クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ドヴォルザーク 弦楽セレナード ジークハルト(90?)

2018.07.18 (Wed)
Martin Sieghart serenade
ジークハルト/シュトゥットガルト室内管弦楽団(90?、Mediaphon)は素敵な演奏。
マイナーレーベルの廉価仕様CDだったが意外な拾い物。
ロマンティックでスケールが大きい。ライブ的な感興もある。
ただ流すのでなく意志の通った表現が盛り込まれるが、
このオケの弦の息遣いが綺麗。
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アクセントは優しく高弦がスーッと歌い、ちょっぴり甘さを演出する。
ワルツはワルツっぽいし、ラルゲットでは密やかさが良い雰囲気。

ジークハルト(Martin Sieghart,1951~)はウィーン生まれの指揮者。
Martin Sieghart
もとはウィーン交響楽団の首席チェリストだったが、指揮者に転向し
数少ないウィーン系としてブルックナーやマーラーの録音などが増えているし、
N響にも客演している。本オケは1990年に首席指揮者となっている。

録音は場所不明のライブ。デジタル収録。
客席ノイズと拍手でライブと分かるが録音上での不満は無い。
会場が広く聴衆を入れても音が伸びているのがいい。
弦の各パートの動きも鮮明に分かる。

4:26  6:41  5:33  6:00  6:19   計 28:59
演奏    A    録音  92点

ドヴォルザーク 弦楽セレナード レパード(75)

2018.07.17 (Tue)
レパードセレナード
レパード/イギリス室内管弦楽団(75、PHILIPS)は私のスタンダード。
LPで初めて聴いた時、頭の中で靄の残る高原の白樺の林を逍遥していた。
白樺林

余計な着色は一切なく清楚でそして新鮮に歌われる。
テンポは弛緩することなく基本的にインテンポ。
ポルタメントは無くスーッと伸びるのが私の好みにあっている。
両翼配置で掛け合いが美しく、フェイドアウトしていく時の名残惜しい音が惚れ惚れ
(イギリス室内管はバレンボイム盤では通常配置だがクーベリックでは両翼配置)。

レパード(1927~)は当初チェンバロ奏者で古楽の人だったが、
70年代には指揮者としてロマン派にもやってきた。
どんな時もエレガントな指揮が曲によっては物足りなさもあるが
こうした曲はぴったり。ノーブルでフレッシュ。
Raymond John Leppard 2

ただ、残念なのはCD化された時にLPの時のような
透明な伸び感が減衰した気がする。
repa-do.jpg
思い出が美化されているだけなのかもしれないが・・・。

録音はロンドンでのアナログ・セッション。
上述の通りLPとCDの印象が違うので再度CDのリマスターをしてほしい。
LPではフィリップスの夢のようなシルキートーンだった。

4:20  6:32  5:25  5:09  5:49   計 27:15
演奏   (s)   録音  91点

ドヴォルザーク 弦楽セレナード クーベリック(69)

2018.07.16 (Mon)
クーベリックセレナード
クーベリック/イギリス室内管弦楽団(69、DG)は
表面地味、だが滋味に溢れる。
一聴すると何の変哲もないが、かすかにロマンティックな芳香が残る。
そこがいい。
この曲はメロディが綺麗なので思わず濃厚に歌いたくなるが、
それでは繊細な味が出なくなる。

クーベリックは後年続々と出たライブで燃える演奏を繰り広げていたことが
分かり意外な感じもしたが、彼の録音は品よくまとまる感じが多かった。
ただよく良く聴きこんでみると端正さの中にパッションがある。
ここでもそんな感じ。
クーベリック
テンポは標準より少し速くさりげない。

イギリスのオケということで中立的な音。
クーベリックの趣向で対向配置。ヴァイオリンが前面に出るのがいい。
この演奏で第2ヴァイオリンが最初にテーマを歌うのを知った。
弦の掛け合いの妙が味わえ、丁寧な中に情感を感じる。
これはクーベリックらしい名演だと思う。

録音はロンドンでのセッション。空間は適度で伸びもよい。
最新録音のフレッシュさは求められないが、
少なくとも2年後バレンボイムと録音した同曲のEMI盤よりずっと良い。

4:28  6:17  5:21  5:03  5:49   計  26:58
演奏   A+   録音  88点

ドヴォルザーク 弦楽セレナード バレンボイム(71)

2018.07.15 (Sun)
バレンボイムセレナード
バレンボイム/イギリス室内管弦楽団(71、EMI)は熱帯雨林ロマン。
バレンボイム(1942~)は1960年代半ばからECOなどと指揮活動を始めて
録音も増えていった。当初は日本ではピアノと指揮の二刀流について
芳しくない評価だったようだが私はエルガーの小品集など結構愛聴していた。

ではこのドヴォルザークはどうか。
まさに彼の体臭が出ている。
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全編歌に溢れ、弦はしゃくりあげポルタメントをかける。
今このような演奏は殆ど見られなくなった。
メンゲルベルクが振ったらこんな感じになるのではないかと思わせる。
中低域が厚いので湿度が高く濃厚さが増している。
ジャケット写真もそれを表しているがジャングル系演奏。
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同じオケで録音されたレパード盤とまるで正反対なのに驚くほど。

録音はアビーロードスタジオでのセッション。
ここではEMIの弱点が露呈。詰まり気味で伸びが足りないもっさりした音。
演奏の印象に影響していると思う。
EMIは自前のスタジオを持っていることが災いしたかもしれない。

4:27  6:34  5:29  6:12  5:57   計 28:39
演奏   A-    録音  86点

ドヴォルザーク 弦楽セレナード クレチェク(90)

2018.07.14 (Sat)
クレチェクセレナード
クレチェク/カペラ・イストロポリターナ(90、NAXOS)は繊細可憐な演奏。
このような曲はナクソスはいいと思う。
音楽のエンサイクロペディアを目指すこのレーベルは素直な演奏を好む。
自我を出すような演奏家は(コストもかかるし)あまり登用しない。
大名演でなく佳演の宝庫。そしてこの曲ではそうした演奏がありがたい。

第1楽章を聴き始めるとまさに予感は的中。すーっと爽やか。
これぞナクソス的な佳演。

ところが第2楽章以下は様子が変わる。
どんどんロマンティックになるのだ。濃厚ではなく淡く儚い感じ。
時にテンポを落とし密やかに歌われる。
そっと寄り添う。いじらしい。
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中間3楽章はコリン・デイヴィス盤を上回る遅さ。
しかし弦が分厚くならないので夢の中をふわふわする。
ナクソスの規格外的演奏で、この曲の美しさを改めて知る。

そして終楽章では目覚める。ここではむしろ速めのテンポで活き活き。
でも刺激的な音が無いので爽快だ。

指揮者のクレチェク(Jaroslav Krecek 1935~)はプラハ音楽院卒の
チェコの指揮者。古典派以前の曲でよくお目にかかったがこの曲は絶品。
Jaroslav Krecek

録音はブラティスラバのモイゼスホールでのセッション。
moyzes2.jpg
長方形の美しい響きのするホール。こうした小編成にはぴったり。
弦の音が光沢をもって美しく伸びる。

4:15  7:15  6:36  6:50  5:45   計 30:41
演奏   A+   録音  93点
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