クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Bruckner Sym3 の記事一覧

ブルックナー 交響曲第3番 シャイー(85)

2012.04.15 (Sun)
シャイーブル3
シャイー/ベルリン放送交響楽団(85、DECCA)は7番に次ぐ全集第2弾。
音が立ちはっきりした音楽を作る。
ノヴァーク版第3稿を使い55分台で演奏を締める。
悪くはない、がもう少し雰囲気が欲しいとも。

録音はイエス・キリスト教会でデッカらしい量感+細部どりであるが、
金管は時に先鋭に届く。

第1楽章はアクセントが明確でフレーズごとの音の輪郭もくっきり。
金管がかなり先導する。テンポはインテンポ基調でもたれない。
オケはドイツ風ではあるが深い表現よりフレッシュな若い感じのする音楽。
後年のアムステルダムのしっとり感は薄い。
3番は演奏者により雰囲気がかなり変わるが、これは初期の交響曲との位置づけで
疾風怒濤感がある。力感たっぷりに盛り上がりを見せる。
第2楽章ももたれない。ゆったりアダージョに浸りたいという向きには
やや速めに感じるのは、休止が短いからか。
相変わらず明確な弾きっぷりで、弦は引き締まった筋肉質だが
録音が良いので低弦から量感もある。
終結はテンポを落として壮大に歌を盛り上げる。
第3楽章はシャキシャキした音楽。リズムはやや四角四面で無骨な感じ。
終楽章も前楽章の流れを引き継ぎ力感を以って前進。
ワンフレーズごとに区切り。迫力はあるが、贅沢なことを言えば一本調子。

第3稿
20:41  15:50  7:02  12:19   計 55:52
演奏  A-   録音 91点

ブルックナー 交響曲第3番 ノリントン(95)

2012.03.10 (Sat)
ノリントンブル3
ノリントン/ロンドンクラシカルプレイヤーズ(95、Virgin)は
初稿+古楽器奏法(+対抗配置)+圧倒的スピードでこの曲の既成概念に挑戦したもの。
突き抜けちゃったブルックナー。

全曲が57分台で、同じ初稿のインバル65分、ティントナー77分と比べて圧倒に速い。
ノリントンはシュトットゥガルトでこの曲を再録音しており、愛好しているようだが、
演奏時間はここまで速くない。
私も最初聴いたときに許容の範囲を超えて途中で投げ出したのを覚えている。
心構えができた今ではそのようなことはない。
透明感のある古雅な響きをブルックナーに持ち込んだ面白さはあるが、
実験的な要素は強い。しかし強烈な印象を残すのも事実。

録音はアビーロードスタジオNo1。大編成オケではやや小さいと感じるこの場所だが、
本録音では問題ない。ただ、最強音でVirgin:EMI録音陣の限界が出る。

第1楽章冒頭から何かにつき動かされるような前のめりなテンポ。
746小節と最終稿の651小節を大幅に上回る初稿のもたれ感を払拭しようという
狙いかもしれない。おかげでこの楽章の演奏時間は通常版より短い18分台。
ノンビブラートで小編成の響きもかなり斬新でブルックナーを聴いている
という感じがしない。疾風怒濤のハイドンのよう。
ブルックナーがオルガンの発想から音楽を作ったとするならば
このような切り詰められたものにはならなかったはずだ。
ただ、全部が一本調子という事ではなく、従来版にない風景に来ると
ゆっくりしたテンポで典雅な味わいを醸し出したりする。
特に11:29からの初稿のみに存在するワルキューレからの「眠りの動機」による
モチーフなどの雰囲気はなかなか。小編成を生かした弦の綾の表出は独自だ。
第2楽章の木管を聴いているとヘンデルあたりのブロックフレーテ曲のような錯覚に。
後半に出現するタンホイザー部分は金管が大きく張り出す。
ただ、編成の規模もあり雄大さではほかの盤に負ける。
第3楽章は舞踏的で生き生きとしており面白い。
終楽章は第3稿の1.5倍の小節数であるがさして演奏時間が長くなっていない。
ということは速い。
頻出するブルックナー休止も短く、無駄に彷徨い歩く部分はさっさか。
確かに初稿の最終楽章はほっておくとどこに行くのか分からない状態になるので、
スピーディに乗り切るというのも手である。
ノリントンらしく音楽がどくどく躍動している。
終結はやはりフルオーケストラの壮大な演奏が懐かしい。

1873版
18:48  17:14  6:24  14:57   計 57:23
演奏  挑   録音 89点

ブルックナー 交響曲第3番(第3稿) ヴィルトナー(02)

2012.02.05 (Sun)
ヴィルトナーブル3
ヴィルトナー/ウエストファリア・ニュー・フィル(02、NAXOS)は2枚組で1枚目には
第二稿の1877年版と1876年のアダージョ異稿が収録されている。
2枚目には第三稿の1889年版が収録されている。
本稿は2枚目について。

驚くのは全曲演奏の時間。49分台は保有盤最短。
第二稿では堂々たる演奏をしていたがこではまるで演奏方針が違う。
あたかも通常聴かれている第三稿に新たな視点を提示するするかの如く。

録音はレックリングハウゼン祝祭劇場で極めて適切なセッション録音。

第1楽章はいきなり速い。ただ、一筋縄でいかず早口で喋ったかと思うと
最後はかみしめながら、などということも。
第2楽章もせかせかした印象。
第3楽章は楽想からしてそれほど違和感はない。
終楽章も第1楽章と同じ。一筋縄でいかないが基本速い。
この指揮者の目論見は成功したのだろうか?
なお、ナクソス盤では初稿は含まれていないが、
SonArteレーベルでは全3版を収録した3枚組で出ている。↓
この指揮者は3番を偏愛しているのだろうか?
ヴィルトナー33版


第3稿
17:30  13:25  6:38  12:23   計 49:56
演奏  速   録音 91 点

ブルックナー 交響曲第3番(第2稿) ヴィルトナー(02)

2012.02.04 (Sat)
ヴィルトナーブル3
ヴィルトナー/ウエストファリア・ニュー・フィル(02、NAXOS)は
「版」マニア?には親切なコレクション盤。
2枚組で1枚目には第二稿の1877年版と1876年のアダージョ異稿が収録されている。
2枚目には第三稿の1889年版が収録されている。本稿は1枚目について。

1956年生まれオーストラリア生まれでウィーンフィルのヴァイオリン奏者だった
指揮者の音楽は堂に入っており、1996年に中西ドイツの二つのオケが統合して
できたこの団体も実にしっかりした演奏をしている。金管は強力な音を出す。

録音はレックリングハウゼン祝祭劇場で極めて適切なセッション録音。

第1楽章はスケールが大きい。冒頭から悠然と歩みを進める。
テンポの変化はあるがおおむね大河のような広々とした音楽。
ブルックナー休止もたっぷり。骨太でもある。
版の有無はともかく良い演奏。
第2楽章も自然な演奏。ゆったり始めるが中間部ではテンポが上がる。
音符が詰まるとテンポが速くなる傾向がある。
第3楽章は迫力を伴いながらも細部をおろそかにしていない。
付け加えられた華やかな結部が輝かしい。
終楽章は豪快な力強さを持った音楽を作り上げている。

さて、この盤には第二稿の演奏が終わると1876年に第2楽章だけ
改訂された異稿が収録されている。ヴァンスカ盤で差し替え挿入された版。
比較的淡々と進み全体は18:16なのでヴァンスカより2分近く速い。
13分ころからの弦のリズムに乗せて始まる金管のワーグナーの引用は
やはり強烈な印象だ。この版を聴いてから第2稿、第3稿を聴くと
盛り上がる途中で何かスッとかわされたように感じてしまうほどだ。
この場面は後の稿でやはり残してほしかった。

第2稿
21:19  15:38  7:16  15:16   計 59:29
演奏  A   録音 91点

ブルックナー 交響曲第3番(第2稿、但し、アダージョ1876年版) ヴァンスカ(00)

2012.02.03 (Fri)
ヴァンスカブル3
ヴァンスカ/BBCSCO(2000、Hyperion)はヴァンスカらしい変化球。
使用版がややこしいのだ。
北欧、シベリウス指揮者というイメージのヴァンスカが独墺系レパートリー進出のため
奇をてらったとの見方もできるが、それは演奏を聴けばそうではないことが分かる。

この曲は
①1873年 初稿 ノヴァーク版Ⅲ/1
②1876年 第2楽章のみの異稿
③1877年 第2稿 エーザー版=ノヴァーク版Ⅲ/2
④1889年 第3稿 ノヴァーク版Ⅲ/3
があるが、この盤は第2楽章が②、その他が③という変則演奏。
その意図は作曲者の当初の意図を尊重しながらも①ではさすがに荒削りで長すぎる、
かといって③では「ワーグナー交響曲」の異名を持つこの曲の出自が薄められる。
そこで②を持ってきてしっかり刻印したい、というところではないか。
演奏は第3楽章まで素晴らしい。が最後の最後に不満が残った。

録音はスコットランド・ハディントンのセント・メリーズ教会。
分厚くはないが奥行きと適度な広がりを持つ。

第1楽章は端正ながらしっかり力強い。
第2楽章アダージョはこの演奏の最大のポイント。
21分と保有盤中一番長いがこれは(演奏もゆったりだが)
①が278小節②が251小節③が222小節に対してこの異稿は289小節と
一番長いことに起因する。
聴きどころはなんといっても、後半でワーグナーのタンホイザーの巡礼の合唱の
テーマが奏されるところだろう。初稿にもあった部分だが楽器法を整理したために
より一層明確に浮かびあがるその効果は大きい。
また。音が鎮まった時の儚い美しさもいい。
第3楽章もきっちりした音楽。
終楽章は繊細な表現に気を配るヴァンスカらしさを見せながら進む。
ただ、コーダにかけてのテンポが速く、いろいろ寄り道したあげく
スタコラ状態であっけなく終結、というのはどうして?という気持ちが残る。

20:53  21:03  7:15  13:24   計 62:35
演奏  A   録音 91点
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