クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シェエラザード の記事一覧

R=コルサコフ シェエラザード メータ(74)

2015.09.11 (Fri)
メータロスフィル
メータ/ロスアンジェルスフィル(74、DECCA)は爽やかグラマラス。
メータの体質にあっているのか綺麗に歌いながら濃密。
87年の再録音より演奏、録音ともに上回る。
やはり人には勢いのある時期というものがあるものだ。
(↓録音時1974年のメータ)
1974Mehta_2015090923501808d.jpg

第1楽章冒頭の主題がやたら分厚いのは
チューバの神様ロジャー・ボボがいるから。
その後はしっかり丁寧に歌う。
第2楽章もワンフレーズワンフレーズを大切にしている。
メータが入れ込んでいるのがわかる。
第3楽章はチェリを上回る12分超え。
ヴァイオリンソロの場面など清潔な美しさ。
テンポは一様ではなくたっぷりした間、流麗な進行など絶妙だ。
終楽章はメリハリが効く。弦のアタック、金管のキレ。小気味良い躍動。
全体の線は細身ながら解像度の高い録音に助けられ聴かせる。

録音はカリフォルニア大学、ロイス・ ホールでのセッション。
響きの量は少なく乾いた空気を感じさせる音。ただデット感はない。
伸びが良く混濁なく、打楽器の粒立ち、金管のバリバリ感など良く拾う。
マス的というよりDECCAらしいマルチマイクをうまく使っている。

10:21  11:38  12:04  12:02   計 46:05
演奏  A+   録音 92点

R=コルサコフ シェエラザード バティス(92)

2015.09.10 (Thu)
シェエラザードバティス
バティス/フィルハーモニア管弦楽団(92、NAXOS)は爆演ではなく雑。
まあ、重箱の隅をつつく様な聴き方でなく、気楽にねとバティスは言いそう。
そうはいっても前のめりな指揮とそう急かさなくてもいいでしょというオケの綱引きが
あちこちで聴こえる。また、全体の表情は淡白なのだが、録音が量感たっぷりで
ロマンティック風と来ているのでこれまたちぐはぐ。

第1楽章でシェエラザードの主題が弦で何回となく出てくるが歌がしっくりしない。
第2楽章も管のソロの後の弦楽合奏など揃っていない。
この人の指揮は見たことがないが合わせにくいのだろうか?
思えばこのコンビの録音は少ない(ロンドンの場合はロイヤルフィルが多かった)。
第3楽章もこれまでと同様、良く聴くとハラハラ。
7:20でシンバルをど派手に鳴らすところはバティスらしい心遣い。
終曲は本領発揮。快速でパーカッション群がバシンバシン叩かれ、ブラスが吼える。
やっぱりアンサンブルはラフだが、そんなことはどうでもよい。
難破する瀬戸際に不揃いだとか言っている暇はないのだ。
それにしても6分半からのアッチェレランドは恐るべきではっきり崩壊している。
セッションでこうした場面が残されるのは珍しい。

録音はロンドンの聖パルナパス教会でのセッション。
メジャーレーベルでの利用はあまり聞いたことのないところ。
ロンドン中心部から少し行ったところの教会。
St_Barnabas_church.jpg
残響が多くそれがこの演奏に雰囲気を与えている。
響きが多すぎて混濁するところまでは行かない。
基本はマス的な捉え方でたっぷり感あり。この時期のナクソスでは優秀な録音。

9:13  11:09  9:52  11:19   計 41:33
演奏   乱A-    録音 92点

R=コルサコフ シェエラザード バレンボイム(93)

2015.09.05 (Sat)
シェラザードバレンボイム
バレンボイム/シカゴ交響楽団(93、ERATO)は機械美。
テンポは遅い部類だが、濃厚ではなくむしろ淡白。
シカゴ響のヴィルトゥジオを見せ付けるようなことはしない。

第1楽章から第3楽章まで坦々と丁寧に進む。
それぞれのパーツが非常によく聴こえるが艶や色気は乏しい。
メカニカルな、時計仕掛けのオーケストラのような。
だがこれはこれはこれで美しいし面白い。
終楽章なども遅く慌てず騒がずだが、じりじり迫る音響は流石。

バレンボイムはショルティの後を継いで1991から2005までこのオケの音楽監督に就いた。
しかし、在任期間中の録音は多数あるがあまり話題に上ることがなかったように思う。
録音がDGからエラートに移り、ジャケットが単なる指揮者の顔写真というような
無機的なCD作りも要因かもしれない。
(同曲の異なる表紙のCD これでは・・・)
バレンボイムシェラザード3

録音はシカゴ・オーケストラ・ホールのシンフォニーセンターでのライヴか?
(その記載はないがそのような雰囲気)
エラートらしい細身の音だが、Dレンジは広く伸びも良い。ホールトーンも適切。
ストレートな音質だがこのような曲の場合もっと量感があった方が聴き映えはする。

10:33  12:58  11:05  12:52   計 47:28
演奏   機A    録音 93点

R=コルサコフ シェエラザード ヤルヴィ(86)

2015.08.21 (Fri)
Nヤルヴィ
N.ヤルヴィ/スコティイシュ・ナショナル管弦楽団(86、CHANDOS)は
シャンドス版オーマンディ。癖がなくひたすら華麗に仕上げていく。
それがシャンドス・サウンドと相まってこの曲では絶大な効果。
ややムード音楽のようでもあるがこの曲ではこれもありだろう。
ヴァイオリン・ソロ(パリング)など浮遊空間に射し込む光のように神々しい。
これは録音芸術でもある。

演奏は全く誇張がなくひたすらスコアをストレートに再現。いかにも職人らしい。
テンポは中庸だが、機械的な音楽ではなく息遣いを感じさせる。
終曲も壮麗に盛り上げ追い込みのスピードコントロールも素晴らしい。
(↓この父ネーメにして、子パーヴォあり。二人とも好きだ。)
ヤルヴィ

録音はグラスゴーのSNOセンターでのセッション。
どこまでが残響付加でどこまでがホールトーンか分からないが
ラルフ・カズンズ好みのたっぷり響き。そのため夢見心地のように美しい。
やや現実感のないサウンド。好みは分かれる。
鮮度は高くブルー系だが、やや遠景に広がるトーン。
打楽器は少し奥まっていてマスで捉えられる。
ドスの効く低域ではないが量感ほどほどにある。

10:18  12:12  10:53  12:06   計 45:29
演奏  響A     録音 92点

R=コルサコフ シェエラザード ドラティ(37)

2015.08.20 (Thu)
Dorati-Antal-05.jpg
ドラティ/ロンドン・フィル(37、RCA)は現代的。
再生時間は保有盤で唯一40分を切る。
SPということでなるべく速めの演奏を心がけたのかもしれない。
しかし、ドラティの芸術自体がそもそもそういうものだ。
筋肉質でストレート、明解な音楽。

シェエラザードの録音の歴史は古く、なんと100年前の1916年アンセルメ盤が
最初とのこと。ラッパに向かって吹きこむ機械式録音時代だ。
1925年電気式録音が開発されて、この曲の録音も増えた。
技術が進歩するにつれ盛んに録音されてきたのは、分かりやすい主題、物語性、
華やかな音響などでオーケストラ・ピースとしての威力を発揮できるから。
しかし、より多様な刺激に溢れる今となってはレトロ色を感じさせる曲という
位置づけになってきたように感じる。近時の録音・演奏回数は往時の勢いはない。

そうした中このドラティ盤はこの時期に既に極めて現代的センス。
率直な展開をしながらも抒情も込める。
録音こそ古いもののきりりと引き締まった造型は流石。
更に第3楽章はヴァイオリンソロのあとのダラダラ部分(失礼)をばっさりカット。
終楽章の無骨ともいえる盛り上がりも確保。

録音の詳細は不明なセッション収録。SP時代の典型でデットな音響。
針音は混じるが、オケの音は潰れることなく明確に収録。慣れれば聴ける。

9:16  10:28  8:19  11:32   計 39:35
演奏  直    録音   70点
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