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クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

モーツァルト 交響曲第1番 ベーム(68)

2020.02.15 (Sat)
bohmモーツァルト
ベーム/ベルリンフィル(68、DG)は柔らかく優しい。

ベーム(1894~1981)は
karl_boehm_conductor.jpg
モーツァルトの交響曲全集の録音を1959から69年にかけてBPOと行った。
当初は後期の有名曲を入れていたが、66年以降初期の曲も録音を行い全集化した。
全46曲の全集はこれが初めてだったのではないか。

「ジュピター」など力の入った名演だがこの第1番は大上段になることなく心地よい。
硬さはない。
第1楽章は冒頭よりレガート気味のやや重い音。編成もたっぷり感がある。
一方優しいフレーズになると心地よいフカフカ。
リピートしないのでマリナーに比べ演奏時間は短いがテンポは落ち着いている。
第2楽章はおっとり遅い。子守歌のようで眠くもなろう。
ベルリンフィルのオーボエの柔らかい歌が心地よい。
終楽章はアクセントもほどほどに流れる。

録音はベルリン・イエスキリスト教会でのセッション。
適度な響きを伴いベルリンフィルの弦が綺麗に取れている。

4:45  4:21  2:16  11:22
演奏   A    録音  89点

モーツァルト 交響曲第1番 マリナー(73)

2020.02.12 (Wed)
マリナー1初期sym
マリナー/アカデミー室内管弦楽団(73,philips)はチャーミング!

マリナー(1924~2016年)のモーツァルトは好きだ。
モダンオケの壮大さもピリオド派の癖もなく、屈託なく明るく溌剌としている。
多分現代人にとって抵抗なく受け入れられる音楽ではないか。
この演奏が気に食わないという人はへそ曲がりではないかと思うほど。
Neville-Marriner-Foto.jpg
モーツァルトが8歳の時に書いた最初の交響曲第1番kv16。
第1楽章、冒頭の走り出しそうなシグナルとそれを受け止めるやさしい持続音。
実にキャッチーで魅力的な導入。チェンバロが通奏低音として参加し愛らしい。
この演奏を聴いているとハッピー感が尽きない。何かが始まる期待感。
この天才の最初の交響曲としてふさわしいではないか。
第2楽章のアンダンテはチェンバロが入ることでヴィヴァルディの「四季」の
冬の冒頭を想起させる。短い音楽だがマリナーは気持ちの高ぶりも表現する。
終楽章は肩ひじ張らず駆けて気づかれないように去っていく。

録音はロンドン、ウエンブリー・タウンホールでのセッション。
Wembley Town Hall, LondonBrent Town Hall tank
アナログ録音だが鮮度とといい響きの綺麗さといい全く不足ない。
当時のフィリップス録音陣のセンスが光る。

6:06  2:47  2:13   計 11:06
演奏  S     録音  93点

ベートーヴェン 序曲集 ガンゼンハウザー(87)

2020.02.07 (Fri)
Stephen Gunzenhauser overtures
ガンゼンハウザー/スロヴァキアフィル(87、NAXOS)は好印象。

ガンゼンハウザー(Stephen Charles Gunzenhauser, 1942~)は
Stephen Gunzenhauser
NY生まれだがモーツアルテウムで学んだ指揮者。
ナクソスが登場してきたころ重用された。
クラシックのエンサイクロペディアを作るという
このレーベルの方針に沿ってまっとうな演奏をする。
当方の印象では細かいことはともかく大掴みだが逞しい音楽を作る。

この盤は序曲集を作るべくまとめて録音された。曲目は
 ①「フィデリオ」序曲
 ②「プロメテウスの創造物」序曲
 ③序曲「コリオラン」
 ④「アテネの廃墟」序曲
 ⑤「エグモント」序曲
 ⑥序曲「献堂式」
 ⑦「レオノーレ」序曲第3番
 
どの曲も演奏は中道路線。取り立てて目立つ特徴はない。
しかし好感が持てる。
市井の演奏会で聴くような地味ながら誠実な演奏だからか。
変に刺激するところもないがしっかり強さもある。
なお、収録時間が60分に達しておらずもう少し入れたほうがよい。

録音はスロヴァキア・フィルコンサートホールでのセッション。
Concert Hall Of The Slovak Philharmonic Orchestra
立派な本拠地で響きが素晴らしいが、聴衆を入れていないため
吸音されないまま収録されている。
帯域フラットだが低域が軽くため薄味感もある。
もう少しピラミッド型のほうが深い響きになったはず。

計 59:18
演奏   A   録音  90点

ベートーヴェン 序曲集 アーノンクール(93~96)

2020.02.06 (Thu)
harnoncourt beethoven overtures
アーノンクール/ヨーロッパ室内管弦楽団(93・94・96、TELDEC)は
ガチャっとピリオド。オケはモダン楽器使用だが奏法は古楽的。

アーノンクール(1929~2016)は1990・91年でベートーヴェン交響曲全集を完成させ
この序曲集はその続編。曲目は
 ①序曲《コリオラン》作品62
 ②《プロメテウスの創造物》作品43 序曲
 ③《アテネの廃墟》作品113 序曲
 ④《フィデリオ》序曲作品72b
 ⑤《レオノーレ》序曲第1番作品138
 ⑥《レオノーレ》序曲第2番作品72a
 ⑦《レオノーレ》序曲第3番作品72a
 ⑧《エグモント》作品84 序曲
 ②~⑧はライブ収録。

アーノンクールには個人的に少し苦手意識がある。
それは音が濁ること(ラッパの炸裂音に起因)。
そして不意打ちのような音の隆起と沈降。
綺麗に整えようとするのではなくアグレッシブな表情を作り出すのだが・・・。
80年代に比べれば徐々にこの傾向は沈静化するのだが本盤はその特徴は残る。

テンポは性急なものでない。⑤など相当じっくり。
楽器の重層構造を目立たせる。全般に流麗というより隈取りがくっきり。
ティンパニをはじめとしたアクセントが強固。
ただ、どうも音楽全体を味わうというより個々の音に注意が行ってしまう。

なお、「プロメテウスの創造物」序曲は通常の版に2分ほどの音楽が付加されている。
解説にはその点まったく触れられていないのでよくわからないが
たらたらしていつの間にか消えていく不思議な音楽。
Chamber Orchestra of Europe

録音はウィーン、アテネ、グラーツで。①のみセッション。
よって響きは違う。オケは小さいためスケール感や圧はない。
テルデックらしい音の硬さはある。

計 74:54
演奏  B+    録音  91点

ベートーヴェン 序曲集 レーグナー(83)

2020.02.05 (Wed)
レーグナー序曲集
レーグナー/ベルリン放送交響楽団(83、DS)は颯爽無頼。

伊集院静の著書によれば
『「無頼」とは、単なるアウトサイダーやドロップアウトのことではない。
人としての心の持ち方、生きる姿勢のことをいう。
情報や知識、主義やイズム、他人の意見や周囲の評価……
安易に頼るな、倒れるな、自分の頭と身体でこの世の波乱万丈を突き抜けろ。』
彼の指揮にはそんな風情を感じる。

レーグナー(Heinz Rögner、1929~2001年)は旧東独系の指揮者。
私はこの指揮者のブルックナーを聴いてファンになった。
重厚長大にブルックナーを鳴らしていた時代に颯爽とした指揮ぶりが新鮮だった。
彼は奇抜なことをやろうとしているわけではなく、スコアを虚飾なく再現しているだけ。
ただ彼の心的テンポは速いので大体は通常の演奏時間より短い。
そのあっさり加減も無頼で大人なのだ。

彼は読売日響とはベートーヴェンの交響曲全集を完成させているが、
この手兵とは交響曲ではなく序曲11曲の全集を仕上げている。

当方保有盤の収録曲は
①序曲「コリオラン」作品62
②「エグモント」作品84-序曲
③「アテネの廃墟」作品113-序曲
④劇付随音楽「シュテファン王」序曲 作品117
⑤序曲「命名祝日」作品115
⑥序曲「献堂式」作品124
⑦「レオノーレ」序曲第3番 作品72b
⑧「フィデリオ」序曲 作品72b
⑨バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43-序曲

どの演奏も水準が高い。そしてレーグナーらしい。
テンポは基本的に速めで表現はさっぱり誇張がない。
職人的捌きだ。
きりりと引き締まった音楽の中に自然な緩急とアクセント。
すべてが何気ない。さりげない。

なお「レオノーレ」序曲第3番でトランペットのシグナルのあと
オケが再びなりだすところで乱れるが録り直しせずにやっている。
とにかくこの15分ほどの曲は演奏者にとっては非常な難曲だ。
Rundfunk-Sinfonieorchester_Berlin.jpg
録音はベルリン放送局SRKホールでのセッション。
80年代のドイツ・シャルプラッテンらしい地味系な音。
帯域フラットで誇張はない。響きは一定量ある。

計 72:28
演奏   A    録音  86点
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