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クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ライネッケ フルート協奏曲 ガロア (2004)

2021.05.07 (Fri)
reineckepatrick gallois
ガロワ(Fl&指揮)/スウェーデン室内管弦楽団(2004、NAXOS)は
穏やかで慎ましい。

本盤の帯には
『長命・多作・保守的作風の三つを併せ持つ作曲家に対する評価はどうも
芳しくなくなりがちです。ライネッケはそんな風潮の最大の犠牲者の一人で、
しばしの間、聴く者の心を健全な幸福感で満たしてくれる、均整の取れた
音楽の美しさはもっと評価されてしかるべきでしょう。』

と記載がある。
なるほど、巧いこと言うなあ、と感心させられた。
この曲は私が聴いた数少ないライネッケ体験の中では最上の曲。
技巧を誇示するのではなく美しさと楽しさがある。

ガロワ(Patrick Gallois, 1956~)は、
gallois_patrick.jpg
フランスのフルート奏者、指揮者でここでも吹き振りをしている。
ランパル門下生で1997~84年までフランス国立管の首席だったが
その後はソリストとして活躍している。

第1楽章はゆっくりで流麗というよりも素朴な風合いを残す。
それはその後の楽章でも同じ。小規模なオケとも相まって
スケールは大きくないが、丁寧な演奏。
終結はガロアの妙技が光る。

録音はスウェーデン、エーレブロー・コンサートホールでのセッション。
エーレブロー(Örebro)はストックホルムの西に位置し第6番目の街。
Orebro.jpg
この室内オケの本拠地。
Örebro Concert Hall
空間は広くなくこじんまりした音。
もう少し音に伸びがあると清らかさが更に出ただろう。

8:12  7:03  6:04  計 21:19
演奏   A    録音  91点

ライネッケ フルート協奏曲 ゴールウェイ (81)

2021.05.05 (Wed)
Carl Reinecke James Galway,
ゴールウェイ(Fl)/岩城宏之/ロンドンフィル(81、RCA)は涼風ヴィルトゥオーソ。

ゴールウェイ(James Galway、1939~)はベルファースト出身のフルート奏者。
カラヤンに認められ1969年ベルリンフィルに入団し首席だったが体質的に合わず
75年に退団しソリストになった。従って本録音は自由な時のもの。

なお、本盤で驚いたのは我が岩城宏之(1932~2006)が振っていること。
iwaki.jpg
ほかにLPOとの録音はあるのだろうか?その意味で貴重だ。

さて演奏だが、ランパルよりも細身で技巧の達者さを見せつける。
トリルはランパルの倍速。
ランパルの温もりに対してこちらはシャキッとした
高域が爽快感をもたらす。オケも明るく支える。
第2楽章もランパルより1分ほど速く重くならない。高域が突き抜ける。
終楽章の切れ味などさすがだ。
高原の新鮮な空気を吸い込むような清涼感がある。
meadow blue

録音はロンドン、セント・ジョンズ・スクエアでのセッション。
St. Johns Smith Square
デジタル録音。やや硬さは残るがさすがに混濁はない。
フルートは目立ちオケを従える感じ。適度な響きを持つ。

7:50  6:31  6:08  計 20:29
演奏   A+   録音  91点

ライネッケ フルート協奏曲 ランパル (67)

2021.05.04 (Tue)
pierre rampal Reinecke 2
ランパル(Fl)/グシュルバウアー/バンベルク交響楽団(67、ERATO)は牧童の一日。

ライネッケ(Carl Reinecke,1824~1910)はドイツの作曲家・ピアニスト・教育者。
Carl Heinrich Carsten Reinecke
ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管の楽長を務めている時にメンデルスゾーン、シューマン、
リスト、ブラームス(レクイエムを初演)などと親交があった。
作曲家としては交響曲から室内楽・オペラまで300以上の作品を残しているが、
その保守性から今ではほとんど取り上げられる機会がない。

彼の「フルート協奏曲op.283」は晩年1908年作だが、
これを初めて聴いて作曲年代を当てられる人はいないのではないか。
それくらいロマン派ど真ん中の作風。しかし、聴き手にとって見れば
作曲年代に関わらずその曲が自分にとって楽しめるかどうかが大事。
その点この曲は美しく爽やかで、埋もれるにはもったいない曲だ。
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第1楽章の第1主題は抒情の風。これに惹きつけられる。
第2主題は憂いを帯びる。ありきたりの展開だが素敵な楽章。
第2楽章は悲嘆の色が出る。
終楽章は古典の世界に舞い戻ったかのようなダンスで明るい。

ランパル(1922~2000)は言うまでもなく20世紀最も偉大なフルート奏者。
pierre rampal
バロックから現代曲までオールマイティ。
この曲をあたかもフランスの曲のように暖かな色彩で包む。
ピンと張った清涼感というよりも穏やかな陽を感じさせる。
冒頭楽章は朝の清々しさとちょっとした憂いの交錯
そして第2楽章次楽章の陰りを終楽章で晴らしてくれる。

オケは軽さを備えフルートを立てる。
この曲の魅力を最初に教えてくれた私的名盤。

録音は場所不明のセッション。
終楽章の最後の全奏ではテープ収録の限界も見えるが
それ以外は飽和感もなく落ち着いて聴ける。

7:30  7:33  6:09  計 21:12
演奏   S    録音  86点

モーツァルト クラリネット五重奏曲 クーパー (96)

2021.05.03 (Mon)
quintet Talich Philippe Cuper
クーパー(Cl)/ターリヒ四重奏団(96、CALLIOPE) は心地よい運動性。
保有盤最速レヴェルだが快適。

クーパー(Philippe Cuper、1957~)はフランスのクラリネット第一人者。
Philippe Cuper2
パリオペラ座管弦楽団で吹くとともに欧州各地でソリストとして活躍している。

チェコのターリヒ四重奏団は
ターリヒ四重奏団
1964設立でヴィオラのヤン・ターリヒ以外のメンバーは入れ替わっている。

ターリヒ四重奏団の演奏の特色として流れの良さがあるが
クーパーとも波長があったのだろう。
クラリネットは明快な音出しである種の屈託なさ。
フランスの先輩ランスロにクーパーも師事したが
あの特有な震えはなく、全く違う軽快さ。
弦の方もヴィブラートを抑え気味にしさらりと行く。
新古典主義的な音作りで颯爽としている。

録音はフランス、テアトル・インペリアル・コンピエーヌでのライブ。
Théâtre Impérial de Compiègne
大きなホールだが比較的オンマイクでの収録。
聴衆が入り残響は少ないが伸びは良い。

8:37  6:09  6:51  9:01  計 30:38
演奏   A    録音  92点

モーツァルト クラリネット五重奏曲 A・ボスコフスキー (63)

2021.05.02 (Sun)
Mozart Clarinet Quintet A.Boskovsky(Cl)Wiener Oktet
A・ボスコフスキー/ウィーン八重奏団員(63、DECCA)は
芳醇さの出た赤ワイン。渋すぎずコクが出てそしてほんのり甘い。
ウラッハのような濃厚までいかない。

A・ボスコフスキー(Alfred Boskovsky、1913 ~90)は
Alfred Boskovsky
ウィリー・ボスコフスキー(1909~91)の弟でウラッハの後継者として
1936~78の間VPOで吹いていた。
本盤は私の基準となったプリンツ盤(79)の後に入手して聴いたがプリンツと
似たものを感じた。というかプリンツの先輩だから言い方は逆だろう。
で、結局この盤も好きになった。
ひょっとすると少し素朴で軽妙さもあるこちらのほうが和むかもしれない。

BPOにいたライスターのクラリネット(エラー式)と
VPOが使うウィーンアカデミー式クラリネットでは音色が違うのだろう。
ただそれだけではない。
クラリネットの膨らみ、美しい弦と合わせ何とも言えない呼吸感が好き。
このインティメートさは普段から室内楽をよくしている人たちのものだろう。
第2・3楽章は夕映えの輝きを感じさせる。
終楽章はチャーミング。
vineyard-sunset.jpg
なお、第1,3楽章では反復を省略している箇所がある。

録音はウィーン、ソフィエンザールでのセッション。
63年録音と思えない鮮明さ。チェロがかなりよく聴こえる。
当時DECCAはやや作為的な音作りもあったが、
ここでのエリック・スミスは自然な音を心がけている。

6:19  6:25  6:00  9:20  計 28:04
演奏   S   録音  88点
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