cts250.jpg
映画音楽の収録などでも使われる。EMIのアビーロードなどと違って、
同じ「スタジオ」系録音でもこちらは伸びや自然な空気感があって素晴らしい。
この曲にふさわしいかどうかは別としてどっしり豊かな低域から
綺麗な高域までバランスがいい。
SACD盤も保有しているより量感を増した気がする。

12:05  9:33  9:03   計 30:41
演奏    A    録音  93点
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