クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ストラヴィンスキー火の鳥 の記事一覧

ストラヴィンスキー 火の鳥 セル(61)

2010.01.09 (Sat)
セル火の鳥(←現在入手可能な盤  私の入手した盤→)オーマンディペトルーシュカ
セル/クリーヴランド(61、SONY)はオーマンディのペトルーシュカ狙いで購入したCDに
入っていたもの。何気なく聞いていたが凄い名盤なのでメモに残すことに。
当時CBS系ではコロンビアレコードがバーンスタイン(57)や
ストラヴィンスキー自作自演(60,61)でこの曲を入れていたが、
CBS系のエピックレコードも競って録音を敢行しこの名盤の誕生となった。
おかげでその後のCBSのオーマンディ盤(67)が市場から短期で消える羽目になってしまった。
録音はセヴェランスホールと思われる広い響き。最強音でやや潰れる。
序章は颯爽と入る。しかしすぐに木管や弦から異様な光、艶かしさが発せられているのに気づく。
「火の鳥のダンス」ではセルの唸りが入る。弦と管を明快かつ絶妙な弾む表情をつけて舞う。
「王女のロンド」は濃厚な表情ではないがオケが美しい。
「カスチェイの踊り」の一糸乱れぬ推進力はさすがで緊迫感は相当なもの。
全体の響きは混沌とせずあいまいさがない。
「子守唄」では再び青白い光を放ち壮絶な「フィナーレ」になだれ込む。
ここでも溜めは少なく率直で大胆な音響。
ロマンティックでダイナミックなバーンスタイン盤と一味違う名盤だ。

組曲1919
2:51  0:15  1:18  4:41  4:16  3:28  2:50   計 19:39
演奏  A+   録音 85点

ストラヴィンスキー 火の鳥 デ・プリースト (2000)

2008.03.14 (Fri)
デ・プリースト/オレゴンシンフォニー(2000)は「春の祭典」とのカップリングの1919年版組曲。
録音はジョージフォックス大学のバウマンオーディトリウムというところだが適
度な残響がスケール感を表出し美しい。
「春の祭典」は生々しい近接感が大事だが「火の鳥」は雰囲気が大事だ。
したがってこのCDの録音特性の長所はこちらに出る。
演奏は「イントロダクション」からもたれることなく爽快に各楽器の息遣いも聞かせながら進む。
「凶悪な踊り」もフォルテが炸裂するが標準的なテンポのなか粒立ちのいい音が飛びかう。
しかし、この人の指揮は妙にあおったりすることなく安定的だ。
ゆえに色々な音が聞こえる。
バーンスタインについてニューヨークのアシスタントコンダクターをやっている経験があるが
バーンスタインのいき方とは違う。
「子守唄」も美しいが過度に情にのめりこまない。
「フィナーレ」のスケールは大きい。

組曲1919年版
4:44 5:17 4:46 3:34 3:31 計 21:52
演奏  A 録音 93点


ストラヴィンスキー 火の鳥 ジュリーニ (89)

2008.03.10 (Mon)
ジュリーニ/アムステルダム・コンセルトヘボウは56年フィルハーモニア、70年シカゴに続く
指揮者3回目の録音(1919年版)。よほど好きなのだろう。
このオケ本拠地での録音で残響が多く大変雰囲気に富んでいる。
一言で言えばこの時期のジュリーニの演奏様式である遅いテンポによるメロウ系の演奏。
「イントロダクション」から雰囲気たっぷり。
それは当然「王女たちのロンド」で最高に発揮される。
一方「カスチェイ王の凶暴な踊り」はぜんぜん「凶暴」でない。整然として美しくもある。
「子守唄」は宇宙の深遠に吸い込まれそう。
「フィナーレ」も大人の演奏。一歩一歩かみ締めるように上りつめていく。
かなり特徴のある演奏だ。

組曲1919
3:24  0:17  1:24  6:22  5:07  3:54  3:26  計23:54
演奏  A  録音 91点

ストラヴィンスキー 火の鳥 ジュリーニ (56)

2008.03.05 (Wed)
ジュリーニ/フィルハーモニア(56)はステレオ最初期でキングスウェイホールでの録音(ややヒスはあり)。
この曲はステレオ効果もあがるためか当時の録音人気曲だったようで
アンセルメ、モントゥー、マゼール、バーンスタイン、ドラティなどが競って録れている。
ジュリーニは89年にRCOと再録音しているがまったく違う仕上がりだ。
壮年期のジュリーニは劇的な迫力の演出に富んでいて
この演奏でも静かな部分よりも「カスチェイの凶悪な踊り」の鋭いパルス状の音形が印象的。
とはいえマゼールほど尖がってはいない。
一方、細部への目配りもしっかりで硬軟バランスが良い演奏だ。
フィルハーモニアも好調。

組曲1919
3:27 1:22 5:18 4:41 3:57 3:02  計 21:47
演奏  A-  録音 84点


ストラヴィンスキー 火の鳥 自作自演 (61)

2008.03.05 (Wed)
ストラヴィンスキー/コロンビア交響楽団(61)のコンビは2種類あってこれは全曲版。
ハリウッドのリジョンホールでの録音は今もって鮮明。
オケはロス・フィル主体か?
全体のテンポは組曲盤以上に速い(ex.「イントロダクション」組曲盤2:50→全曲盤2:21)。
穿った見方ながら、作曲者自身1910全曲版の舞台ナシの演奏の難しさを知っており
アップテンポの切り詰めた表現をとっているのではないか。
しかしテンポだけでなく、オンマイクに捉えられる各楽器の生命感はすばらしい。
本当に老齢のストラヴィンスキーが指揮しているのだろうか?
あらためて聴き直して見てすばらしい演奏だと思う。
アンセルメも上回る。
「カスチェイ」もオケのせいもあってか分厚くはないが鮮烈ともいえる表現だ。
丸みを帯びた円熟などという言葉はここでぶっ飛ぶ。
各楽器の動きが明快にわかる録音に助けられ他の演奏では聴こえないようなパート音がする。
自作自演を甘く見ていると驚くことになる。

全曲 44:00
演奏 A+ 録音 86点




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