クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

レスピーギ の記事一覧

レスピーギ ローマの祭 マータ(93)

2016.03.14 (Mon)
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マータ/ダラス交響楽団(1993、DORIAN)はふくよか。
広大な音場の中で豊かに鳴る。演奏は落ち着いた丁寧さをもつ。
狂ったようなお祭り騒ぎを期待するとはぐらかされる。

エドゥアルド・マータ(1942~95)は52歳にして飛行機事故で亡くなってしまったが
同年生まれの同郷メキシコの指揮者バティスとはかなり違った音楽づくり。
それは『ダラス交響楽団~マータ・イヤーズ(6枚組)』を聴くとよくわかる。
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ラテン系指揮者というと「爆演」を期待するがバティスはまだしも
マータは全くそんなことはない。テンポはゆったり目でじっくり各楽器を慣らす。
主観を抑えオケの能力を最大限に発揮させる。踏み込みを求めるより音響を味わう。

第1曲「チルチェンセス」は余裕の音楽。
第2曲「50年祭」も繊細だがゴージャスな響きが充満する。
第3曲「10月祭」は保有盤最長の時間をかける。
べたべたの歌ではなく爽やかだがテンポは極めてゆったり。
第4曲「主顕祭」はこの録音の見せどころ。
ウファーがぶっ飛ぶのではないかと思うほど低域の量が多い。
余裕しゃくしゃくで音響を撒き散らす。この余裕が憎たらしい。
終結もかすかにアッチェレをかけるがそこまで。

録音はテキサス州ダラス、ユージーン・マクダーモット・ホール、
メイヤーソン・シンフォニーセンター。
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DORIANレーベルは高音質録音で知られるが、大スピーカーで鳴らすと
部屋全体が揺れるのではないかと思うほどの響きの量とDレンジ。
ただ、そんな環境が実現できない事情の中では想像をたくましくするしかない。
マス優位だが細部もとられ混濁はない。大太鼓などの空気感が伝わる。

4:38  7:08  8:30  5:33   計 25:49
演奏   A   録音 93点

レスピーギ ローマの祭 ペドロッティ(61)

2015.09.06 (Sun)
ペドロッティ
ペドロッティ/チェコフィル(61、suppraphon)は作曲家直伝。
チェコフィルというとマイルドなオケのイメージがあるがここではバリバリ凶暴。

第1曲「チルチェンセス」はブラスの威力が凄い。
第2曲「50年祭」の弦の歌わせ方など聴いていると本場物の香り。
後半ではまたもや金管が強烈な歌。
第3曲もホルンセクションの素晴らしさホールの素晴らしさを感じる。
ここではぐっとテンポを落としロマンティックなムードが横溢。
終曲「主顕祭」では指揮者のイタリア人気質が爆発。
ピョロピョロ・パンパン鳴りものが大活躍。祭りだ祭りだ!
トスカニーニのひきつる様な表情でなく楽しく混乱している様子が見える。

指揮者アントニオ・ペドロッティ(1901-75)はトレント生まれのイタリア人指揮者。
聖チェチーリア音楽院でレスピーギ(1879-1936)から作曲を師事している。
イタリアを中心に活躍したローカル指揮者のイメージだが、なぜか
「プラハの春」音楽祭の常連だったりチェコとつながりが強い。
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録音はプラハ・芸術家の家でのセッション。
LP時代はローマ三部作を一枚に収めることが難しかったため
「祭」と「泉」が61年に録音され71年に「松」が別の曲と録音された。
この10年の録音の質の差は歴然としていて「祭」はかなり古く聴こえる。
強奏時にテープの限界で濁りが出るのが惜しい。
ただ、会場の音響自体はよくスケール感がある。
なお、テープ編集の後も割りとくっきりついている。
終曲の1:52から2:51までは左チャネルの情報が減る。

4:49  6:52  7:50  5:03   計 24:34
演奏   祭A    録音 85点

レスピーギ ローマの祭 山田一雄(89)

2015.06.23 (Tue)
山田一雄
山田一雄/東京都交響楽団(89,東武レコーディング)は怪物演奏。
上品とは言えない.。だが人生の終局で奔放好き勝手にやる。羨ましい。

山田一雄は1912/大正元年10月19日に東京で生れ1991没した。
この演奏は76歳の時のものだが熱さ、暑さ、圧さは尋常ではない。
演奏を聴く分には面白いことこの上ないが、
隣にいると相当煩わしいのではないか、などと想像させる。
見てくれも指揮ぶりも同世代のカラヤンとは大違い。
しかしこの人の情熱には敬服するしかない。
オケはライブだから時々スリルはあるが、パンチには驚く。

第1曲「チルチェンセス」はじっくりジワジワ。真綿で締めあげるような。
このねちっこさは尋常ではなく5分半と通常より1分長く保有盤最長。
打楽器やブラスも日本のオケとは思えないほど遠慮なく鳴る。

第2曲「50年祭」もねばねばしながら唸る頂点へ。
マゼールを蹴落とす変〇ぶり。

第3曲「10月祭」のホルンは見事な力強さ。その後のリズムは荒々しい。
中間部の歌はまさにド演歌。

終曲「主顕祭」は白眉。最初はテンポを遅めにシンフォニックな響き。
そのうち指揮者の足踏みが頻繁に聞こえてくるように。
中間部の歌の頂点の3:09では一瞬音を止め、指揮者の唸りとともに雪崩。
そして3:35でも再度溜めを思いっきり作る大芝居。
4:07からは急速回転すさましい突進。
アッチェレ+クレッシェンドでホールが震撼。
観客は完全に乗せられウォーーー!!。

録音は第210回都響プロムナードコンサート(サントリーホール)のライブ。
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このホールでこんな風に音が録れるのだと新鮮な驚き。
サウンド・マスタリングは独WEITBLICKが担当。
ヌケよく分離よくそれでいてホールトーン、遠近感も十分。
客席ノイズはあるが気にならない。低域も力がある。

5:29  7:59  7:42  5:13   計 26:23
演奏  奔S   録音 92点

レスピーギ ローマの祭 マゼール(76)

2015.06.22 (Mon)
マゼール
マゼール/クリーヴランド管弦楽団(76、DECCA)は鬼才久々出没。
クリーヴランドに行って暫くおとなしくなったかと思いきや、ここではマゼール節全開。
各種仕掛け満載で、それでいてオケが滅法巧く録音もいいので極楽クラシック。
このころのマゼールにしては没入した演奏。

マゼールはLP期にこの「祭」と「松」を録り、94年ピッツバーグ響と三部作を
入れている。後者はずいぶんとスリムで淡泊になってしまい、
がっかりしたのを思い出す。録音もこちらの方が上だ。

第1曲「チルチェンセス」は咆哮が凄い。クリーヴランドはこんな豪快音を出すのかと吃驚。
低域のバランスが強いためなぎ倒すような迫力。
トランペットの遠近感、トロンボーン・チューバのびりびり音、最後のオルガンでダメを押す。

第2曲「50年祭」は一転丁寧に心象を盛り込む。
微妙な緩急、強弱をを駆使し感情の交錯が描かれる。
単調さと無縁。こうしたマゼールの棒さばきを聴くとやはりこの人は凄いと思う。

第3曲「10月祭」は前半のカンツォーナのような歌のこぶしというか溜めいかにもだ。
マンドリンも単音+トレモロ奏法の組み合わせなど聴いたことがない。

終曲「主顕祭」は巨大おもちゃ箱ひっ繰り返し状態。
バスドラムが実に効果的に場面を区切る。
全般的にリズムがオケのパーツごとにずれるような場面もあるが、
これは下手ウマなのか、乗りに乗ったのでこのままOKしたのか。
終結はアッチェレかけず崩壊寸前の踊り。

録音はメイソニック・オーディトリウムでのセッション。
アナログ末期、神様ケネス・ウィルキンソンによる録音でいまだにこの曲最高峰。
米国のThe Absolute Sound誌による高音質ディスクTOP12の一枚として伝説的。
低域の量感、締まり、ホールトーン、ブラスのキレ、パーカッションの風圧・・・。
鮮明さではこれを上回る録音がデジタル期に登場しているが
総合的な迫力では一番。
但し、この音を最高の状態で再生するためには相当の装置が必要かもしれない。
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4:36  8:05  7:39  5:20   計  25:40
演奏  S   録音 95点

レスピーギ ローマの祭 パッパーノ(07)

2015.06.21 (Sun)
パッパーノ
パッパーノ/サンタ・チェチーリア国立管弦楽団(07、EMI)は本場物。
この言葉を使いたくなる。
極めて雄弁で愉しい。このオケは基本的にオペラピットに入らず、コンサート主体。
それでもやはり歌心はたっぷり。シンフォニックに分厚い響きではなく情景描写が独自。
イタリアの大先輩トスカニーニのような強烈な迫力はないがこちら遥かにイタリア。

第1曲「チルチェンセス」の冒頭のトランペットからしてヴィヴラートがオペラ的。
そうやって聴くとその後のメロディも歌つきでも不自然ではないと感じる。

第2曲「50年祭」も速めのテンポだがしっかり表情付けを行っている。

第3曲「10月祭」の歌も力むことなく爽やかに歌いきる。
後半のセレナーデも雰囲気たっぷり。
マンドリンもオンマイクではなく街角から自然に聞こえてくる。

終曲「主顕祭」も和やかなお祭り。場面転換はこれまた舞台を見ているよう。
最後はズンドコズンドコ。アッチェレランドをかけて興奮を誘うことなく
楽しい雰囲気を持続したまま終結。

録音はローマのL'Auditorium Parco della Musicaでのコンサートと
セッション録りとの記載。この会場の外形はユニークな建物。
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内部は写真を見ると客席がステージを囲む構造。
LAuditorium Parco della Musica内
音の拡散が起こりやすいので、布や反射板、マイクセッティングで
調整することもあろうが、ライブだとなかなか大変。
分解能は高くないが大きな枠組みしっかり音を捉える。
打楽器の輪郭が甘いのはEMIならでは。

4:33  6:32  7:57  5:24   計 24:26
演奏  A   録音 90点
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