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クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

シューマン ピアノ五重奏曲 ライナ(p)/アルバーニSQ(76)

2018.11.15 (Thu)
p5アルベルニSQ
ライナ(p)/アルバーニ弦楽四重奏団(76、CRD)は美しい中庸。
本盤はブリリアントのシューマンの室内楽集(7枚組)に入っていた。
シューマン室内楽全集
私にとって皆無名の演奏家だが中身は好ましい。

アルバーニ弦楽四重奏団はロンドンの東30キロにあるハーロウという街を
ベースに1960年代に創設された。
アルバーニSQ
1stVnの英国人ハワード・デイヴィス(1940~2008)が35年間リーダーだった。

一方ピアニストのライナ(1928~)はブタペスト生れのピアニストで
ケープタウンを拠点にしている。
RAJNA_201811110911427d8.jpg
演奏は何か特徴的なことがあるかといわれると特にない。
しかし安心して心を落ちつけて聴ける良さがある。
室内楽はだれか一人スタープレイヤーがいるとどうしても気張ってしまうのだが
ここではそのような気負いはない。
その中で多分一番の年配のライナが主導しているのではないかと思う。
丹念に表情はついていくが極端さはない。全般に清冽。
第2楽章の行進曲のアクセントを目立たせ優しい次のテーマとの対比が素晴らしい。
終曲も淀みない流れが良い。

録音はロンドンのロスリン・ヒル教会でのセッション。
rosslyn hill chapelInterior-landscape-Oct16CC-003-
アナログ録音だが適度な空間で弦やピアノのバランスも良く清々しい。

8:57  8:20  4:50  6:51   計 28:58
演奏   A    録音  90点

シューマン ピアノ五重奏曲 パネンカ(p)/スメタナSQ(86)

2018.11.14 (Wed)
P5スメタナSQ
パネンカ(p)/スメタナ弦楽四重奏団(86、DENON)は渋みを感じる。
柔らかい陽光はあるが、決して無邪気な明るさではない。
sumtana.jpg

パネンカ(1922~99)のピアノは慎ましく出しゃばらない。
彼はこの録音の前、指の故障から暫く演奏から遠ざかっていたとのこと。
それが治り復帰第一弾が本盤。
だからかどうかわからないが、パーンと弾けるような輝かしさではなく
もっと温かいピアノになっている。
panenka.jpg
従ってスメタナの弦の比重が高い。
88年にこの四重奏団は長年の活動に終止符を打つ。
以前は先鋭さ(録音のせい?)もあったがここでは落ち着いた演奏。
肩に力が入っていないほっとさせる木質の音色。

演奏はともかく自然体で室内楽の王道のような協調の調べだ。
青春の溌剌とした喜びより、大人の落ち着きを感じる。

録音はプラハ、芸術家の家、ドヴォルザークホールでのセッション。
Praha_Rudolfinum_Interior_2003.jpg
チェコフィルの本拠地の広いホールだが、
室内楽用に近接感あるマイクで拾い、残響も少なめにしている。
各楽器の音は鮮明に聴こえるが刺々しさは無い。

8:54  8:39  4:49  7:09   計 29:31
演奏   A    録音  92点

シューマン ピアノ五重奏曲 レーゼル(P)/ゲヴァントハウスSQ(83)

2018.11.13 (Tue)
P5ゲヴァントハウス
レーゼル(p)/ゲヴァントハウス弦楽四重奏団(83、DS)は爽やかな規範。

”これほど清新で端正、堅固な造形でまとめられたシューマンは、
滅多に聴くことができないでしょう”との帯の言葉は信じて良い。
言い尽くしている。

ともすればシューマンの暗黒の側面や破綻性格に目を向けがちに
なってしまうが、この音楽の楽しさを率直に表した演奏は実に気持ちが良い。
斜めから裏読みする必要が無い安心感。

テンポは全楽章速めで流麗。
ピアノと四重奏団のバランスが絶妙なのは気心知れた仲間だから。
特にレーゼルのピアノの控えめな綺麗さは特筆。
ロマン的な膨らみは乏しいかもしれないが
この清らかさは捨てたくないのでこれでいい。
清冽な流れ
録音はドレスデンのルカ教会でのセッション。
ドイツ・シャルプラッテンのお得意の場所で悪かろうはずはない。

8:30  8:18  4:34  6:49   計 28:11
演奏   S   録音  92点

シューマン ピアノ五重奏曲 バーンスタイン(p)/ジュリアードSQ(64)

2018.11.12 (Mon)
p5bernstein.jpg
バーンスタイン(p)/ジュリアード弦楽四重奏団(64、SONY)は
隈取りくっきりシンフォニック。

この演奏は私に室内楽の面白さを教えてくれた盤かもしれない。
若い時は壮大な交響曲など音圧で刺激を求める。
室内楽はその点渋く物足りない。
しかしこの演奏は物語的で明快でそして迫力もあった。
室内楽でもこのような楽しい曲があるのだ、と思ったものだ。

演奏は左右にはっきり分かれた弦の真ん中にピアノが定位し、
バーンスタインが指揮している風。
テンポや表情の変化はピアノがリードし実に多彩。
bernsteinpiano.jpg
第1楽章は弦の対立をピアノが中和するように歌いまくる。
そうすると弦もつられる。流れは一様でなく揺れる。
そのため演奏時間は保有盤最長。
第2楽章も濃厚だ。しかしそれはバリリのそれとは違い明確。
第3楽章はピアノが強引なまでに引っ張り弦が一生懸命食らいつく。
その点では決して美しい音ではないが劇的だ。
終楽章はバーンスタインの「ライン」旧盤と似ている。
弦のザクザク刻みを強調し運動性を見せつける。
いちいち分析的なので演奏時間は長い。
終盤に向けて音量を増し、最後のフーガの決然とした積み重ねが交響的。

この演奏は古き良き本場の室内楽とは全く違う。
だからジャズっぽくラフで違和感満載ともいえるだろう。しかし、
旧来に拘らず自分の思う音楽を実践しているという意味で革新的だ。

録音はN.Y.30番街スタジオでのセッション。
響きは殆どなく直接的。よって美しく伸びる音ではない。
かつマイクがセッティングが独特で
ホールではこのようには聞こえない左右の分離。
敢えて室内楽的まとまりよりも交響曲のような拡がりを求めたよう。

9:14  8:39  4:26  7:21   計 29:40
演奏   革S    録音  85点

シューマン ピアノ五重奏曲 デムズ(p)/バリリSQ(56)

2018.11.11 (Sun)
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デムズ(p)/バリリ弦楽四重奏団(56、Westminster)はほの暗く甘い香り。
このように歌うことを許された最後の時代の記録。

この盤は古くから名盤とされてきた。
主催のワルター・バリリ(1921~)は録音時30代半ばで、
この四重奏団は決して老成していたのではない。
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しかしいまの弦楽四重奏団からは聴けない懐かしい音がする。
モノラル録音ということもあり、艶消しの音も要因だろう。
しかし何より皆がロマンティックなのだ。

ピアノのデムズ(1928~)は今年90歳、なお活動を続けているが、
その彼も当時28歳と若かった。
demus2.jpg demus3.jpg
自己主張の強くない彼の資質は室内楽で花開いた。
ここでも四重奏団との溶け合いが見事。

白眉は保有盤最長の第2楽章。
暗い葬送行進曲で始まりながら
儚い夢を掬い取ろうとする切ない歌が哀しい。
セピアの時代にタイムトリップ出来る。
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録音はウィーン、コンツェルトハウスのモーツァルトザールでのセッション。
このハウスは大ホール(1865席)、モーツァルトザール(704席)、
シューベルトザール(320席)、ベリオザール(400席)があるが
本録音は2番目の大きさのホールで。
mozartsaal.jpg
多分実際にコンサートで聴くともう少し残響成分があると思うが、
ここではモノラル特有のデット気味の音。
ウェストミンスターの音は煌びやかさが少ない渋いものが多い。

6:37  9:25  4:53  6:56   計 27:51
演奏   懐    録音  78点
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