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クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シューベルト 交響曲第9番 ブロムシュテット(81)

2018.09.23 (Sun)
ブロムシュテット9lp
ブロムシュテット/ドレスデン・シュターツカペレ(82、DS)は
聖ルカ教会の豊饒を纏う。
このコンビ+この場所の予想通りの音楽。刺激は少ない。
何の変哲もないのだが幸福感に浸る。

第1楽章のホルンから弦に受け渡すこの美音を聴いただけで
85%の人は蕩けるはず。
序奏はゆったりのテンポで木管も含めて美しさを競う。
主部に入ってテンポを上げるも実に丁寧な音楽が続く。
後続楽章も同様。テンポは遅めで天国的な長さを実感する。
第2楽章などふかふかの羽毛にくるまれているようだ。
心地よくて睡魔が襲う。それも音楽の効用だ。
第3楽章のリピートをしていないのはこの演奏では見識。
終楽章もヒステリックでなく安定的な進行。

録音は聖ルカ教会でのアナログ・セッション。
聖ルカ教会2
細部を強調するのでなく全体の溶け合い重視。
一定の距離感がある。金管は刺激が少ない。

14:35  15:46  10:54  12:11   計 53:26
演奏   A 録音  89点

シューベルト 交響曲第9番 セル(57)

2018.09.22 (Sat)
セル957
セル/クリーヴランド管弦楽団(57、SONY)は緊張の中の遊び。

セルの演奏はモニター系ヘッドフォンで聴くようにしている。
彼の微細な仕掛けを愉しみたいから。
この曲でも色々出てくる。
ロマン的な演奏とは言えないが、長さを感じさせない勢いがある。
なお、1970年のEMIの再録音盤は録音にあまりいい印象が無く
13年前のこちらの方がこのコンビの特質が出ているように思う。

第1楽章の全体は中庸のテンポのでまろやか。
しかし特に管の扱いに注意するとその浮沈にセルの意志が見える。
9:30のちょっとした溜めはお茶目だし、
終結で付加されたトランペットは華やかさを増す。
ここぞというときの金管はクリーヴランドがアメリカのオケだと再認識。

第2楽章はザッザッとい弦の刻みが鋭角。
これは曖昧さを排除したセルの特徴だ。
アンダンテにしては少し厳しいかもしれない。

第3楽章は圧の強い分厚い弦が爽快。シンフォニックだ。

終楽章は10分半という速いテンポをとる。
ただ楽器が整然と鳴っているので息堰切ったような雑な感じがない。
ここでも強靭な弦をベースに容赦なく金管とティンパニが楔を打ち込む。
特にトランペットの突出と付加はセルの専売。
全体として素晴らしい力感を味わえる。

録音はセヴェランスホールでのセッション。
ステレオ初期とは思えない優秀録音。
ホールをしっかり鳴らし全奏でも歪まない。
SNは時代を感じさせるところがあるが慣れれば気にならない。

13:31  13:37  9:06  10:30   計 46:44
演奏   A+    録音  88点

プロコフィエフ 交響曲第5番 バーンスタイン(79)

2018.09.20 (Thu)
bernstein5israel.jpg
バーンスタイン/イスラエルフィル(79、SONY)は超重量級。
熱い。そして思いが最後に爆発。

バーンスタインはニューヨークフィルの音楽監督就任の最初の定期(1958年)から
この曲を取り上げる愛着の曲。1966年には録音もしているのでこれは再録音。
都会的でクールで淋しげな66年盤に対して
こちらはライブということもいありより熱気がある。

第1楽章は重い。テンポは保有盤最長で音の圧力が強い。
終結は怒涛のように押し寄せ、崩壊する。
この演奏を聴くとバーンスタイン後期の演奏様式に入っていることを認識する。
ただ、この曲にしては少し音が厚すぎないか。不安を通り越して沈痛な音楽。
BERNSTEIN-1979.jpg
第2楽章になると標準的なテンポに。
アンダンテ・アダージョ楽章はより遅く、アレグロは速くというバーンスタインの法則。
第3楽章は暗い雰囲気が貫く。低域の楽器の威力が表れる。
終楽章はこの演奏の白眉。秘めたエナジーが徐々にドスドスと迫る。
最後はあたりを祓う気迫が炸裂。他の演奏を寄せ付けない迫真の音だ。

録音はドイツ博物館コングレスザールでのライブ。
der Kongresssaal des Deutschen Museums
このホールはフルトヴェングラー始め数々の名録音を残した場所だが
1985年にガスタイク・フィルハーモニーが出来てからは使われなくなった。
本録音はイスラエルフィルとの演奏旅行中のものでデジタル録音。
一方DGは同時期に同じコンビでメンデルゾーンの交響曲をライブ録音したが
こちらはアナログ録音。ソニー最初期のデジタル音源となった。
聴衆が入っており響きは多くない。またマイクセッティングの制約もあり
楽器の分離はそこそこ程度。Dレンジは広くないが全体に力感のある音。

15:44  8:25   15:21  10:22   計 49:52
演奏   A+    録音   89点

プロコフィエフ 交響曲第5番 バーンスタイン(66)

2018.09.19 (Wed)
bernstein5nyp.jpg
バーンスタイン/ニューヨークフィル(66、SONY)は共感が沁み渡る。
プロコフィエフの交響曲の中で一番ポピュラーとされているこの曲だが
私には非常に繊細で屈折した音楽に感じられる。
何かバーンスタインの「不安の時代」と似たムードなのだ。
この交響曲の作曲は1944年、「不安の時代」は1948年と
同時代でもある。だからかどうかはわからないが、
この指揮者はこの曲に対して強い情感を示している気がする。

第1楽章は特に募る。この楽章に15分以上かける演奏は30種近い保有盤の
中でこの盤と79年のバーンスタインの再録音盤だけ。
都会に生きる人間の孤独、漠然とした不安、淋しさ、そうした感情が渦巻く。
一見クールなのにその下のマグマが時折顔をのぞかせる。

第2楽章はセルに次ぐスピード。
全体が速いセルと違って前楽章との対比が劇的。焦燥感の表出が凄い。

第3楽章はまたもやテンポを落とし心の影が押し寄せる。
なんという心細さ。弦の各パートが切々と歌う。

終楽章は不思議なアレグロ。
今までの深刻さをわざと嘲るような軽さを見せる。
その明るさが真のものでないことは終結で明確に表明される。
この演奏は(もっと快速でもいいと思うのだが)
能天気感を満載にして解決されない結末を迎える。

79年のイスラエルフィルとの再録音盤も名演だが
軽重対比のメリハリとオケのソロパートの素晴らしさで
私はこちらの盤が忘れられない。
但し、終楽章はライブの白熱が79年盤にある。

(↓1966年のリハーサル中のバーンスタイン)
composer-leonard-bernstein-at-fairfield-hall-during-1966.jpg

録音はフィルハーモニック・ホールでのセッション。
昔の印象ではこのホールの音響はいまいちだったが
近時のリマスターで聴くと不満は無い。
響きは多くないが、聴衆がいないとデットというほどでもない。

15:17  7:57  14:35  10:37   計 48:26
演奏   S    録音  89点

ベートーヴェン 交響曲第4番 バーンスタイン(78)

2018.09.18 (Tue)
bernstein24dg.jpg
バーンスタイン/ウィーンフィル(78、DG)は気合が入る。
ニューヨークとの旧盤に比べ引き締まる。
拡散発散した旧盤に対してこちらはギュッと骨太筋肉質。

これは録音のほかにライブであることも影響している。
聴衆がいることで響きが吸収され、そして緊張感が漲る。

同じオケを振ったベーム盤に比べると美しさではベームだが
力感ではバーンスタインだ。グイッと力瘤が入りアクセントは無骨。

押しは強く大層立派な演奏・・・
なのだが、もう一つもどかしさも感る。
それはウィーンに行ってからの演奏に共通する印象でもある。

録音はムジークフェライン大ホールでのライブ。
客席ノイズは殆ど聞こえないが、聴衆の気配は感じる。
強調のない拡がり感があり、マイク位置も適度な距離感。
むき出しの音でない少しくすんだ音はこのオケのもの。

11:26  10:00  5:56  6:47   計 34:09
演奏   A    録音  90点
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